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ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >ひゃくものがたり(百物語) >十月
10月27日の百物語
イヌが鳥を殺した罰
鹅死了的惩罚
翻訳者 河南省 周口師範学院 張美晴
翻訳指導 水口友代
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
むかしむかし、中国から送られた二羽のガチョウを、役人(やくにん)たちが天皇(てんのう)の元へ届けようとしていました。
很久很久以前,从中国送来两只鹅。官员们想把它们献给天皇。
ところがガチョウをあずかっていた役人のイヌが、ガチョウに噛み付いて二羽とも殺してしまったのです。
但是看管鹅的官员的狗咬死了这两只鹅。
その時の天皇は怖い人で、いくつもの恐ろしいうわさがありました。
那时的天皇很可怕,有很多恐怖的传闻。
ある時、天皇は好きな狩りに出かけて、たくさんの獲物(えもの)を捕らえました。
喜欢打猎的天皇有次出去打猎,抓到了很多猎物。
それに気を良くした天皇は、従えて来た者たちに言いました。
「狩りの楽しみは、捕らえた獲物をすぐ料理して食べる事だ」
于是心情很好的天皇对随从们说:“打猎的乐趣就在于立即吃掉抓到的猎物啊。”
しかし誰も、自分が料理をすると言い出しませんでした。
但是没有人站出来料理猎物。
もしも天皇が料理を気に入らなかったら、罰を受けるかもしれないからです。
如果做出天皇不满意的东西,可能会受到惩罚。
すると天皇は怒って、いきなり刀(かたな)を抜いて近くにいた者を切り殺してしまったのです。
于是天皇发怒了,突然拔出刀杀死了身边的侍卫。
「今の天皇は勝手が過ぎる! これまでにも気に入らないというだけで、何人もの人を殺していると聞く」
“现在的天皇太过分了!听说就因为不满意,至今为止已经杀了好多人了。”
そんなわけでガチョウを殺したイヌの飼い主の役人は、死罪(しざい→死刑)を命じられても仕方がないと覚悟を決めました。
所以咬死了鹅的狗的饲主,已经做好了被杀的心理准备 。
(自分は殺されても仕方がないが、せめて家族の者に罰がおよばないようにしなくては)
(虽然自己死路一条,但希望至少不要波及到家人。)
そこで役人は正直に事の次第を伝えると、おわびにと自分の屋敷で飼っている十羽の白鳥を御所(ごしょ→天皇の住まい)に贈ったのです。
因此官员诚实地向天皇讲述了事情的经过,并把自己养的十只天鹅当做补偿,送去了天皇的宫殿。
すると天皇は白鳥を気に入って、御所からは何のおとがめもありませんでした。
天皇对天鹅非常满意,也就没有追究这件事。
次の年、御所で飼われていた鳥が、やはりイヌに襲われて死んでしまいました。
第二年,养在宫殿的天鹅又被狗咬死了。
怒った天皇は係の役人の顔にイレズミの罰(ばつ)を命じて、役職(やくしょく)も奪ってしまいました。
愤怒的天皇下令给相关的官员脸上刺青,并且罢免了他们的官职。
これを知った役人仲間の二人が、天皇のやり方を非難しました。
知道这件事的官员中的两人,谴责了天皇的做法。
「我らが生まれ育った信濃(しなの→長野県)では鳥が多く、捕ればすぐに小山ほどにもなる。
それなのに、たった一羽の鳥がイヌにやられたと怒り、人の顔にイレズミをなさるとは、どう考えてもおかしい。
今の天皇は、悪い天皇だ!」
“在我们故乡信濃天鹅很多,要抓的话立马就能堆得像小山一样。仅仅因为一只天鹅被狗咬死而发怒,在人脸上刺青,怎么想都不正常。现在的天皇太可恶了。”
するとこの話が天皇の耳に届き、天皇は二人に命じました。
不久这话传到了天皇的耳朵里,天皇命令两人:
「それならば、すぐに鳥を捕らえて、小山の様にしてみよ」
“既然如此,立刻去抓来像小山一样多的天鹅吧。”
けれどもそれが出来ないとなると、天皇はその場で二人の役職を取り上げて、御所から追い出してしまいました。
但是知道他们做不到,天皇就当场夺去了两人的职务,把他们赶出了宫殿。
おしまい
結束
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