|
|
ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >ひゃくものがたり(百物語) >七月
7月31日の百物語
座敷童
座敷童子(住家精灵)
翻訳者 東省恵州学院 欧明铭
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
むかしむかし、ある春の夕暮れ、川べりに、おかっぱ頭の愛らしい二人の女の子が座っていました。
很久很久以前,在一个春天的傍晚,两个有着娃娃头发型的可爱小女孩正坐在河边。
そこを通りかかった若者が、二人のさびしそうな様子と、手に持っている朱塗りのお膳(ぜん)を不思議そうに見くらべながら、
路过这里的年轻人看见她们两个落寞的样子和手里拿着的朱红色的小桌子,觉着奇怪,便问道:
「お前たち、どこから来て、どこへ行くのだ?」
“你们是从哪里来的,要到哪里去?”
と、たずねると、女の子は声をそろえて、
「山口の孫左衛門(まござえもん)のところから、気仙(けせん)の稲子沢(いなごさわ)へ行くところ」
と、答えます。
小女孩们齐声回答道:“山口的孙左卫门那里来的,要去气仙的稻子泽。”
「孫左衛門? あの金持ちのか? して、何で家を出たのだ?」
“孙左卫门?是那个富豪吗?为什么要离开家呢?”
「あの家は、もうすぐつぶれるからよ」
女の子はそう言って、若者を見上げます。
“那个家已经快死绝了”小女孩们抬头看着年轻人这样说道。
それを聞いた若者は、この女の子たちの正体に気づきました。
年轻人听到这话就知道了这两个小女孩的真实身份。
(この女の子たちは、あの有名な座敷(ざしき)わらしに違いない。座敷わらしが出ていったとなると、山口の孫左衛門は、もうお終いだ。そして次の長者は、気仙(けせん)の稲子沢の者に違いない)
(这两个小女孩一定是那个有名的座敷童子。一旦座敷童子离开了,山口的孙左卫门也就到尽头了。下一位大富豪,肯定在气仙的稻子泽。)
それからまもなく、孫左衛門の一族は、キノコの毒にあたって死に絶えたのです。
在这之后不久,孙左卫门一族因为中了菇的毒都死了。
その頃、稲子沢に住む働き者の百姓で、与治右衛門(よじうえもん)という男が不思議な夢を見ました。
同一时期,在稻子泽居住着一个劳动能手,名叫与治右卫门的男人做了一个不可思议的梦。
夢枕に、白い装束のおじいさんが立って、
梦里,一位身穿白衣服的老爷爷站着对他说道:
「これからすぐに旅に出よ。山を越えて川を渡り、野原を行くと古い館の跡がある。
“赶紧出门去旅行。翻过山峰,渡过河流,到达一个原野,那里有一座古公馆遗迹。
そこに咲いている三十三の花をつけた山百合(やまゆり)の根元に、お前の幸運が埋まっておるぞ」
と、告げたのです。
在那里,盛开着33朵天香百合,连接着这33朵百合的根部就埋藏着你的好运。”
目を覚ました与治右衛門は、
醒了的与治右卫门
(秋の終わりに、百合の花が咲いているのも妙な話しだが)
と、思いながら、それでも馬を引いて出かけていきました。
一边想着“秋末,百合花还在盛开真是奇怪啊”,一边还是把马牵来出门了。
山を越えて北上川(きたがみがわ)を舟で渡り、みぞれまじりの北風が吹き荒れる野原を行くと、急に馬が立ち止まりました。
翻过了山峰,用船过渡过了北上川,到了雨雪交加,北风呼啸的原野后,马突然停住了。
見れば足元に、三十三の花をつけた山百合の花が咲いています。
往马的脚边看去,发现了盛开的天香百合。
「これだな!」
“就是这个了!”
そこで花の根元を夢中で掘ると、黄金がぎっしりつまったつぼが七つも出てきたのです。
于是与治右卫门开始拼命地挖花的根部,最后挖出了七个满装着黄金的罐子。
あとから知ったのですが、そこは、生城寺館(しょうじょうじだて)の跡地だったそうです。
后来才知道这里是生城寺公馆的旧址。
こうして長者になった与治右衛門の家には、あの座敷わらしの一人が住みついて、家はますます栄えました。
就这样变成了富豪的与治右卫门一家因为有一个座敷童子的定居就变得越来越繁荣。
それから長い年月が過ぎた、ある雪の朝、長者の使用人の一人が、おかっぱ頭の可愛い女の子が長者の家から出て行くのを見たそうです。
在这之后过了很多很多年,在一个下着雪的早上,与治右卫门家的一个仆人似乎看到了一个有着娃娃头发型的可爱小女孩从家里出去的身影。
すると見るまに長者の家は傾いて、哀れな最後を迎えたということです。
不久与治右卫门家就慢慢衰微了,最后迎来了悲惨的结局。
おしまい
結束
|
|
|