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7月16日の日本の昔話

鐘突き堂を守ったカニ

鐘突き堂を守ったカニ
守护钟楼的螃蟹

翻訳者 広東省恵州学院 楊京麗

にほんご(日语)  ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文

♪音声配信(html5)
音声 ☆横島小次郎☆

 むかしむかし、相模(さがみ)の国の久根崎村(→今の川崎市)に、立派なお寺がありました。
 很久很久以前,在相模国的久根崎村(现在的川崎市)里有一间宏伟的寺庙。

 そのお寺の山門を入ると右側に池があり、そこにはたくさんのカニやコイが住んでいました。
 进入那间寺庙的大门后会看见有一个水池在右边,池里面住着许多螃蟹和鲤鱼。

 この池はお寺の中にあるので、カニやコイを取ったりする子どもたちも来ませんし、お参りに来る人たちが食べ物を投げ入れてくれるので、カニやコイたちはとても幸せに暮らしていました。
 因为这个水池处于寺庙的中间,孩子们不会来抓螃蟹和鲤鱼,加上来参拜的人们都往水池里面投放食物,所以螃蟹和鲤鱼们都幸福快乐地生活着。

 しかし、こんなカニやコイたちにも、恐ろしい敵がありました。
 然而,如此幸福的螃蟹和鲤鱼们也有它们害怕的敌人。

 それは春になるとやって来る、白サギです。
 那就是一到春天便会来的白鹭。

 白サギは朝と夕方に何十羽と群れをなしてやって来ては、カニやコイたちを鋭いくちばしで食べてしまうのです。
 每到早晨和傍晚,就会有好几十只白鹭成群结队地飞来,用它们尖锐的嘴巴把螃蟹和鲤鱼吃掉。

 だからカニやコイたちは、白サギを見るとビクビクしていました。
 因此螃蟹和鲤鱼们一看见白鹭便会变得很害怕。


 そんなある日、このお寺に大きな鐘突き堂が出来ました。
 在那些日子中的某天里,这间寺庙里建了一座很大的钟楼。

 この鐘突き堂は朝と夕方になると、お寺の小僧がその鐘を突いて時刻を知らせます。
 每到早晨和傍晚,寺庙里的小和尚都会到钟楼里敲钟报时。

 その鐘の音は多摩川を越えて、遠く池上の里にまで響いたそうです。
 那钟声越过多摩川,能传到很远的地方。


 ちょうど白サギがやって来る時間と鐘が突かれる時間が重なった為、白サギはこの鐘の音に驚いて、お寺の池にやって来なくなりました。
 由于白鹭飞来的时间跟敲钟的时间正好相重合,钟声吓到了白鹭,白鹭便不再飞到水池边了。

 ですからお寺の池に住むカニやコイたちは、鐘突き堂をとても大切に思っていました。
 于是在寺庙的水池里住着的螃蟹和鲤鱼们都很重视钟楼。


 夏の風が強い夜の事、お寺の近くから出た火事の火の粉が、お寺の山門に燃え移りました。
 在夏天某个风很大的夜晚里,寺庙附近发生了火灾,火星被吹到寺庙的大门里燃烧了起来。

 その火はどんどん大きくなり、山門から本堂に燃え移ると、今度は鐘突き堂にまで火の粉を飛ばしてきました。
 火势不断增大,从大门烧到到正殿,接着,火星又被吹到到了钟楼这边来。

 これを見て、池のカニたちはびっくりです。
 看到这情形,水池里面的螃蟹大吃了一惊。

「大変だ! ぼくらを守ってくれる鐘突き堂が、燃えてなくなってしまう!」
“不得了啦!守护着我们的钟楼燃烧起来啦!”

 そこでカニたちは池の中から次々とはい出して来ると、火のついた鐘突き堂の屋根や柱によじ登り、口から白い泡をいっぱい吹き出して火を消そうとしたのです。
 于是螃蟹们从水池中陆陆续续地爬出来,爬上着了火的钟楼的屋顶和柱子,从口中吐出大量白色的泡沫来灭火。

 もちろん、そんな泡ぐらいでは、燃え移った火を消す事は出来ません。
 当然,那么一点儿的泡沫是灭不了蔓延开来的火的。

 その為に多くのカニたちが、次々と炎に焼かれて死んでしまいました。
 为此,许多螃蟹连续不断地被烧死了。

 でも、カニたちはあきらめません。
 但是,螃蟹们并没有放弃。

 火を恐れずに次々と鐘突き堂へよじ登ると、一生懸命に口から白い泡を吹いて、一晩中、鐘突き堂を守ったのです。
 不惧火势,螃蟹们陆续爬上钟楼,拼命地从口中吐出白色的泡沫来,一整晚都在守护着钟楼。


 夜が明けて火事がおさまった頃、火事から逃げていたお寺のお坊さんたちが帰ってきました。
 天亮后火已经熄灭了,因火灾从庙里逃出来的和尚们回来了。

「ああ、山門が焼け落ちてしまった。本堂も、焼け落ちてしまった」
“啊,大门全烧了,正殿也烧光了。”

 お坊さんたちはがっかりしましたが、ふと前を見ると、池の近くにあった鐘突き堂だけが、ほとんど焼けずに残っていたのです。
 和尚们都很失望,然而他们忽然往前一看,发现在水池附近的钟楼几乎没有被烧过,完整的保存下来了。

「おおっ、鐘突き堂が残っているぞ!」
“噢,这钟楼不是存留下来了嘛!”

 喜んだお坊さんたちが鐘突き堂に駆け寄ってみると、その鐘突き堂の周りには、鐘突き堂を守って焼け死んだカニたちが何千匹もいたのです。
 欢喜的和尚们跑进钟楼一看,发现几千只因保护钟楼而被烧死的螃蟹的尸体横在钟楼的周围。

「・・・そうか、このカニたちが、鐘突き堂を守ってくれたのか。ありがとう」
“……原来如此,是这些螃蟹们帮我们守住了钟楼啊,真的太感谢了”

 そこでお坊さんたちは鐘突き堂を守って死んだカニたちの為に、池のほとりにカニ塚をつくってカニたちの供養をしたのです。
 于是和尚们为了那些因守护钟楼而死去的螃蟹们,在池边筑了一个坟来供奉它们。


 そしてそれ以来、この池に住むカニの背中は、火の粉をかぶったように赤くなったそうです。
 而且在那件事发生之后,在这座水池里住着的螃蟹们的后背都好像是被火烧过一样,变成了红色。

おしまい
結束

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