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9月23日の日本の昔話
ネコの茶碗
貓碗
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、ある峠で茶店を開いているおばあさんが、一匹のネコを飼っていました。
頭擺頭擺,一個在某山崠頂開坎茶館个老阿婆,畜一條貓仔。
どこにでもいるただのネコですが、そのネコのごはんを入れている茶わんが何とも素晴らしい茶わんで、目利きの人なら喉から手が出るほどです。
雖然到處看得著个普通貓仔,但係張該隻貓食个飯个飯碗,實在還靚,若係內行人定著會想得著佢。
ある日、茶店で休んでいた金持ちのだんなが、それを見て驚きました。
有一日,一個在茶館休息个有錢老爺,看著該碗嗄著驚。
(ネコに小判とは、よく言ったものだ。このばあさん、茶わんの値打ちがまるでわかっていない)
(無採一垤豬肉擲分狗食,講著還好哦。老阿婆像形無麼个了解這隻碗个價數。)
そこでだんなは、何とかしてネコの茶わんを手に入れたいと考えました。
所以,有錢老爺想,愛用麼个方法拿著該隻貓碗。
だんなはネコのそばへ近寄ると、その頭をなでながら言いました。
有錢老爺行兼貓仔後,緊挲貓仔个頭那,講︰
「なんて、可愛いネコだ。実に素晴らしい」
「恁得人惜个貓仔,還靚哪。」
「そうですか?一日中ブラブラしている、何の役にも立たんネコですよ」
「係無?歸日閒亍亍、無麼个用个貓仔。」
「いやいや。なかなかに、利口そうなネコだ。それに、毛のつやもいい。なんなら、わしにゆずってはくれないか?」
「毋係毋係,非常伶俐樣个貓仔,另外,毛色盡靚,無斯讓分𠊎?」
「まあ、可愛がってくれるなら、ゆずってもいいですよ」
「好啦,若係中意,該就讓分你。」
おばあさんの言葉に、だんなはしめたと思いました。
聽到老阿婆个話,老爺話著講好勢了。
後はネコと一緒に、あの茶わんもつけてもらえばいいのです。
做得摎貓仔、碗共下買走。
「それで、いくらでネコをゆずってくれるかな?」
「該,貓仔愛幾多錢讓分𠊎?」
「そうですね。ネコの事ですから高くも言えませんが、一両でゆずりましょう」
「恁樣呢,一條貓仔,所以𠊎做毋得開昶高價,一兩斯讓分你。」
「はっ?一両(約七万円)も!」
「啊?一兩(約7萬日元)!」
(こんな汚いネコに一両も出せとは、とんだばあさんだ)
(這恁屙糟个貓仔敢出一兩,想毋解个老阿婆。)
と、思いましたが、あの茶わんは、とても一両や二両で買える品物ではありません。
佢係恁樣想,毋過該隻碗毋係一兩抑係二兩買得著个東西。
「わかった。一両出そう」
「了解,一兩就一兩。」
だんなは財布から一両小判を取り出して、おばあさんに渡しました。
老爺在錢包肚拿出一隻金幣,交分老阿婆。
ここからが、本番です。
這下開始正式演出。
「ところで、ついでにこの茶わんももらっていいかな?新しい茶わんより食べなれた茶わんの方が、ネコも喜ぶと思うので」
「毋過,這隻碗做得分𠊎順續拿走無?我認為貓仔用原來該碗比新碗食較慣,貓仔也歡喜。」
そのとたん、おばあさんがピシャリと言いました。
該下,老阿婆堅定講︰
「いいえ、茶わんをつけるわけにはいきません。これは、わしの大事な宝物ですから!」
「做毋得,連碗總下去做毋得,這係𠊎个寶貝!」
(ちぇっ、このばあさん、茶わんの値打ちをちゃんと知っていやがる)
(還絕,這個老阿婆當了解碗个價數。)
だんなはくやしくなって、思わず声を張り上げました。
老爺盡後悔,無提無妨提高聲音講︰
「大事な宝物なら、なんでネコの茶わんなんかにするんだ!」
恁重要个寶貝仰會拿來做貓碗!
「何に使おうと、わしの勝手でしょうが!さあ、ネコを持って、とっとと帰っておくれ。この茶わんは、いくら金をつまれたってゆずりませんからね!」
「愛仰般用係𠊎个自由,煞煞揇等貓仔好轉去了,這隻碗你出幾多錢都毋會賣分你。」
だんなは仕方なく、ネコを抱いて店を出て行きました。
老爺無法度,揇等貓仔行出店仔。
でも、もともとネコが好きでないだんなは、
但係,本旦毋愛貓仔个老爺,
「ええい、腹が立つ!お前なんか、どこへでも行け!」
と、峠の途中でネコを投げ捨てました。
講︰「e24,閼死人!你啊,去哪位都好!」
在山頂半路摎貓仔㧒忒了。
ネコはクルリと回転して着地すると、そのまま飛ぶように茶店へと戻っていきました。
貓仔翻一下身跳落地泥下後,就像飛樣瀉轉去茶館。
「よし、よし。よう戻って来たね」
「好,好。你轉來了。」
おばあさんはネコを抱きあげると、何度も頭をなでてやりました。
老阿婆揇起貓仔後,挲幾下到貓仔个頭那。
「お前のおかげで、またもうかったよ。これで二十両目だね。ヒッヒッヒッヒッヒッヒッ」
「打幫你,𠊎再過賺擺錢,這係第二十兩呢,hihihihihihi。」
おしまい
煞咧
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