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3月22日の日本の昔話
まゆにつば
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
投稿者 ナレーター熊崎友香のぐっすりおやすみ朗読
【必ず眠れる日本の昔話集6】睡眠導入・作業用 元NHKフリーアナ(大人が眠れる読み聞かせ)
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制作 : 妖精が導くおやすみ朗読チャンネル
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
投稿者 「眠りのねこカフェ」
日本語&客家語
むかしむかし、ある山寺に、とてもかしこい小僧がいました。
ある日の夕方、小僧は和尚(おしょう)さんに用事を頼まれて、町へ行く事になりました。
「では和尚さま、行ってまいります」
こうして小僧が山道を歩いていくと、一匹のいたずらダヌキが町の酒屋のでっち(→住み込みで働く子ども)に化けて、後ろから声をかけました。
「ちょっと待ってくれ。夕方はキツネやタヌキに化かされすいから、和尚さんに町まで一緒に行く様に言われて来たんじゃ」
「それはご親切に。ところで、でっちどんはいつ山寺へこられました?」
「ああ、ほんのさっき、店の届け物を届けに来たばかりです」
タヌキのでっちは、すました顔で答えました。
でも町の酒屋は、昨日来たばかりです。
(さては、いたずらダヌキだな。何をたくらんでいるか知らんが、反対にだましてやろう)
小僧はだまされないおまじないに、まゆにつばをつけると、ニッコリ笑って言いました。
「これは、良い道連れが出来て良かった。
ところで、でっちどん。
この前に貸した百文(→三千円ほど)のお金、確か今日返してくれる約束でしたね」
「えっ? そうなの?」
タヌキはびっくりしましたが、でっちに化けているのがばれてはいけないので、しぶしぶ百文を渡しました。
「はい。約束の百文」
小僧はニッコリ笑って受け取ると、また言いました。
「そうそう、そう言えばその前に貸した二百文も、今日返してくれる約束でしたよ」
「えっ? 二百文も?」
タヌキは仕方なく、二百文を差し出しました。
すると小僧は、またニッコリ笑って言いました。
「そう言えばひと月前に小判(→7万円ほど)を一枚貸したのも、今日返してくれる約束でしたよ」
「そっ、そんな・・・」
こうしてタヌキは、小僧に有り金を全て取られてしまいました。
でも小僧は、まだ言います。
「ああ、そう言えばその前にも貸したお金があった」
するとそれを聞いたタヌキは、
「忘れ物をしたので、すぐに帰ります!」
と、あわてて逃げ出したそうです。
おしまい
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