福娘童話集 > 百物語 > 五月 
        
        
      イラスト 「愛ちん(夢宮愛)」  運営サイト 「夢見る小さな部屋」 
       
人食い鬼の娘 
食人魔的女儿 
     
    译者 ソウ キョウ 
     
    ・日本語(日语)  ・英語(英语) ・中国語(中文) 
     
・日本語(日语)&英語(英语) ・日本語(日语)&中国語(中文) 
      
       
      
      
       むかしむかし、大阪のある山に、恐ろしい人食い鬼が住んでいました。  
 很久很久以前,在大阪的一座大山里,住着可怕的食人魔。 
 
 その人食い鬼には一人娘がいて、今日は初めて人間を食べる日です。  
       那个食人魔有个女儿,这一天是她准备第一次吃人的日子。 
        
      「さあ、もうすぐここを人間が通るから、襲いかかって食べるんだよ」  
        “好啦,马上就要有人经过这里了,你要袭击他然后把他吃掉。” 
 
 鬼の父親がやさしく言うと、鬼の娘は怖がって首を振りました。 
       食人魔爸爸温柔地说到,可女儿却害怕地摇摇头。 
        
      「いやや。人を食べるなんて、いやや」  
        “我不要。吃人什么的,我才不要呢。” 
 
「大丈夫、わしがついていてやるから。  
“没关系,我会跟着你的。 
 
 大体、人も食えんようでは、立派な人食い鬼にはなれんぞ」  
       你要是不学会吃人,怎么能成为真正的食人魔呢。” 
        
      「でも・・・」  
        “可是…” 
 
「さあ、頑張るんだ」  
“好啦,你可要加油啊。” 
 
 鬼の父親は、一生懸命に娘に言い聞かせました。  
 食人魔爸爸一个劲儿地劝说女儿。 
 
 するとそこへ、男の人が通りかかりました。 
       就在这时,有个男的路过了这里。 
        
       きりりとしたなかなかの美男子で、それに力も強そうです。 
       是一位英姿飒爽的帅小伙,看起来非常强壮。 
        
       鬼の娘は怖いやら恥ずかしいやら、すぐに父親の後ろに隠れました。 
       食人魔女儿又害怕又害羞,立刻躲到了父亲背后。 
        
      「ほら、何をぐずぐずしている。早く食わんか」  
        “哎呀,你磨磨蹭蹭什么呢。还不赶快吃了他。” 
        
       鬼の父親は、娘を男の人の前に突き出しました。 
       食人魔把女儿推倒了那男的跟前。 
        
        
      「人食い鬼だ!」  
        “我是食人魔!” 
        
       びっくりした男の人は、すぐに逃げ出そうとしました。  
       受到了惊吓的男子,想要马上逃跑。 
        
       すると鬼の娘は、手で顔を隠して泣き出したのです。 
       结果食人魔的女儿却用手掩着脸哭了起来。 
        
      「いやや。人を食べるなんて、いやや」  
        “我不要。吃人什么的,我才不要呢。” 
 
 相手は人食い鬼といっても、まだ可愛い娘です。  
 站在男子面前的虽说是个食人魔,但也还是个可爱的小姑娘。 
 
 男の人は落ち着くと、鬼の娘にやさしく言いました。  
 那男的缓过神来,对食人魔的女儿温柔地说。 
 
「よしよし、もう泣くな。  
“好了好了,不哭了。 
 
 それよりも、わたしと腕相撲をしないか。  
       要不你跟我比试比试掰手腕吧。 
        
       もしお前さんが勝ったなら、わたしは喜んで食われてやるよ。  
       你要是赢了我,我就心甘情愿被你吃掉。 
        
       でもお前さんが負けたなら、もう人を食うのをあきらめておくれ。  
 但是你要是输了,以后可就不准再吃人了。 
 
 いいね」  
 你看怎么样。” 
 
 そのとたん、鬼の娘はにっこり笑いました。  
       话音刚落,食人魔的女儿咯咯笑了。 
        
       鬼の娘は腕相撲が大好きで、これまで鬼の仲間に負けた事がありません。  
 这女孩非常喜欢掰手腕,在食人魔小伙伴中还没输过谁呢。 
 
「うん。腕相撲をしよう」  
      “嗯,那就掰手腕吧。” 
        
       そして男の人と鬼の娘は、さっそく腕相撲をはじめました。  
 于是,那名男子就与食人魔的女儿掰起了手腕来。 
 
「はっけよい。のこった!」  
      “预备!开始!” 
        
