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9月16日の日本の昔話
海の水はなぜしょっぱい?
海水仰會係鹹个?
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、ある村に貧乏な男がいました。
頭擺頭擺,在某隻村莊有一個窮苦个男仔人。
ある日の晩、その男のところへ白いひげのおじいさんがやってきました。
某暗晡,一個生白鬚个老阿公來到男仔人該位,講:
「道に迷ったので、一晩泊めてくだされ」
「𠊎撞走了,做得分𠊎歇一暗晡無?」
「ああ、それはお困りでしょう。いいですとも。さあどうぞ」
「啊,該你麻煩了。當然做得,請落來。」
男は親切に、おじいさんを泊めてやりました。
男仔人盡親切請老阿公落屋歇。
次の日、おじいさんは男に小さな石うすをくれました。
第二日,老阿公拿隻細磨石分男仔人。
「泊めてもらったお礼じゃよ。これは不思議な石うすでな、右へ回せば欲しい物が出て、左へ回せば止まるんじゃ。止めるまで出続けるから、気をつけるんじゃぞ」
「這係感谢你分𠊎歇宿个禮物,佢毋係普通个磨石,若係向右捩,就會走出你想愛个東西,若係向左捩就會停忒。在停忒之前,還會直直走出東西,愛細義使用哦。」
おじいさんはそう言って、出て行きました。
老阿公講煞就行走了。
男はためしに、石うすを回してみました。
男仔人斯試轉磨石來看,講:
「米出ろ、米出ろ」
「米出來!米出來!」
すると石うすから、まっ白い米がザクザクと出てきました。
過後,白白个米sa11sa11滾流出來。
あわてて左へ回すと、米はピタリと止まります。
煞煞摎磨石向左捩,白米黏時停止流出來。
「へー、こいつはすごいや!」
「he53,這東西還好哪!」
男は米や魚をたくさん出して、まわりの家にも分けてあげました。
男仔人拿出當多米摎魚仔,分隔壁鄰舍。
さて、男の隣に、欲張りな兄さんが住んでいました。
厥貪心个阿哥也戴在脣頭。
兄さんは弟が急にお金持ちになったのを不思議に思い、こっそりのぞきにきました。
厥哥感覺奇怪老弟仰會一下仔變恁有錢,就偷偷去看。
「そうか、なるほど。全ては、あの石うすのおかげだな。しめしめ」
「原來係恁樣,全係該磨石庇蔭个,了解了!」
兄さんは夜になると弟の家に忍び込んで、石うすを盗みました。
斷烏後,阿哥潛落老弟屋下,摎磨石偷走。
そして舟にのって、海へ逃げました。
坐船仔瀉出大海。
「よしよし、ここまで来れば大丈夫だろう」
「好了,好了,到這恁遠就安全了敢。」
兄さんは一生懸命に舟をこいだので、お腹がペコペコになりました。
因為阿哥一直努力撐船仔,漸漸肚枵了。
そこで、持ってきたおにぎりを取り出すと、
拿出帶來个飯糰。
「そうだ、塩をつけて食べると、きっとうまいだろう。よーし、塩出ろ、塩出ろ」
「係哦,加滴鹽落去,定著還較好食。好,出兜鹽來,出兜鹽來‧‧‧」
と、石うすを回すと、石うすからは塩がザラザラとあふれ出して、たちまち舟いっぱいになりました。
佢捩動磨石後,鹽就sa11sa11滾流出來,盡遽就張淰歸船。
「わっ、わっ、もう止まれ!止まれ!止まってくれー!」
「哇,哇,遽停下來,停下來!停‧‧‧」
欲張り兄さんは石うすから物を出す方法は見ていたのですが、止め方は見ていなかったのです。
貪心个阿哥雖然看著了磨石舞出東西个方法,但係無看著磨石停止出東西个方法。
ついに舟は塩の重さに耐えられなくなり、そのまま海に沈んでしまいました。
包尾,細船載毋贏恁重个鹽,斯恁樣沉落海竇肚。
ところであの石うすは、今でもグルグルと回って塩を出しています。
毋過,磨石到這下還在該guru guru捩捩轉,繼續出鹽。
海の水がしょっぱいのは、こういうわけなのです。
海水就係恁樣變到鹹鹹。
おしまい
煞咧
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