福娘童話集 > きょうの百物語 > 7月の百物語 > 子育て幽霊
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Max 2560×1440 字幕「日本語」「英文」「中文」「台湾語」
插圖 たつよ 提供 らくがきの日常
子育て幽霊
育儿幽灵
翻訳者 ソウ キョウ
日本語 ・ 英語(英文) ・ 中国語(中文) ・ 台湾語
日本語 & 英文 ・ 日本語 & 中文 ・ 日本語 & 台湾語
むかしむかし、ある村に、一軒のアメ屋がありました。
從前從前,在一座村莊中,有著一間糖果店。
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ある年の夏の事、夜も遅くなったので、アメ屋さんがそろそろ店を閉めようかと思っていると、
那是某一年夏天的事,由於夜已深,正當糖果店主人想關上門停止營業時,
トントントントン
「咚咚咚咚」
と、戸を叩く音がしました。
門外傳來的敲門聲音。
「はて、こんな遅くに誰だろう?」
「咦?這麼晚了會是誰呢?」
と、アメ屋さんが戸を開けてみますと、一人の女の人が立っていました。
糖果店主人滿心疑惑地開了門,發現門外站著一位女子。
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「あの、アメをくださいな」
「可以賣我一些糖果嗎?」
「あっ、はい。少々お待ちを」
「啊,好,請稍等一下。」
アメ屋さんは女の人が持ってきたうつわに、つぼから水アメをすくって入れました。
糖果店主人從糖果罐中,抓取一些糖果放到女子帶來的容器中。
「へい。一文(いちもん→30円ほど)いただきます」
「好,總共是一文錢(相當於三十日圓)。」
「ありがとう」
「好的,謝謝您。」
女の人はお金を払うと、消えるように行ってしまいました。
女子付了錢後,漸行漸遠,消失在道路的另一方。
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その次の日。
時間到了隔天。
今日もアメ屋さんが戸締まりをしようと思っていると、また戸を叩く音がします。
這一天,同樣是糖果店主人打算關門的時間,又傳了敲門聲響。
「あの、アメをくださいな」
「那個,可以賣我一些糖果嗎?」
やはり、あの女の人でした。
果然是和昨天相同的女子。
女の人は昨日と同じようにアメを買うと、スーッと、どこかへ帰って行きます。
女子像昨天一樣買了糖果後,又快速地消失在道路的另一端。
それから毎晩、女の人は夜ふけになるとアメを買いに来ました。
從此之後,每天只要到了半夜,這名女子就會出現在店門口買糖果。
次の日も、その次の日も、決まって夜ふけに現れてはアメを買って行くのです。
每天、每天皆是如此,只會在半夜出現,買了糖果後就快速消失。
さて、ある雨の夜。
有一天下雨的夜晚,
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この日は隣村のアメ屋さんが訪ねて来て、色々と話し込んでいたのですが、
隔壁村莊的糖果店主人前來造訪,正當二人聊得相當愉快之際,
「あの、アメをくださいな」
「可以賣我一些糖果嗎?」
と、いつものように現れた女の人を見て、隣村のアメ屋さんはガタガタ震え出したのです。
那名女子再度出現在店門口,這時隔壁村莊的糖果店主人看到後直發抖,
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「あ、あ、あの女は、ひと月ほど前に死んだ、松吉(まつきち)のかかあにちげえねえ」
「這、這、這名女子,不是一個月前去世,松吉先生的太太嗎!?」
「えっ!」
「咦!」
二人は、顔を見合わせました。
二人面面相覷。
死んだはずの女の人が、夜な夜なアメを買いに来るはずはありません。
已經去世的女子,怎麼可能每天晚上都來買糖果呢?
