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12月8日の日本民話 2
ハト? ニワトリ? カラス?
鳥取県の民話 → 鳥取県情報
むかしむかし、ある村に三人の木こりがいました。
この三人の木こりはとてもいじっぱりで、人に負けるのが大嫌いです。
ある日の事、三人が一緒に山仕事へ出かけました。
仕事の一休みでたばこを吸っていると、一人の木こりが高い木の枝に鳥の巣があるのを見つけて言いました。
「おい、あんな高いところに鳥の巣あるぞ。あれはきっと、ハトの巣だろう」
すると、隣に座っていた木こりが言いました。
「いやいや、あれはニワトリの巣だ」
すると今度は、三番目の木こりが言いました。
「ハトやニワトリが、あんな高い所に巣をつくるわけがないだろう。あれはカラスの巣だ。まちがいない」
「なんだと、ハトの巣だ」
「いいや、ニワトリの巣だ」
「ちがうちがう、カラスの巣だ。まちがいない」
三人の木こりたちは、とうとう言い合いを始めました。
どの木こりもいじっぱりなので、自分の考えを変えません。
「ぜったいに、ハトの巣だ」
「ニワトリの巣だと、言っているだろう」
「だから、カラスの巣だ。まちがいない」
「なにを!」
「なんだと!」
「この野郎!」
このままでは、殴り合いのけんかになるかもしれません。
その時、巣の中から二羽の山バトが飛び出して行きました。
「そら見たか。今、飛び出していったのはハトだ」
はじめに巣を見つけた木こりが、自慢げに言いました。
それでも負けるのがくやしくて、二番目の木こりが言いました。
「飛んで行ったトリは二羽だから、二羽の鳥でニワトリだ」
すると三番目の木こりも、負けずに言いました。
「とんでもない。鳥が逃げた巣は空っぽだ。空っぽの巣だから空巣。つまりカラスだ。まちがいない」
「なにを!」
「なんだと!」
「この野郎!」
みんな、本当に意地っ張りですね。
おしまい
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