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7月3日の日本民話 2
ヘビの知恵
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むかしむかし、福井県の小浜市(おはまし)に空印寺(くういんじ)というお寺があって、その軒にスズメの親子が巣を作りました。
またそこには、スズメの巣の方へ枝を長くのばした五葉松(ごようまつ)の木が一本ありました。
ある夏の事、一匹のヘビがシュルシュルと五葉松の木に登り、枝の先に長い体をからみつけて、かま首をスズメの巣の方へにゅうっとのばしました。
驚いたスズメの親子は、チュンチュンと鳴き騒ぎます。
小スズメはまだ飛べないので、親スズメも逃げる事が出来ません。
「何やら騒がしいのう。・・・あれは?」
何事かと出てきた和尚さんと小僧は、すぐにスズメの巣を狙っているヘビに気がつきました。
でもよく見ると、ヘビのかま首はあともう少しの所で巣には届かないようです。
そのうち、さすがのヘビもあきらめたのか、するすると木からおりていきました。
「やれやれ。和尚様、さすがにヘビもあきらめたようですね」
小僧さんの言葉に、和尚さんは首を横に振りました。
「いや、ヘビは執念深いから、またやって来るかもしれん」
和尚さんと小僧さんが、しばらく様子をうかがっていると、案の定、ヘビはもう一匹のヘビを連れてもどってきました。
そして二匹は一緒に木を登り、先ほどのヘビが同じように枝にからみついてかま首を巣の方へのばすと、もう一匹のヘビがその上に自分の体をまきつけて、さらにかま首をのばしました。
スズメの巣はもう目の前です。
チュンチュンチュンチュン!
親スズメは小スズメを背中にかばいながら鳴き騒ぎますが、このままではスズメの親子はヘビに食べられてしまいます。
「これは大変!」
和尚さんは長い竹竿で二匹のヘビをたたき落とすと、ついでに五葉松の枝も切り落としたという事です。
おしまい
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