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      ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >ひゃくものがたり(百物語) >十月 
        
         
石になったオオカミ 
变成石头的狼 
 
翻訳者 河南省 周口師範学院 張新培 
 
翻訳指導 水口友代 
       
      にほんご(日语)  ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文 
      
       むかしむかし、ある険しい山のふもとに、家が二十軒ばかりの小さい村がありました。 
         很久很久以前,在一座陡峭的山下有个村子,只住着二十户人家。 
         
         ある年の正月の夕方、どこから来たのか、吹雪の中を貧しい旅姿の母と娘がこの村を通りかかりました。  
         某年正月初一的傍晚,有一对不知从哪里来的母女,在暴风雪中艰难地前行,恰好路过这个村子。 
         
         歩き疲れた母と娘は一晩泊めてもらおうと村の家々を尋ねましたが見知らぬ者を泊めてくれるところはありません。 
         旅途劳累的母女向村里的人家请求借宿一晚,但是没有地方愿意收留陌生人。 
         
         それでもやっと、ある家のおばあさんが二人に教えてくれました。 
        「村はずれに、お寺がありますよ」 
         终于有一家的老奶奶告诉她们“在村子的尽头有座寺庙。” 
         
         母と娘はやっとの思いでお寺へたどり着きましたが、ここでも二人を泊めてはくれません。 
         母女二人终于好不容易到了那个寺庙,可是那里也不收留她们。 
         
         でもお寺の人が「本堂の縁の下でよければ、勝手に泊まっていけ」と、言ってくれました。 
         但是寺庙里的人对她们说“如果不介意在屋檐下睡的话就请便吧。” 
         
         その夜、母と娘は雨期が吹き込む本堂の縁の下で、ブルブルと震えながら抱き合っていました。 
         那天夜里,母女二人在潲雨的屋檐底下冻得瑟瑟发抖相互依偎着。 
         
         夜更けになると、裏山から六頭のオオカミがやってきました。 
         到了半夜,从山里来了六头狼。 
         
         そして夜が明けると本堂の縁の下にあみ笠を一つ残して、母と娘の姿は消えていました。 
         然后天亮了,大殿的屋檐下只剩了一只斗笠,母女二人不见了。 
         
         
         それから、何か月もたった秋の事。 
         过了好几个月,那是秋天的事了。 
         
         隣村で用事を済ませたお寺の和尚さんが夜の山道を帰って来る途中、六頭のオオカミに襲われて殺されてしまいました。 
         那个寺庙的和尚在邻村办完事后,夜里从山路回来的途中,被六只狼袭击杀害了。 
         
         そこで、村人たちは熊平という、腕の良い猟師にオオカミ退治を頼みました。 
         因此,村民们拜托一个名叫熊平的经验丰富的猎人消灭狼。 
         
         熊平はオオカミが住む洞穴を探し出すと、近くの木に登ってオオカミが出てくるのを待ちました。 
         熊平找到了狼的洞穴后,爬到了附近的树上等狼现身。 
         
         しばらくすると、六頭のオオカミが洞穴から出てきました。 
         不一会儿,六只狼就从洞里出来了。 
         
        「いまだ!」 
         就是现在! 
         
         ドスーン!ドスーン! 
         嘭——!嘭——! 
         
         熊平は狙いをつけて次々と鉄砲を撃ちましたが、オオカミたちは素早く身をかわしてしまうので、一発も当たらないうちに弾がなくなってしまいました。 
         熊平瞄准后接连开枪,但是狼们灵活地变换身姿,子弹都用完了却连一发都没打中。 
         
         そして、弾がなくなった事を知ったオオカミたちは、熊平がいる木の下へやってきました。 
         然后,知道子弹已经用完了的狼们,围在熊平藏身的那棵树下。 
         
         その時です。 
         就在那时, 
         
         オオカミの洞穴から、一人の娘が出てきました。 
         从狼的洞穴中出来了一个女孩。 
         
         それはお寺の縁の下から姿を消した、あの娘です。 
         就是那个在寺庙的屋檐下不见了的女孩。 
         
         母親がいませんが、娘は生きていて、オオカミと一緒に暮らしていたのです。 
         因为母亲死去了,女孩活了下来,就和狼一起生活了。 
         
         娘はオオカミたちに、大声で叫びました。 
        「その人には、帰りを待つ家族がいる。許してやりなさい!」 
         女孩对着狼们大声喊着:“还有等着那个人回家的家人呢。请放过他吧!” 
         
         するとオオカミたちは木の下を離れて、洞穴へ戻っていきました。 
         然后狼们从树下离开,回到了洞穴里。 
         
         それから数か月後の冬の夜、六頭のオオカミが村を襲いました。 
         几个月后的冬夜,六只狼袭击了村子。 
         
         するとまた娘が現れて、オオカミたちに言ったのです。 
         然后女孩又出现了,对着狼说道: 
         
        「この村には、お寺への道を教えてくれた優しい方がいるんだよ。暴れずに、帰りなさい」 
        “这个村子里有位善良的人告诉了我去寺庙的路呢。别捣乱了,快回去吧!” 
         
         その時、娘をオオカミと勘違いした村の猟師の放った矢が、娘の胸に突き刺さりました。 
         那时,村里的猎人把女孩错当成了狼,射出的箭就扎入了女孩的胸膛。 
         
         娘はその場に倒れて死んでしまい、オオカミたちはいつの間にかいなくなってしまいました。 
         女孩当场倒地而死,狼们不知什么时候走了。 
         
         しばらくして村人が、峠の道の脇で六頭のオオカミが石になっているのを見つけました。 
         不久之后,村民们在山口的路边找到了由六只狼变成的石头。 
         
         それから毎年、娘が死んだ日の夜になると、石になったオオカミたちの悲しそうな遠吠えが峠の道から聞こえてくるという事です。 
       听说从那开始,每年一到小女孩死的那天晚上,就能听到从山路传来的,石狼悠长的哀嚎。 
      おしまい 
          結束 
         
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