| 
       | 
      | 
     
      ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >ひゃくものがたり(百物語) >六月 
      6月8日の百物語 
          
          
         
宝を守る屋敷の幽霊 
守护宝藏的幽灵 
       
      翻訳者 広東省恵州学院 陳暁紫 
       
      にほんご(日语)  ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文 
      
       むかしむかし、あるところに、とても正直な夫婦がいました。 
           很久以前,在某个地方,有一对非常老实的夫妇。 
         
 しかし正直過ぎるのも困りもので、夫婦は何度も何度も人にだまされて家も有り金を全部取られてしまい、ひどい貧乏暮らしとなりました。 
 但是太过老实有时候也是一种麻烦。这对夫妇一次又一次地被人欺骗,以至于家里所有的钱都被骗光,生活变得十分贫穷。 
 
 そこで困った夫婦は、ある町の長者の屋敷で働く事にしました。 
 于是这对贫困的夫妇呢,就开始在某个镇上的富人家里打工。 
 
 すると長者は正直でまじめに働く夫婦に感心して、何年も使っていない一軒の屋敷を夫婦に与える事にしました。 
 对于这对老实又勤恳工作的夫妇,富人很赞赏,所以就把一间很多年没人住过的房子送给了他们。 
 
「古い屋敷だし、夜中(よなか)に幽霊が出るとのうわさもある。しかし住むところに困っているのなら、ただであげるから引っ越してはどうかね」 
“因为房子很旧,传闻半夜里会有幽灵出来。但是看你们没有地方住,就想把这间房子给你们,你们先住着怎么样?” 
 
「はい、ありがとうございます」 
“那真是非常感谢。” 
 
 
 夫婦がその屋敷に住んでみると、なるほど、長者の言う様に変な事が毎晩の様に続きます。 
 这对夫妇搬进去住之后,果然像富人说的那样,每天晚上都发生很奇怪的事情。 
 
 風もないのに行灯(あんどん)の火が消えたり、戸がひとりでにガタガタとなったり、天井からは気味の悪い笑い声が聞こえてきたりするのです。 
 明明没有风,灯笼的火却熄灭了;没有人开门,门却自己发出吱吱的声音;而且可以清楚地听到,从屋顶传来的令人毛骨悚然的笑声。 
 
「わしは、こんな化け物屋敷はごめんじゃ。これなら、家なんかなくてもいい」 
“这么可怕的房子,我不想再待下去了。没有房子住也没关系。”  
 
 夫は恐ろしくなって言いましたが、しっかり者のおかみさんは平気きです。 
 丈夫很害怕地说道,而妻子却很镇定,一点也不害怕。 
 
「確かに不思議な事はありますが、別になんの害もないではありませんか。 
“的确是有很奇怪的事情发生,但是我们一点损害也没有啊。 
 
 せっかく、心優しい長者さまがくださったのです。 
 难得老爷愿意送给我们。 
 
 家を出たいのなら、一人で出てください。 
 不想住的话,你就一个人走吧。 
 
 わたしは、ここに残ります」 
 我要留在这里。” 
 
 おかみさんはそう言って、本当に一人で屋敷に残りました。 
 妻子如是说道。结果真的一个人留在屋子里。 
 
 
 するとその晩遅く、誰もいないのに床板がギシギシと鳴って、人が近づいて来る足音がしました。 
 于是到了夜里,明明没有其他人在,却从地板传来了咚咚的响声,是人在走动的声音,而且越来越近。 
 
 そしてその足音がおかみさんの前で止まると、目の前におじいさんとおばあさんの幽霊が現れたのです。 
 接着,脚步声停住了,在妻子面前,出现了一个老爷爷和一个老婆婆的幽灵 
 
 さすがのおかみさんもびっくりしましたが、心を落ち着かせて二人の幽霊にたずねました。 
 这下子,就连向来镇定的妻子也被吓了一大跳,但是很快,妻子便冷静下来,问道: 
 
「あなたがたは、どこのどなたですか?」 
“你们是从哪来的?” 
 
 すると、おじいさんの幽霊が答えました。
 
 幽灵老爷爷回答道: 
 
「わしらは、この屋敷の宝を守る者じゃ。 
“我们是这间屋子宝藏的守护者。 
 
 お前は、しっかり者で度胸(どきょう)もある。 
 まったく、大したもんじゃ。 
 你很镇定,胆子也很大,真是了不起啊。 
 
 この屋敷の宝は、お前にやろう。 
 这间屋子的财宝,就归你啦。 
 
 これでもう、わしらには心残りはない。 
 这样一来,我们也没什么好担心留恋的了。 
 
 明日からは静かになるから、安心して暮らせ」 
 从明天开始就不会再有奇怪的事情发生了,你可以放心地住下去。”  
 
 そしておじいさんとおばあさんの幽霊は、庭のある部分を指差したまま消えました。 
 说完,老爷爷和老婆婆就指着庭院里的某个地方消失了。 
 
 
 翌朝、おかみさんが幽霊の指差したところを掘ってみると、何と千両箱がいくつも出てきたのです。 
 把幽灵指示的地方挖开,竟然挖出了好几个装满金币的箱子。 
 
 正直者のおかみさんは、その事をすぐに長者に知らせて、出て来た千両箱を全て差し出しました。 
 老实的妻子把这件事告诉了富人,并把挖出来的箱子全部交给了他。 
 
 すると長者は、ニッコリ笑って言いました。 
 然而富人却笑了笑说道: 
 
「これは、まじめで正直なお前にくださった物だ。わしはいらないから、お前たち夫婦で使いなさい」 
“这些东西是送给勤恳又老实的你的,我不需要这些,你们夫妇用吧。”  
 
「はい、ありがとうございます」 
“好的,那太谢谢您了。” 
 
 それからおかみさんは夫を屋敷に呼び戻すと、そのお金で幸せに暮らしたのです。 
       之后妻子把丈夫叫了回去,过上了幸福的生活。 
      おしまい 
      結束 
         
         
        
 
     | 
      | 
    
      
       |