福娘童話集 > きょうの百物語 > 7月の百物語 >  子育て幽霊 
      插圖尺寸
        Max 2560×1440 字幕「日本語」「英文」「中文」「台湾語」 
        
         
        插圖 たつよ   提供 らくがきの日常 
         
子育て幽霊 
育儿幽灵 
 
翻訳者 ソウ キョウ 
       
      日本語  ・ 英語(英文)  ・ 中国語(中文) ・ 台湾語 
       
      日本語 & 英文  ・ 日本語 & 中文  ・ 日本語 & 台湾語 
      
       
      
      
       むかしむかし、ある村に、一軒のアメ屋がありました。 
       從前從前,在一座村莊中,有著一間糖果店。 
      插圖01插圖觸摸 (2560×1440) 
        
        ある年の夏の事、夜も遅くなったので、アメ屋さんがそろそろ店を閉めようかと思っていると、 
         那是某一年夏天的事,由於夜已深,正當糖果店主人想關上門停止營業時, 
         
         トントントントン 
        「咚咚咚咚」 
         
        と、戸を叩く音がしました。 
         門外傳來的敲門聲音。 
         
        「はて、こんな遅くに誰だろう?」 
        「咦?這麼晚了會是誰呢?」 
         
      と、アメ屋さんが戸を開けてみますと、一人の女の人が立っていました。 
       糖果店主人滿心疑惑地開了門,發現門外站著一位女子。 
      插圖02 插圖觸摸(2560×1440) 
          
       「あの、アメをくださいな」 
        「可以賣我一些糖果嗎?」 
         
        「あっ、はい。少々お待ちを」 
        「啊,好,請稍等一下。」 
         
         アメ屋さんは女の人が持ってきたうつわに、つぼから水アメをすくって入れました。 
         糖果店主人從糖果罐中,抓取一些糖果放到女子帶來的容器中。 
         
        「へい。一文(いちもん→30円ほど)いただきます」 
        「好,總共是一文錢(相當於三十日圓)。」 
         
        「ありがとう」 
        「好的,謝謝您。」 
         
       女の人はお金を払うと、消えるように行ってしまいました。 
       女子付了錢後,漸行漸遠,消失在道路的另一方。 
      插圖03 插圖觸摸(2560×1440) 
          
       その次の日。 
         時間到了隔天。 
         
         今日もアメ屋さんが戸締まりをしようと思っていると、また戸を叩く音がします。 
         這一天,同樣是糖果店主人打算關門的時間,又傳了敲門聲響。 
         
        「あの、アメをくださいな」 
        「那個,可以賣我一些糖果嗎?」 
         
         やはり、あの女の人でした。 
         果然是和昨天相同的女子。 
         
         女の人は昨日と同じようにアメを買うと、スーッと、どこかへ帰って行きます。 
         女子像昨天一樣買了糖果後,又快速地消失在道路的另一端。 
         
         それから毎晩、女の人は夜ふけになるとアメを買いに来ました。 
         從此之後,每天只要到了半夜,這名女子就會出現在店門口買糖果。 
         
         次の日も、その次の日も、決まって夜ふけに現れてはアメを買って行くのです。 
         每天、每天皆是如此,只會在半夜出現,買了糖果後就快速消失。 
         
       さて、ある雨の夜。 
       有一天下雨的夜晚, 
      插圖04 插圖觸摸(2560×1440) 
          
        この日は隣村のアメ屋さんが訪ねて来て、色々と話し込んでいたのですが、 
         隔壁村莊的糖果店主人前來造訪,正當二人聊得相當愉快之際, 
         
        「あの、アメをくださいな」 
        「可以賣我一些糖果嗎?」 
         
      と、いつものように現れた女の人を見て、隣村のアメ屋さんはガタガタ震え出したのです。 
       那名女子再度出現在店門口,這時隔壁村莊的糖果店主人看到後直發抖, 
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       「あ、あ、あの女は、ひと月ほど前に死んだ、松吉(まつきち)のかかあにちげえねえ」 
        「這、這、這名女子,不是一個月前去世,松吉先生的太太嗎!?」 
         
        「えっ!」 
        「咦!」 
         
         二人は、顔を見合わせました。 
         二人面面相覷。 
         
         死んだはずの女の人が、夜な夜なアメを買いに来るはずはありません。 
         已經去世的女子,怎麼可能每天晚上都來買糖果呢? 
         
