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9月11日の日本の昔話
白米城
白米城
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、山の上に小さな山城があり、そこへ隣の国が攻めてきました。
頭擺頭擺,某一座山山頂上有一隻細山城,有一日鄰國來攻打。
お城の人々はすぐにお城へ逃げ込み、隣の国の軍勢が中に入って来るのをけんめいに防ぎました。
山城个居民黏時逃到城堡,阻擋鄰國軍隊攻落城肚。
隣の国の軍勢も山の上にあるお城を攻め落とす事が出来ず、戦いは何日も何日も続きました。
鄰國个軍隊無法度攻落這座山頂个城堡,戰鬥連連續續打幾下日。
(敵の軍勢は、長い城攻めで疲れておろう。もう少しがんばれば、あきらめて囲みをとくやもしれぬ)
(敵國个軍隊長期攻擊城堡可能會當悿,若係再過堅持一站仔,可能會解圍)
お城の殿さまがそう思っていたところヘ、家来がかけつけてきて言いました。
城主恁樣想个時節,家臣過來摎佢講:
「殿、大変でございます。城の水が、ついになくなってしまいました」
「城主大人,壞啼了,城堡裡肚會無水了。」
「なに、水がない!?」
「麼个,無水!?」
「はい。米と塩のたくわえは、まだまだ十分なのですが」
「係,米摎鹽還伸當多。」
「米や塩があっても、水がなくてはどうにもならん」
「準講還有米抑係鹽,無水乜無效。」
殿さまが肩を落としていると、そばにいた大将の一人が言いました。
城主當失望時節,脣頭个一個將軍講︰
「殿,このまま篭城(ろうじょう)しても、味方の士気が下がるだけです。この上は覚悟を決めて、すぐさま敵の中ヘうって出る事にいたしましょう」
「城主大人。像這下恁樣分佢包圍,俚个士氣也會降低,最好先做好準備,黏時走去攻打敵人。」
「・・・・・・それしか、あるまい」
「・・・・・・只有這種辦法。」
殿さまの許しをうけた大将が最後の合戦を味方の兵に知らせようと本丸(ほんまる→城の中心)から降りて来た時、百姓(ひゃくしょう)あがりの馬引きの男が言いました。
得到城主認同个將軍,摎這決定通知士兵後,對城堡中心(本丸)下來時節,農民出身个馬夫講:
「旦那さま、死ぬ事はいつだって出来ますだ。それよりも、わしに考えがありますで」
「大人,隨時準備犧牲,這以外,𠊎有還另外个想法。」
そう言って馬引きは、大将の耳に何かをささやきました。
恁樣講个馬夫,在將軍耳空脣細聲講。
「なるほど。ものはためしということもある。やってみても、損はない。・・・みなの者、城にある米と塩を残らず集めよ」
「𠊎瞭解了。凡事都愛試看仔。試一下無麼个損失‧‧‧大家,在城堡裡肚所有个米、鹽收集做下。」
大将はお城中からお米と塩を集めると、馬を洗う大きなたらいの中に入れました。
將軍摎城堡裡肚所有个米、鹽收集做下後,放在一個洗馬个大盆肚。
そしてお米と塩の入った大きなたらいをお城の外へ持ち出すと、そこへ馬を何頭も連れて来ました。
佢摎放米、鹽个大盆仔帶出城堡,並帶幾下條馬。
その場所は南向きの日当たりの良いところで、敵の陣地(じんち)から一番良く見えるところです。
該係朝南、盡當日个位所,從敵人該位可以看到清清楚楚。
「さあ、始めろ」
「好,開始。」
大将が合図をすると馬の世話をする家来たちがたらいの中から手おけでお米と塩をすくい、ザーッ、ザーッと馬の背中にかけて馬を洗うふりをしました。
將軍發出信號後,照顧馬个人用大盆仔裡肚个米、鹽,詐意洗馬。
さて、遠くから山城を見ていた敵の大将は、山城の兵たちがのんびりと馬を洗っている様子を見てびっくりです。
敵將在遠方看著山城个士兵,安然自在在該洗馬嗄著驚。
「何と!そろそろ水のたくわえがなくなる頃だと思っていたが、あの様におしげもなく水を使って馬を洗うとは。
「麼个!𠊎話著水會用忒了,但係仰會恁樣大開大使呢。
それにひきかえ、こちらのたくわえは残りわずか。
顛倒,這位伸無幾多。
このまま戦が長引いては、こちらが不利だ。
若係照這情況繼續戰鬥,對𠊎俚不利。
・・・仕方ない、引き上げよう」
・ ・ ・無法度,收兵。
こうして敵の軍勢は、自分たちの国ヘと引き返しました。
斯恁樣,敵軍撤轉去了。
なぜ敵がお米と塩を水を見間違えたかと言うと、敵陣から見ると馬に降りかける白米と塩が日の光にキラキラと光り輝いて、本物の水で馬を洗っている様に見えたからです。
仰會敵人會摎鹽、米看做水呢,原來係因為從敵人該片看過來,落在馬頂背个鹽、米分日頭晟著,看著就像正經用水洗馬。
この事があってから人々は、この山城を『白米城』と呼ぶ様になったそうです。
自從發生這種事情以後,大家就摎這山城安到『白米城』。
おしまい
煞咧
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