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1月6日の日本民話
男は重々しく
群馬県の民話 → 群馬県情報
むかしむかし、上州(じょうしゅう→群馬県)に、いんごうそうべえと言う名前の変わった男がいました。
ある時、そうべえの所に奥さんの実家(じっか)から、奥さんのお父さんがやって来て、
「そうべえよ。お前さんは日頃から軽はずみな事をして、落ち着きがない。男はもっとズシッと構え、重々しくなくてはいかんぞ」
と、お説教をしました。
「ふーん。そうか」
さて、それから何日かして、そうべえは奥さんの実家へ行く事になりました。
「男は重々しくか」
お父さんの言葉を思い出したそうべえは、重たい石うすになわをつけて、ゴロゴロと引きずりながら奥さんの実家へとやって来ました。
それを見たお父さんは、不思議に思いました。
「おや? そうべえよ。石うすなんぞ引いて来て、いったい何の真似だ?」
するとそうべえは、ふうー、ふうーと、息を吐きながら言いました。
「へい。こうすれば、軽々しいわたしでも、重々しくなれますからね。それにしても、重々しくなるのは大変だ」
「・・・・・・」
お父さんはあきれて、ものも言えませんでした。
おしまい
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