         しかし隣村のアメ屋は、間違いないと言います。 
         但是隔壁村的糖果店主人,堅持自己絕對不會看錯。 
         
       そこで二人は、女の後をつけてみることにしました。 
       於是,他們決定跟隨在女子的後方,一探究竟。 
      插圖06 插圖觸摸(2560×1440) 
          
        アメを買った女の人は林を抜け、隣村へと歩いていきます。 
         買了糖果的女子穿過森林,走向隔壁村莊。 
         
       その場所は、 
       最後到達的地方是, 
      插圖07 插圖觸摸(2560×1440) 
          
              「はっ、墓だ!」 
        「啊!是墳場!」 
         
       女の人は墓場の中に入っていくと、スーッと煙のように消えてしまったのです。 
       女子進入墳場後,突然間像煙霧一般消失了。 
      插圖08 插圖觸摸(2560×1440) 
          
       「お、お化けだー!」  
        「有,有鬼!」 
         
         二人はお寺に駆け込むと、和尚(おしょう)さんにこれまでの事を話しました。 
         二人急忙逃到寺廟中,告訴和尚事情的來龍去脈, 
         
       しかし和尚さんは、 
       但是和尚說: 
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       「そんな馬鹿な事があるものか。きっと、何かの見間違いじゃろう」 
        「怎麼可能會有這種事情,一定是你們看錯了」 
         
        と、言いましたが、二人があまりにも真剣なので、仕方なく二人と一緒に墓場へ行ってみる事にしました。 
        但是他們的表情十分嚴肅,沒有辦法,和尚只好和他們一起去墓場一探究竟。 
         
         すると、 
         接近墳場後, 
         
       オンギャー、オンギャー 
      「哇哇哇」 
      插圖10 插圖觸摸(2560×1440) 
          
       と、
        かすかに赤ん坊の泣き声が聞こえてきます。 
         突然聽見細微的嬰兒哭聲。 
         
         声のする方へ行ってみると、 
         他們走近一看, 
         
      「あっ、人間の赤ん坊じゃないか! どうしてこんなところに?!」 
      「啊,這不是人類的小嬰兒嗎!怎麼會在這種地方!?」 
      插圖11 插圖觸摸(2560×1440) 
          
        和尚さんがちょうちんの明かりをてらしてみると、そばに手紙がそえられています。 
         和尚將手中的燈籠湊近一瞧,發現嬰兒的身旁有一封信, 
         
         それによると、赤ん坊は捨て子でした。 
         讀了信中內容後,才知道原來是被別人棄養的嬰兒。 
         
        「手紙によると、捨てられたのは数日前。それから何日もたつのに、どうして生きられたんじゃ?」 
        「依照信中的內容,這個嬰兒已經被棄養好幾天了,經過這麼多天,為什麼還能活著呢?」 
         
         ふと見ると、あの女の人が毎晩アメを買っていったうつわが、赤ん坊の横に転がっていたのです。 
         定眼一瞧,才發現那位女子每天晚上購買糖果的容器,就放在小嬰兒的身旁。 
         
       そして、赤ん坊が捨てられたそばの墓を見ると。 
       然後,看了一下嬰兒旁邊的墓碑, 
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       「おお、これはこの前に死んだ、松吉の女房の墓じゃ!」 
        「咦?這不是之前去世的、松吉先先太太的墳墓嗎!」 
         
         何と幽霊が、人間の子どもを育てていたのです。 
         沒想到,養育嬰兒的竟然是幽靈。 
         
      「なるほど、それでアメを買いに来たんだな。それも自分の村では顔を知られているので、わざわざ隣村まで」 
      「原此如此,所以她才會每天來買糖果啊,而且怕在自己的村莊會被認出來,因此特地跑到隔壁村莊來買!」 
      插圖13 插圖觸摸(2560×1440) 
          
       きっと自分の墓のそばに捨てられた赤ん坊を、見るに見かねたにちがいありません。 
         她一定是對於被遺棄在自己墳墓旁的嬰兒感到於心不忍,才會養育嬰兒這麼多天吧。 
         
       和尚さんは心を打たれて、松吉の女房の墓に手を合わせました。 
       和尚深受感動,在女子墓前雙手合十: 
      插圖14 插圖觸摸(2560×1440) 
          
       「やさしい仏さまじゃ。この子はわしが育てるに、安心してくだされよ」 
        「妳的心地真是善良,這孩子我會養育長大的,妳就安心成佛吧」 
         
         こうしてお墓に捨てられた赤ん坊は、和尚さんにひきとられました。 
         就這樣,和尚收留了被遺棄在墓場的小嬰兒, 
         
       それからあの女の人がアメ屋さんに現れる事は、もう二度となかったそうです。 
       據說從此那位女子就不曾出現在糖果店的門前了。 
      おしまい 
      結束 
      中国語翻訳担当  KenC。 
         
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