しかし隣村のアメ屋は、間違いないと言います。
但是隔壁村的糖果店主人,堅持自己絕對不會看錯。
そこで二人は、女の後をつけてみることにしました。
於是,他們決定跟隨在女子的後方,一探究竟。
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アメを買った女の人は林を抜け、隣村へと歩いていきます。
買了糖果的女子穿過森林,走向隔壁村莊。
その場所は、
最後到達的地方是,
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「はっ、墓だ!」
「啊!是墳場!」
女の人は墓場の中に入っていくと、スーッと煙のように消えてしまったのです。
女子進入墳場後,突然間像煙霧一般消失了。
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「お、お化けだー!」
「有,有鬼!」
二人はお寺に駆け込むと、和尚(おしょう)さんにこれまでの事を話しました。
二人急忙逃到寺廟中,告訴和尚事情的來龍去脈,
しかし和尚さんは、
但是和尚說:
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「そんな馬鹿な事があるものか。きっと、何かの見間違いじゃろう」
「怎麼可能會有這種事情,一定是你們看錯了」
と、言いましたが、二人があまりにも真剣なので、仕方なく二人と一緒に墓場へ行ってみる事にしました。
但是他們的表情十分嚴肅,沒有辦法,和尚只好和他們一起去墓場一探究竟。
すると、
接近墳場後,
オンギャー、オンギャー
「哇哇哇」
插圖10 插圖觸摸(2560×1440)
と、
かすかに赤ん坊の泣き声が聞こえてきます。
突然聽見細微的嬰兒哭聲。
声のする方へ行ってみると、
他們走近一看,
「あっ、人間の赤ん坊じゃないか! どうしてこんなところに?!」
「啊,這不是人類的小嬰兒嗎!怎麼會在這種地方!?」
插圖11 插圖觸摸(2560×1440)
和尚さんがちょうちんの明かりをてらしてみると、そばに手紙がそえられています。
和尚將手中的燈籠湊近一瞧,發現嬰兒的身旁有一封信,
それによると、赤ん坊は捨て子でした。
讀了信中內容後,才知道原來是被別人棄養的嬰兒。
「手紙によると、捨てられたのは数日前。それから何日もたつのに、どうして生きられたんじゃ?」
「依照信中的內容,這個嬰兒已經被棄養好幾天了,經過這麼多天,為什麼還能活著呢?」
ふと見ると、あの女の人が毎晩アメを買っていったうつわが、赤ん坊の横に転がっていたのです。
定眼一瞧,才發現那位女子每天晚上購買糖果的容器,就放在小嬰兒的身旁。
そして、赤ん坊が捨てられたそばの墓を見ると。
然後,看了一下嬰兒旁邊的墓碑,
插圖12 插圖觸摸(2560×1440)
「おお、これはこの前に死んだ、松吉の女房の墓じゃ!」
「咦?這不是之前去世的、松吉先先太太的墳墓嗎!」
何と幽霊が、人間の子どもを育てていたのです。
沒想到,養育嬰兒的竟然是幽靈。
「なるほど、それでアメを買いに来たんだな。それも自分の村では顔を知られているので、わざわざ隣村まで」
「原此如此,所以她才會每天來買糖果啊,而且怕在自己的村莊會被認出來,因此特地跑到隔壁村莊來買!」
插圖13 插圖觸摸(2560×1440)
きっと自分の墓のそばに捨てられた赤ん坊を、見るに見かねたにちがいありません。
她一定是對於被遺棄在自己墳墓旁的嬰兒感到於心不忍,才會養育嬰兒這麼多天吧。
和尚さんは心を打たれて、松吉の女房の墓に手を合わせました。
和尚深受感動,在女子墓前雙手合十:
插圖14 插圖觸摸(2560×1440)
「やさしい仏さまじゃ。この子はわしが育てるに、安心してくだされよ」
「妳的心地真是善良,這孩子我會養育長大的,妳就安心成佛吧」
こうしてお墓に捨てられた赤ん坊は、和尚さんにひきとられました。
就這樣,和尚收留了被遺棄在墓場的小嬰兒,
それからあの女の人がアメ屋さんに現れる事は、もう二度となかったそうです。
據說從此那位女子就不曾出現在糖果店的門前了。
おしまい
結束
中国語翻訳担当 KenC。
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日本語教師・通訳・ビジネスコンサルタント。
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