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8月19日の日本の昔話
イラスト たつよ 提供 らくがきの日常
刀のごちそう
刀的款待
翻訳者 広東省恵州学院 楊彪
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
むかしむかし、一休さん(いっきゅうさん)と言う、とんちで評判の小僧さんがいました。
很久很久以前,有一个以机智出名的叫一休的小和尚。
以前、一休さんに『びょうぶのトラ』でとんち勝負をして、見事に負けたあの殿さまが、また一休さんをお城にまねきました。
就在之前,被一休以“屏中之虎”完全打败的殿下决定再次在府里设宴招待一休。
「一休よ。よく来てくれたな」
“一休,你来了啊?”
「はい。およびとあれば、何度でも。して、今日はどの様な問題ですか?」
“是的,只要您叫我,无论多少次我都会来的。那么请问您今天又出了怎样的难题呢?”
一休さんが聞くと、殿さまは笑いながら言いました。
听到一休这么说,殿下笑着道:
「アハハハハハッ。
用心しておるな。
だが、安心せい。
今日はそなたに、ごちそうをしてやろうと呼んだだけじゃ」
“哈哈哈,你可真是小心翼翼啊,但是放心好了,今天只是单纯地邀请你来吃饭的。”
そう言って殿さまは、一休さんに大変なごちそうを出しました。
于是殿下就叫人摆出了一桌丰富的菜肴,
「それ、えんりょせずに、好きなだけ食べるといい」
“不必拘礼,喜欢什么尽管吃。”
殿さまの言葉に、一休さんはお寺では食べてはいけない事になっている肉や魚をパクパクと食べました。
听完殿下说的话,一休看着满桌都是寺院里禁止吃的肉和鱼,就狼吞虎咽起来。
それを見た殿さまが、感心して言います。
看到这个场景的殿下,很吃惊地说:
「よく食べるのう。それにしても、何でも通るのどだ」
“吃得真多啊。你的喉咙无论什么东西都吃得下呀。”
「はい。
わたしののどに、通らない物はありません。
“是的,我的喉咙无论什么东西都吃得下。
言うなれば、東海道(とうかいどう→江戸から京都へつながる大きな道)の様なものです」
要说起来,就跟东海道(连接着江户和京都的一条宽敞的大路)一样,什么都可以通过。”
「よし!」
“很好。”
殿さまは、その答えを待っていたようです。
殿下像是正等着一休这个回答一样。
殿さまは刀を抜くと、怖い顔で一休さんに差し出しました。
殿下拔出刀,对着一休摆出一副恐怖的神色。
「では、この刀を飲み込め!
“那么,就把这把刀吞下吧。
何でも通ると、言ったのだ。
什么都能吞下,那可是你说的。
これが通らぬとは、言わせぬぞ!」
你可别说你吃不下啊”
しかし一休さんは、平気です。
但是一休一脸平静,说:
「はい、わかりました。刀を飲み込めば良いのですね」
“好,我知道了。把刀吞下去就行了是吗。”
「なに? 本当に、出来るのか?」
“什么,你真的能做到?”
「先ほども言いましたが、わたしののどは、東海道の様な物ですから」
“刚才就已经说过了,因为我的喉咙就跟东海道一样。”
そう言って一休さんは刀を受け取ると、急にコンコンとせき込みました。
说完一休就把刀拿了过来,突然剧烈咳嗽起来。
やがてせきがおさまると、殿さまに言いました。
「これは残念。
たった今、せきがとまりました。
せきも関所(せきしょ)も同じで、いったんとまりますと、何者も通してはくれません」
“咳嗽就跟关卡一样(日语中咳嗽和关卡读音相似),一旦堵了就再也无法通过。”
それを聞いた殿さまは、思わず手を叩きました。
听完这番话殿下情不自禁地鼓起了掌。
「むっ! さすがは一休。今回もよの負けじゃ」
“唉,不愧是一休,这回我又输了。”
こうして一休さんは、またもやたくさんのほうびをもらいました。
就这样一休又一次得到了很多奖赏。
おしまい
結束
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