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2月6日の日本民話 2
駒が池
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むかしむかし、笹山(ささやま)のふもとに駒が池という池があり、このあたりに一軒の貧しい百姓家がありました。
あるとき娘の縁談が決まって、祝いを開くことになったのですが、貧しいので料理を盛る器も膳もありません。
どうしたものかと考えながら畑仕事を終えて帰る途中、百姓は池のそばを通りかかりました。
何げなく岸辺の岩に腰かけて休んでいましたが、やがて百姓は池の水を見ながらこんなことをつぶやきました。
「どこぞに、膳と椀を貸してくれるところはねえのか」
すると、どうでしょう。
池の水がざわざわ妙な音をたて始めたので、ふと顔を上げてみると、とてもきれいな椀や器がプカリプカリと浮かび上がってくるではありませんか。
こうして無事に、百姓の家では祝いの宴をもよおし、娘にも恥ずかしい思いをさせずに済んだのです。
その後、百姓は借りた膳椀を池に返して、お礼の赤飯を供えたのです。
こんな事があってからというもの、どこかの家で膳椀が必要になると、ここの池に借りにくるようになったのです。
《いついつに、何人分を貸して下され》
と、紙に書いて池に頼めば、次の朝、きちんと人数分の膳椀がそろっているのです。
ところがあるとき、ここの村の庄屋が十人前の椀を借りたのに、数をごまかして五人分を返したのです。
すると次の日、池が急にあふれ出して、庄屋の広い田や畑をあっという間に流してしまいました。
そのとき、池の中から一頭の駒(こま→小さい馬)が飛び出して空をかけるのを見たという者がいたのです。
駒は向こうの山へ行ったきり、二度と池にはもどって来ませんでした。
それ以来、いくら頼んでも、池は膳も椀も貸してはくれなかったのです。
こんな事があってから、この池は『駒が池』と呼ばれるようになりました。
それから、駒のかけて行った山には、『駒が岳』という名がついたのです。
おしまい
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