       ところが男の人の力はとても強くて、鬼の娘の腕は今にも倒れそうです。  
 谁知那男的力大无比,小姑娘的手腕眼看就要被扳倒了。 
 
 隠れて見ていた鬼の父親も、とうとうがまん出来ずに飛び出してきました。 
       躲在暗处观察的父亲终于忍不住跳了出来。 
        
      「娘よ、何をやっている。相手は、たかが人間だぞ。しっかりしろ。ほれ、今だ」  
        “好女儿啊,你在干什么啊。他可只是个人类而已啊。振作起来!好,就趁现在!” 
        
       でも男の人は強くて、鬼の娘は体ごとひっくり返されてしまいました。 
       然而,那男的实在太厉害了,将小姑娘的整个身子都掀翻了过来。 
        
      「やん、負けてしもうた」 
        “唉,输了呢。”       
        
       鬼の父親は娘を起こすと、叱る様に言いました。 
       食人魔叫醒女儿,呵斥道:       
        
      「何とも、なさけない。これでは、人を食う事が出来んではないか」  
        “怎么回事,真丢脸。你这样不就吃不成人了吗?!” 
 
 そして鬼の父親は、男の人に言いました。  
 接着食人魔对那男的说: 
 
「今度は、つな引き勝負だ」  
      “这次用拔河来一决胜负!” 
        
       そして持っていたつなの一方を男の人に渡すと、鬼の父親は娘と二人でつなを力一杯引っ張りました。 
       然后拿来绳子,一头递给那男的,另一头食人魔和女儿两个人一起使劲拽着。 
        
      「それ! 鬼の力を見せてくれよう!」 
        “哼!让你见识见识食人魔的厉害!”       
        
       しかし男の人はとても強くて、鬼の親子はずるずる引っぱられてしまいます。 
       然而还是那男的力量太大,食人魔父女俩哧溜哧溜就被拽了过去。 
        
      「おい! 誰か手伝え!」 
        “喂!快来帮忙!”       
        
       鬼の父親の言葉に、どこからか二人の鬼が飛び出して来て、一緒につなを引き始めました。 
       听了食人魔的话,也不知从哪儿冲出来两个小鬼儿,一起帮忙拽绳子。       
        
      「それ引け、わっしょい! それ引け、わっしょい!」  
        “使劲,拉呀!使劲,拉呀!” 
 
 四人の鬼は、歯を食いしばって、つなを引きます。 
       四个妖魔鬼怪咬紧了牙关使劲拉着绳子。       
        
       ところが四人ともずるずると引っ張られてしまい、男の人の方へと倒れ込んでしまいました。 
       可他们四个还是被那个男的哧溜哧溜拽了过去、       
        
       鬼の父親は、びっくりです。 
       食人魔父亲非常惊讶。       
        
      「こいつは、たまげた!  
        “这家伙,真是力大无穷! 
 
 お前は、いやあなたは、なんと力の強いお人だ。  
 你小子,哦不,您力量真是太大了。 
 
 とてもとても、我々鬼の食えるお人ではない」 
       真不是我们这些妖魔鬼怪能吃得了得人呐。” 
        
       感心する鬼の父親に、男の人が言いました。 
       佩服至极的食人魔父亲对那男的说。       
        
      「それでは約束通り、人を食うのをやめてもらうぞ」 
        “就按刚才的约定,我们再也不吃人了。”       
        
      「わかった。約束は守ろう」 
        “好,那就这么定了。”       
        
        
       それから鬼たちは約束を守って、二度と人を襲わなくなったそうです。 
       从那以后,食人魔遵守承诺,再也没有袭击过人类。       
        
      おしまい 
        完 
      年賀状
          
         
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