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6月8日の日本の昔話
清水の観音さまのお告げ(京都府の方言バージョン)
京都府の民話 → 京都府情報
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
むかしむかし、運にめぐまれへん男がおってな。その男は幸せになりとうて、清水の観音さまへ願かけに行ったんやて。
「観音さま。わしは何をやっても運にめぐまれへんで失敗しばっかりとります。どうか、わしにも幸せを授けてください。」
ほんだらな。満願の前の晩、観音さまが夢枕に現れて、こんなお告げをしてくれやはった。
「お前はほんまに運のない男やけど、きばって正直に生きておる。
せやさかい、そのほうびに、一つだけ運をさずけよう。
明日の朝、お堂から飛び降りてみよ。」
「えっ、飛び降りるんどすか?」
男が目を覚ますと、ちょうど夜明けやった。
「もしかすると、わしは死ぬかもしれん。
せやけど、観音さまのお告げや。
このまま良いことなしで、生きていくよりは、・・・ええい!」
男がお堂から飛び降りたら、その拍子に目玉が二つ抜け落ちてしもた。
「うわっ、これはえらいこっちゃ!」
男はあわてて目玉を拾て すぐにはめたんやけど、
そのはめた目玉の片ほうは、前後ろ反対になってしもた。
せやけどな そのおかげで、男には腹の中が手に取るように見えるんやわ。
「なるほど、なるほど、体ん中は、こないなっとったんか」
その後、男はお医者はんになって大もうけしたんやて。
おしまい
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