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ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >にほんむかしばなし(日本民间故事) >五月
5月16日の日本の昔話
こぼれる、こぼれる
溢出来了、溢出来了
翻訳者 広東省恵州学院 胡晴雯
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
むかしむかし、きっちょむさんと言う、とんちの上手な人がいました。
很久很久以前,有一个人叫吉四六,他非常机灵。
ある日の事、村の男たちがお堂に集まって、酒もりをしていました。
有一天,村里的男人们都聚集在大堂里喝酒。
そこへきっちょむさんが手ぶらでやって来て、酒やごちそうをさんざん飲み食いすると、
这时候,吉四六空着手来了。他大吃大喝之后,说了句:
「それでは、ごちそうさん」
“那么,多谢款待!”
と、言って、さっさと帰ってしまいました。
然后就迅速回家了。
その場にいた男たちは、カンカンです。
在场的男人们都很生气。
「なんだ、きっちょむさんのやつ。手ぶらで来たくせに、さんざん飲み食いしやがって」
“什么啊,吉四六那家伙。明明空着手来,却吃了那么多!”
「そうだ! 今度手ぶらで来たら、追い返してやろう!」
“就是说啊,下次他再空着说来的话我们就把他赶回去!”
すると、それを知ったきっちょむさんは、
「そうか、手ぶらでは入れてくれんか。
后来吉四六知道了这件事。他想:“空手去的话不给进啊。
まあ、入ってしまえばどうとでもなるが」
不过,要是想办法进去了就不会怎样了吧”
と、ある作戦を考えました。
于是他想了一个应对方法。
次の晩、今日も村の男たちがお堂で酒もりをしていると、きょむさんがまたしても手ぶらでやって来ました。
第二天晚上,村里的男人又在大堂里喝酒的时候、吉四六又空着手来了。
しかしお堂の戸が、ピタリと閉められています。
但是大堂的门却紧紧关着。
「おーい、開けてくれ」
“喂,给我开门!”
きっちょむさんが声をかけると、中にいる男たちが言いました。
听到吉四六的话,其中一个男人说:
「酒を買って来るまでは、中に入れてやらん」
“在你买酒来之前我们是不会给你进的。”
するときっちょむさんが、待ってましたとばかりに言いました。
听了这话,吉四六像等不及似的说到:
「何を言っている! はやく開けてくれんと、こぼれてしまうだろう! ああ、こぼれそうじゃ、こぼれそうじゃ」
“说什么呢!不快点开门的话,就会溢出来了!啊,要溢出来了,要溢出来了!”
「何じゃ、それをはやく言え」
“什么啊,不早说!”
男たちはてっきり、きっちょむさんがお酒を買って来たものだと思って急いで戸を開けました。
男人们都深信吉四六已经买了酒过来,就急急忙忙开了门。
ところがきっちょむさんは、いつもの通りの手ぶらだったのです。
但是开门后发现吉四六还是跟以前一样空着手。
男たちは、きっちょむさんに文句を言いました。
男人们抱怨到
「何だ?! 『こぼれそうじゃ』と言うから開けてやったのに、今日も手ぶらじゃねえか。きっちょむさん、よくもうそをついたな!」
“搞什么?!我们明明是听你说要溢出来了才给你开的门。但是你今天不也还是空着手来吗?吉四六你真会撒谎啊!”
するときっちょむさんは、平気な顔で言いました。
听了这话,吉四六一脸平静地说道:
「なにが、うそなもんか。
“什么啊,我怎么会说谎!
わしはな、さむくてさむくて、鼻水が『こぼれそうじゃ』と言ったんじゃ。
・・・おや?
我只是觉得很冷很冷,在说鼻水要溢出来了’……咦,
今日はなべか、これは体があたたまりそうじゃ」
今天是火锅啊,吃了这个应该会让身子暖起来啊。”
きっちょむさんはわざと鼻水をすすり上げると、またしても手ぶらで飲み食いをしたのでした。
吉四六故意吸了吸鼻子,又空着手吃喝起来。
おしまい
结束
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