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ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >にほんむかしばなし(日本民间故事) >四月
赤ちゃんの見分け方
区分婴儿的办法
翻訳者:中国廣東省恵州学院 陳怡彤
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
「おんぎゃー!」
“呜哇哇哇哇”
「オンギャー!」
“呜哇哇哇哇”
むかし、嫁と姑が同時に赤ん坊を産みました。
很久很久以前,媳妇和婆婆同时生下了婴儿。
そして産婆さんが二人の赤ん坊を産湯につからせている間に、どっちが嫁の子どもで、どっちが姑の子どもか分からなくなってしまったのです。
然后,接生婆在给两个人的新生儿第一次洗澡上的时候搞混了,不知道哪个是媳妇的孩子,哪个是婆婆的孩子了。
赤ん坊は男の子と女の子だったので、嫁も姑も、
婴儿是一个男孩和一个女孩,所以媳妇和婆婆都说,
「男の子が、自分の子よ」
“男孩才是我的孩子啊”
「何をいう、わたしが産んだのは、男の子だ」
と、言ってゆずりません。
“说什么呢,我生的才是男孩”两个人都互不相让地说着。
そこで名奉行と名高い大岡越前守のところへ相談に行ったのですが、さすがの越前もこれはすぐに裁けません。
于是找到了有名的奉行(武官职称)、名声远扬的大冈越前守那里去商讨一下,不过,就算是越前也不能马上作出裁决。
「うむ。・・・必ず裁きを付けてやるから、三日待て」
“嗯。...我一定会作出裁判的,请等三天吧”
越前は時間稼ぎにそう言ったのですが、一日過ぎても、二日過ぎても、まったく分かりません。
虽然越前说了需要时间,不过,一天、两天过去了,也完全不明白(该怎么办)。
「うーむ。困ったわい。嫁と姑の子だから、赤ん坊の顔も似ているし」
“嗯~。为难,为难。因为媳妇和婆婆的孩子,而且婴儿的脸又都很相似”
越前が頭を悩ませながら散歩していると、ちょうど子どもたちが川辺で大岡越前ごっこをしていました。
越前在伤脑筋地一边散步的时候,刚好有孩子们在河边、玩扮演大冈越前(的角色游戏)。
越前が聞き耳を立てていると、子どもの一人が尋ねます。
越前竖起耳朵听,有一个孩子问。
「越前さま。ひとつ、ふたつ、みっつと、数を数えてゆくと、とうだけ『つ』 がないのは、どういう事でございましょうか?」
“越前大人。一个,两个,三个,为什么数到十的时候没有「つ」,这是怎么回事?”
「ふむふむ、実は『とう』にも、『つ』がついているのだ。それも二つな。とうの『う』の上の点は、小さな『つ』が変化した物なのじゃ」
“哦哦,其实‘十’也有「つ」的,而且还是带有两个「つ」。十的「う」上面的点不就是由「つ」变化过来的吗?
「ははーっ、さすがはお奉行さま、名裁きでございます」
“哈哈哈,不愧是奉行,有名的裁判官”
「うむ。これにて、一件落着!」
“嗯。这样又解决了一件事情”
聞いていた越前は、子どものとんちに感心しました。
越前听了这个,非常佩服孩子的机智。
(なるほど。物は考えようだな。覚えておこう)
(确实。事情就看怎么理解啊。要好好记住才行)
そしてさらに、子どもたちの裁きは続きます。
然后,孩子们的裁决还在继续。
「うむ。では次の者、訴えを申し述べよ」
“嗯。那么,下一个人、说出你的控诉。”
「はい。
この者たちは、嫁と姑でございます。
同じ日に、男女の赤子を生み落としましたが、産婆の手違いでどちらがどちらの子か、わからなくなってしまいました。
互いに男の子を我が子と言って、ゆずりませぬ。
どうか、お裁きを」
“好的。
这两个人,是媳妇和婆婆。
同一天,分别生下了一男一女的婴儿,因为接生婆的差错不知道哪边是谁的孩子了。
两边都互不相让地说男孩子才是自己的孩子。
这该怎么办呢、请给出裁决”
これを聞いた越前は、びっくりです。
越前听了这个、觉得很吃惊。
