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10月17日の日本の昔話
三笠山
長野県の民話 → 長野県情報
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投稿者 「きべだよ。」
むかしむかし、木曽(きそ)の山中に、天狗(てんぐ)が住んでいました。
天狗は毎日、御嶽山(おんたけさん)のてっぺんに寝そべって富士山をながめては、
(わしの力で、あの富士山よりも高くて立派な山をつくりたいな)
と、考えていました。
そんなある日の事、天狗はこんな事を思いつきました。
(富士山よりも高くて立派な山を一から作るのは大変だが、この山のてっぺんにほかの山を持ってきて三つ笠(かさ)のように並べたら、きっと富士山よりも高くて立派な山になるに違いない)
そこで天狗は真夜中になると、形の良い山を探しました。
三岳村(みたけむら)にやってきた天狗は、倉越山(くらごえやま)に目をつけて、ためしに倉越山を御嶽山(おんたけさん)のてっぺんに乗せてみました。
すると、なかなかの良い出来です。
「よし、この分なら、夜明けまでには出来上がるだろう。とりあえず、倉越山は元に戻してと」
天狗はすっかり安心して、少し休むつもりで横になると、そのままグーグーと眠ってしまいました。
やがて朝が来て、
「コケコッコー!」
と、一番どりが鳴きました。
「しまった! もうそんな時間か!」
天狗はあわてて飛び起きたものの、東の空はすでに明るくなっており、おまけに朝の早い百姓に見つかってしまったのです。
ここあたりに住む天狗は、人間に姿を見られてはいけない決まりになっています。
「もう少しで、富士山よりも立派な三笠山が出来たのに!」
天狗はそう叫びながら山の方へ逃げて行き、それっきり二度と姿を現わしませんでした。
この時からこの山を、三笠山と呼ぶようになったそうです。
おしまい
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