An illustration 01 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved むかしむかし、あるところに、とてもけちな男が住んでいて、いつもこう言っていました。 An illustration 02 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 「ああ、仕事は良くするが、ご飯んを食べない嫁さんが欲しいなあ」 An illustration 03 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 「わたしはごはんを食べずに、仕事ばかりする女です。どうか、嫁にしてくださいな」 An illustration 04 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved と、言うではありませんか。 An illustration 05 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved それを聞いた男は大喜びで、女を嫁にしました。 An illustration 06 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 男の嫁になった女は、とても良く働きます。 An illustration 07 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 「ご飯は食べないし、良く仕事をするし、本当にいい嫁じゃ」 An illustration 08 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 「おや? おかしいな。嫁は、ご飯んを食べないはずだし」 An illustration 09 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 「いいえ。わたしは知りませんよ」 An illustration 10 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved あんまり変なので、次の朝、 An illustration 11 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 男は仕事に行くふりをして、家の天井に隠れて見張っていました。 An illustration 12 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved すると嫁は倉(くら)から米を一俵かついで来て、 An illustration 13 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved どこからか持って来た大きなカマで一度にご飯を炊きあげました。 An illustration 14 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved そして塩を一升(いっしょう→1.8リットル)用意すると、おにぎりを次々と作って山の様に積み上げたのです。 An illustration 15 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved (何じゃ? お祭りじゃあるまいし、あんなにたくさんのおにぎりを作って、どうするつもりだ?) An illustration 16 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 男が不思議そうに見ていると、嫁は頭の髪の毛をほぐし始め、頭のてっぺんの髪の毛をかきわけました。 An illustration 17 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved すると頭のてっぺんがザックリと割れて、大きな口が開いたのです。 An illustration 18 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 嫁はその口へ、おにぎりをポイポイポイポイと投げ込んで、 An illustration 19 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 米一俵分のおにぎりを全部食べてしまいました。 An illustration 20 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved (あわわわわ。おらの嫁は、化物だ!) An illustration 21 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 怖くなった男はブルブルと震えましたが、嫁に気づかれない様に天井から降りると、仕事から帰った様な顔をして家の戸を叩きました。 An illustration 22 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved と、笑顔で男を出迎えました。 An illustration 23 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 「嫁よ。 An illustration 24 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved でもおみやげに、風呂おけとなわをもらいたいのです」 An illustration 25 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 男が言われた物を用意すると、嫁さんが言いました。 An illustration 26 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 「すみませんが、この風呂おけの底に穴が開いていないか、見てもらえませんか?」 An illustration 27 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 男が風呂おけの中に入ると、 An illustration 28 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved An illustration 29 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 嫁は風呂おけになわをかけて男を入れたままかつぎ上げました。 An illustration 30 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved ビックリした男が嫁の顔を見てみると、 An illustration 31 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 嫁は何と鬼婆(おにばば)に変わっていたのです。 An illustration 32 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 鬼婆は男を風呂おけごとかついだまま、 An illustration 33 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 馬よりもはやくかけ出して山へと入って行きました。 An illustration 30 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved (こ、このままじゃあ、殺される! じゃが、どうしたらいい?) An illustration 34 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 男はどうやって逃げようかと考えていると、鬼婆が木に寄りかかって一休みしたのです。 An illustration 35 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 男はその木の枝につかまって、何とか逃げ出す事が出来ました。 An illustration 36 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 「みんな来ーい! うまそうな人間を持って来たぞー!」 An illustration 37 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 仲間の鬼が大勢集まって来ましたが、風呂おけの中をのぞいて見ると中は空っぽです。 An illustration 38 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 怒った鬼婆は山道を引き返し、すぐに男を見つけました。 An illustration 39 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 「こら待てー!」 An illustration 40 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 「いやじゃ! 助けてくれー!」 An illustration 41 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 鬼婆の手が男の首にかかる寸前、男は草むらへ飛び込みました。 An illustration 42 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved すると鬼婆は男の飛び込んだ草むらが怖いらしくて、草むらの中に入って来ようとはしません。 An illustration 43 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 男はブルブル震えながら、一生懸命に念仏をとなえます。 An illustration 44 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 「なまんだぶー、なまんだぶー」 An illustration 45 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 鬼婆は草むらのまわりをウロウロしていましたが、やがてあきらめて帰って行きました。 An illustration 46 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 「た、助かった。・・・しかし、何で助かったのじゃろう?」 An illustration 47 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved 鬼婆は菖蒲の葉が刀に見えて、入ってこれなかったのです。 An illustration 48 (Illustration size 2560 × 1440)All rights reserved その日がちょうど五月五日だったので、今でも五月五日の節句には魔除(まよ)けとして、屋根へ菖蒲をさすところがあるのです。 おしまい |
|