そこで、ますます聞き耳を立てて聞いてみると、
于是,越来越认真地竖起耳朵听,
「あいわかった。
なれば同じ形の椀を二つ用意し、嫁姑ともどもこの椀に乳汁を絞り出すがよい。
これを秤り比べて、重い方を男の子の母とせよ。
何しろ男の子は、乳をよく飲む。
だから男の子を産んだ方が、乳の出が良いのは当然であろう」
“啊,我明白了。
那样的话,准备两个同样形状的碗,婆媳都往这碗里挤出乳汁。
将它们上秤比比看,重的那一边是男孩的母亲。
毕竟,男孩喝的乳汁比较多。
所以,生了男孩的人好出乳汁也是理所当然的吧”
これを聞いた越前は、さっそく奉行所にもどると、嫁姑を呼んで乳汁を計らせました。
越前听了这个,立刻回到奉行所,叫婆媳都来计量乳汁了。
すると姑の乳汁の方が、かなり多かったのです。
然后,婆婆的乳汁非常多。
「うむ。
姑の方が、乳の出が良いようだな。
赤ん坊というのは、女よりも男の方がよく乳を飲む。
ということは、姑の赤ん坊が男の子であろう」
“嗯。
婆婆好象好出乳汁啊。
婴儿呢,男的比女的喝的乳汁比较多。
所以,婆婆的孩子是男孩”
越前の声に、嫁が反論しました。
听了越前的话,媳妇就反驳了。
「しかし、お奉行さま。
わたしは、始めて子を産みました。
何人もの子を育ててきた姑より、わたしの乳の出が悪いのは当然でございます。
男の子は、わたしの子でございます」
“但是,奉行。
我是第一次生孩子。
比起养育了几个孩子的婆婆,我不容易出乳汁也是理所当然的吧。
男孩才是我的孩子”
すると越前は、ちょっと気まずそうに答えました。
这时候,越前有点尴尬的样子回答了。
「うむ、ではもう一つの証拠を見せよう。
赤ん坊を調べた時、女の赤ん坊の右胸にはあざがあった。
そして、不正が無いようにお前たちが乳をしぼるところを見たが、お主の右胸にも同じ様なあざがあったな。
親のあざが子どもにうつるという保証はないが、これは偶然とは思えぬ。
赤ん坊は母親とのつながりが欲しくて、母親と同じ様なあざを持って生まれたのかもしれぬぞ」
“嗯,那我再给你们看一个证据吧。
调查婴儿的时候,发现在女婴儿的右胸上有点痣。
并且,公平正当看了你们挤奶的地方,你的右胸也同样的痣。
虽然无法保证父母有痣孩子就会有,但这也不能说是偶然的。
也许是因为婴儿想要和母亲的联系,所以带着和母亲有着同样的痣出生了吧”
それを聞いた嫁は、大粒の涙をポロポロとこぼして女の子の赤ちゃんを抱きしめました。
媳妇听了那个,哗啦哗啦地流下了大颗的眼泪,抱紧了女婴。
「はい。実はわたしの子は、この女の子でございます」
“是的。其实我的孩子是这个女孩”
嫁は、実は自分の子どもが女の子であるのを知っていたのですが、夫が強く男の子を希望していたので、つい、嘘をついてしまった事を白状したのです。
媳妇知道其实自己的孩子是女孩子,但是丈夫很想很想要男孩子,(所以才说谎)最后坦白了说谎的事情。
「うむ。
その気持ちは分からぬでもないが、お前はまだ若い。
これから、男の子を産むことも出来るだろう。
それにな、むかしから『一姫二太郎』と言って、最初の子育ては女の子の方が良いと言うぞ。
今回は罪を問わぬゆえ、早く家に帰って赤ん坊の面倒を見てやるといい」
“嗯。
也不是不能够理解你的心情,你还很年轻。
这以后,也会生出男孩子的。
而且,从很久以前就有‘头生女孩二生男孩’的说法,所以说最初的孩子是女孩子的才好。
这次不问罪了,早点回家照看婴儿就好了”
「はい。ありがとうございました」
“好的。谢谢你”
嫁も姑も、越前に深々と頭を下げました。
媳妇和婆婆都向着越前深深地低下了头。
「うむ。これにて、一件落着!」
“嗯。这样又解决了一件事情”
その一年後、嫁は二人目の赤ん坊に、元気な男の子を産んだのでした。
那一年后,媳妇生了第二个孩子、是个健康的男孩。
おしまい
完
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