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1月4日の百物語
(1月4日的日本鬼故事)
鬼のうで

鬼の腕
鬼手

日本語 ・日本語&中国語

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

投稿者 「つれづれ居士」  つれづれ居士

むかし、大阪のなにわの町に、とても大きなお店がありました。
好久以前、大阪有一條喊難波的街、開得有家好大的店子。

お店の旦那(だんな)は一代で大金持ちになった、なにわの町では有名な人です。
這老闆也是白手起家、到難波也是相當的有名。

この旦那は、けちでもとても有名でした。
這老闆小氣也是相當有名

なにしろ、
怎麼港?

『おならを出すのも、もったいない』
と、言うくらいです。
幫屎窩出來的話、可惜。
這是他的名言


ある日、旦那は小僧を連れて、用たしに出かけました。
有天這老爺帶到下人、一起去辦事。

しばらく行くと旦那は、道ばたで何やら考え始めました。
走幾踋、老爺是想到了甚麼。

「今気づいたが、わしは今まで、何とももったいない事をしていた。
我到現在才發覺、我做了好多浪費的事了啊。

こうやってぞうりを引きずって歩くと、ぞうりが早く減る。
這麼到幫草鞋拖到走、草鞋就磨的快。

しかしこうやって、足を真上から、そろりとおろすと、ぞうりが長持する。
但是這麼到、踋從正上面慢慢的踩落去、草鞋就用的久。

うむ、名案だ」
我真是天才。

そう言って旦那は、抜き足、差し足で、そろりそろりと歩き出したのです。
一邊港一邊墊起腳尖、慢慢慢慢走。

「さあ、お前もわしの真似をするのだ」
喂、你也學到我這麼走。

言われた小僧も仕方なく、旦那の後ろから、抜き足、差し足で、そろりそろりとついていきました。
他僕人也是米的辦法、就跟到老爺也是墊起踋走路。

また、ある日。
又有一天

旦那は、大番頭を呼びつけて言いました。
老爺交待管家。

「この頃、店の者が飯を食いすぎていかん。何とか、飯の減り方を少なく出来んか?」
這段時間、不要讓底下做事的人幫飯吃的太多、有甚麼辦法讓他們少吃吧?

このお店には大勢の人が働いているので、一人一人の食べる量を少し減らすだけでも、大変な量のお米を節約する事が出来ます。
這條店裡面做事的人多、一個人節約一點點、加起來也可以節約好多。

「そうですなあ」
うっかり下手な事を言うと自分の食べるご飯が少なくなるので、大番頭は考えるふりだけをしました。
我想一哈
管家怕這是搬石頭砸自己踋、到時候自己也跟到吃不舒服、也就裝個樣子到想。


すると旦那が名案を思いついて、大番頭に言いました。
老爺是突然想到了、吩咐管家。

「そうじゃ、大工を呼べ。そして店にあるおぜんを、みんな集めるんだ」
你幫大工都喊來、然後幫所有桌子都搬到一起。

「へい」


店中のおぜんが集められると、旦那に命じられた大工が、おぜんの足を短く切り始めました。
人一來、老闆就喊他們開始割桌子踋。

その夜、みんなの前に出されたおぜんが、とても低くなっています。
那天晚上吃飯的桌子就變得好矮。

ご飯を持ったり、箸を置いたりする度に、体をくの字に曲げなければなりません。
捧起碗要夾菜、要幫腰都彎斷。
(這裡原文是拿碗和放筷子、一汁三菜這種、他是吃一個碗換一個碗、和食又有好多碗、而且日本人要吃甚麼、他不得幫他夾到飯裡面的、而是先幫飯放落去、筷子擺到、幫裝菜的那個碗端起來、再幫筷子取起來吃、吃飯的話又要幫碗再放落去、筷子擺到、)


おかげでこの日は、みんなご飯を半分しか食べる事が出来ませんでした。
這麼到、這天比平時消耗的伙食就少了一半。

それを見て、だんなは大喜びです。
是這條結果、老爺笑了個卵卯翻天。

「よしよし、うまくいったぞ。これで米の減りが半分になった。何事も、頭の使い方ひとつじゃ」
好傢伙、這麼到就又節約了一半米、沒得甚麼事是腦殼解決不了的。

それからも旦那のけちぶりはひどくなって行き、ついには、おかずも出さない方法を考えたのです。
而且老爺這搞得是越來越米得分寸、他到想怎麼樣要連菜錢都可以省落來。

それは天井からひもで大きな塩鮭(しおじゃけ)を一匹ぶら下げておいて、みんなはそれを見ながらおかずなしのご飯を食べるのです。
幫梁上用繩子掛一條醃魚、喊夥計們望魚止菜。

