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5月20日の日本の昔話
ウシの鼻ぐり
牛鼻桊(kien11)
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
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投稿者 「カボスひろし」 大分県産カボスひろしTV
むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもゆかいな人がいました。
頭擺頭擺,有一個安到吉四六个人,非常樂線。
吉四六さんは、あまりお金持ちではありませんが、お金がなくなってくると、ヒョイと良い知恵が浮かんでくるのです。
吉四六先生毋係盡有錢,但係,等佢愛錢用个時節,黏時就會有好辦法出現。
ある日の事、吉四六さんは畑仕事をしながら、町へ行く通りがかりの人を呼び止めては、
有一日,在園緊做事緊摎去街路个過路人擋恬,就拜託一件奇怪个事,講:
「すまんが、町の荒物屋で、ウシの鼻ぐりを買って来てほしいんじゃ。数は、いくつあってもいい。値段は、なんぼ高くてもかまわん」
と、変な事を頼みました。
「失禮,𠊎想拜託你去街路雜貨店摎𠊎買牛鼻桊,幾多隻都做得,價數較貴都無相干。」
みんなが引き受けてくれましたが、帰って来て、
逐個人都照厥要求,毋過轉來都講:
「あいにく、売り切れとるそうじゃ。ウシの鼻につなを通す、鼻ぐりの輪など、めったに売れるもんではないから、普段は置いてないそうじゃ」
「還堵好,聽講賣淨淨了。穿過牛鼻桊个索仔,牛鼻桊。一般盡少賣,無排出來。」
「おれもずいぶん探したが、一つもなかった。『今日は何人も、鼻ぐりを欲しいと言う人が来た。こんな事なら、たくさん仕入れておけばよかった』と、くやしがっとったわい」
と、口々に言いました。
「𠊎尋了當多坎,一隻都無尋著。『今晡日有盡多人。講愛買牛鼻桊个人來,早知係恁樣,愛先進較多貨放等。』還打爽哪。」逐坎都當後悔講:
「それはどうも、すまん事じゃった」
「這係一件非常遺憾个事情。」
吉四六さんはガッカリするどころか、喜びながら家に帰りました。
吉四六先生毋單淨無感覺著失望,顛倒當歡喜轉去屋下。
さて次の朝、吉四六さんは作って貯めておいたウシの鼻ぐりを、町へかついで行って、
第二日朝晨,吉四六先生摎做好个牛鼻桊,㧡等去街路,
「ウシの鼻ぐりは、いりませんか?」
「愛買牛鼻桊無?」
町中の荒物屋を回りました。
街路个雜貨店捩捩轉遶。
「これは良いところに来てくれた。いくつでも置いていってくれ」
「這實在來到還堵好。買幾隻放等。」
昨日、もうけそこなっているので、どこの荒物屋でも、喜んで仕入れてくれました。
昨晡日無賺著,哪坎雜貨店乜當歡喜進貨。
「さあ、これで、昨日のお客が来てくれれば、ひともうけ出来るぞ」
「這下,昨晡日个人客若係來,做得賺兜仔。」
荒物屋は、もうけのそろばんをはじきましたが、ウシの鼻ぐりは、さっぱり売れません。
雜貨店緊扚賺錢利潤个算盤,但係牛鼻桊根本一隻都無賣出去。
もうかったのは、吉四六さんだけでした。
唯一賺著錢个係吉四六先生。
おしまい
煞咧
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