さすがに、これには店のみんなも我慢出来ず、
這麼搞落去是條人都受不了了。

「こんな店で働くのは、もうこりごりだ」
と、みんな店をやめてしまいました。
到這裡做事人都要搞癲了。
別個一個個的就都走了


しかし旦那は、それを聞いてニッコリです。
「よし、これであとは、わしの飯を切りつめるだけじゃ」
哪曉得老爺曉得以後笑了個卵卯翻天
這麼到連飯錢都不要出了


それから何日かたった、ある日の事。
店の前に、一人の大男が現れました。
從那之後、有天
店門口來了一個長得好大的男的。


「なんじゃい、物もらいか? お前にめぐんでやる物など、何にもないぞ!」
旦那が怒鳴りつけると、
老爺以為他是來討米的、跟他港甚麼都沒得、意思是要他馬上滾。

「どうか、わしを使ってくださらんか。力なら、いくらでもあるぞ」
你這裡要不要用人、我力氣好大。

と、男は、大きな力こぶを作ってみせました。
男的幫自己肌肉鼓起來讓老爺看

太い腕には針金の様な毛が生えていて、まるで鬼の腕です。
膀子上面的毛一根根和針一樣、就是條鬼的手臂。

「使ってもええが、お金はやらんし、飯も食わさんぞ。それでもええか?」
我用你可以、一米錢、二也沒飯吃、你看可以吧?

「お金なんぞいらん。飯もいらん。その代わりに、一つだけ頼みがある」
我不要錢和飯、比起這條我要其他的、

「頼みとは?」
是甚麼?

「わしのこの腕は、どうも酒飲みでこまる。一日に一合とっくり一本の酒を、この腕にかけてくださるだけでええ」
我這條手他吃得酒、一天需要吃一壺一合(單位)量的酒。

「そんな事なら、おやすい事じゃ。では、お前の腕をやとう事にしよう」
「ありがとうございます」
這事簡單、那我就幫你的手僱了。
男的也是表示感謝


さて、店で働く事になった男の働く事、働く事。
這就開始港這男的幫忙之後事做的甚麼樣

男はものすごい腕の力で大きなまさかりをブンブンと振り回して、あっという間に、まきを割ってしまいます。
男的鬼手力氣好大、斧頭拿起來就是一哈、柴就開了。

風呂の水汲みも、風呂桶をそのままかついで水汲みをするので、たったの一回で終わってしまいます。
喊他去裝洗澡水、他就幫桶一扛、水打滿直接一趟就回來了。

「これだけ働いて給金は酒一合とは、よい男をやとったわい」
這麼方便的勞工、只要一合的酒、我真是僱到好人了。

旦那は上機嫌で、お酒の入ったとっくりを男が寝泊りしている小屋の前に置きました。
老闆心裡也舒服、幫酒裝到壺裡面往男的睡覺的房間前面一擺。

ある夜の事です。
一天晚上

いつもの様に小屋の前にとっくりを置いた旦那が、ふと思いました。
老爺突發奇想、他不是每次都來放酒嘛?

「あいつ、どうやって酒を、腕に飲ませているのだ?」
那腳色是要怎麼用手來幫酒吃了?

気になった旦那は、戸のすき間から男の様子をじっとのぞき見しました。
老爺有點在意、就到門縫外面偷偷看。

男は腕をさすりながら、まるで自分の子どもに話す様に話しかけます。
男的就摸到自己的手、就像跟自己兒港話一樣。

「今日も一日、ごくろうじゃったな。ほれほれ、お前の好きな酒じゃ」
你今天一天也是辛苦了、來吃酒。

男が腕に酒をチョロチョロとかけてやると、腕に生えた針金の様な毛がピーンと逆立って、腕が見る見るうちに真っ赤になっていきます。
男的就慢慢幫酒往手臂上面倒、那上面像針一樣的毛馬上就挺起來了、一哈就變得非紅。

「おう。うれしいか、うれしいか。ほれ、今度はお前の番じゃ」
好傢伙好傢伙、來、這次換你。

男はとっくりを持ち替えると、反対の腕にも酒をかけてやりました。
男的幫酒壺換了只手、喂另外一條膀子酒吃。

そして両腕がまっ赤になると、男は、
然後、兩條手這就都非紅非紅的。

「よしよし。明日また、酒を飲ませてやるからな。じゃあ、お休み」
好、睡覺、明天繼續吃酒。

と、言って、寝てしまいました。
港完、人就困落去了。

それを見ていた旦那は、とても感心しました。
老爺看到這條、還幫自己看感動了。

「なんとも便利な腕じゃ。あんな腕が、あと二、三本あればええがなあ」
這手這麼舒服、要是再有兩三條就好啦。

それから何日かたつと、あれほど元気に働いていた男が、
那之後過了幾天一直好有力氣的男的

「はーっ」
「ほーっ」
(喘氣)

と、言って、休み休みしか、働かない様になってきました。
動一哈歇一哈、好像沒甚麼力氣了。

無理もありません。
這也沒辦法。

男は何日も、ご飯を食べていないのですから。
畢竟好幾天男的都米吃東西了。

でも旦那は、そんな事はお構いなしです。
但是老爺根本不管這些。

「さあ、働け働け。今までに、何合もの酒代がかかっておると思うんじゃ。働け、働け」
快點起來、到現在為止、我都到你身上用了好多酒了、你難道不曉得嗎?

それから数日後、男はバタンと倒れたきり、そのまま動かなくなってしまいました。
又過幾天、男的人一倒、就再也米站起來過了。

「こら、起きろ! わしのやとった腕をつけたまま、勝手に倒れるな。さあ、はやく起きて働け!」
你人快點起來、我僱到的手還到你身上、你不要順便倒到地上、喂、快點起來。

しかし男は、ピクリとも動きません。
男はねむる様に、死んでいたのです。
問題是男的根本動不了
像睡著一樣人死了。


「うーん、これは困った。
明日から、働く者がおらんではないか。
・・・そうじゃ!
この男の腕を切り取って、腕に酒を飲ませてみよう」
這麻煩啦
明天不是米人幫我做事了嗎
哈、我曉得了
我幫他手割落來、喂他吃酒就可以了。


その夜、旦那は男の腕を包丁で切り落とすと、こんな歌を歌いながら腕に酒をふりかけました。
那天晚上、老爺用菜刀幫手一割、然後邊唱歌邊對到膀子灑酒。

♪わしのやとった
♪鬼の腕
♪はよう働け
♪酒のまそ
♪はよう働け
♪酒のまそ
我僱的鬼手
快點開工
你幫酒一吃
就開始做事


すると、どうでしょう。
然後這種事發生了

今まで死んでいた腕のがピーンと毛を逆立てたと思うと、見る見る真っ赤になっていきました。
已經死了的手膀子、毛一哈就又挺起來了、變的非紅。

「しめしめ、うまくいったぞ」
好傢伙好傢伙

だんなはさっそく、腕に命令しました。
鬼の腕よ、わしの肩をもめ」
老爺跟到就命令鬼手
鬼手跟我揉肩


すると腕は、上手に肩をもみ始めました。
鬼手這就開始了

「こいつはいい。では次に・・・」
然後是一個又一個

旦那は鬼の腕に、次々と仕事を命令しました。
老爺對到鬼手下命令

すると鬼の腕は、掃除に、ご飯の支度に、帳面付けまで、何でも命令通りに働きました。
掃地啊、做飯啊、記賬啊、都港鬼手搞。

「へっへっへっ。こいつは、便利な物を手に入れたわい」
旦那は、笑いが止まりませんでした。
老爺這得了個鬼手
是笑了個卵卯翻天、根本停不落來。


さて、鬼の腕は何でも命令通りに働くのに、旦那は鬼の腕に飲ませる酒を、少しずつけちり始めました。
鬼手這麼到幫老爺做事、老爺還到每天偷偷少鬼手的酒。

一日に一合のはずの酒が、二日に一合、三日に一合と減っていき、そのうちに水で薄めた酒を飲ませるようになったのです。
本來是一天一合的量、變成兩天、三天一合、最後就幫水裡面摻點酒讓鬼手吃。

ある日の事、旦那の姿が見えないと町でうわさになりました。
有天、就再也沒得人看到過老爺了、都港他不見了。

「この頃、あのけち旦那を見かけませんなあ」
「そうだな。それにあの鬼の腕も、見かけませんなあ」
這一陣都米看到那條小氣兒啊
是啊、那兩條手膀子也不見了。


そこで町の世話役が、旦那の様子を見に行きました。
然後街上專門負責這些的、就開始邏老爺了。

「旦那、旦那。近頃姿を見せませんが、どうしました? ・・・旦那? ねえ、旦那? ・・・ひぇーーーーっ!」
這就開始敲老爺他屋門、到外面輕輕喊、老爺老爺、你到屋裡吧?

世話役は、部屋の中で倒れている旦那を見つけてびっくり。
最後也是看到倒到屋子裡面的老爺
負責這個的也是遭骸了個卵卯翻天。


なんと旦那は、うす暗い部屋の中で、鬼の腕に首を絞められて死んでいたのです。
要港為甚麼、就是老爺到沒有一點亮的陰卵暗的房間裡面、被兩條手絞死了。

そしてまくら元には、こんな書きつけがありました。
然後枕頭旁邊還寫的有。

《酒を飲ませろ! 酒を飲ませろ!》
跟我過酒!跟我過酒!

おしまい
结束

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