10月16日の世界の昔話
むかしむかし、あるところに、一匹のチョウチョがいました。 「ねえ、ヒナギクの奥さん。ぼく、花のお嫁さんを探しているのだけど、どの花をお嫁さんにしたらいいのでしょうか?」 実はヒナギクは、まだ若いお嬢さんだったので、チョウチョに奥さんと言われて怒ってしまったのです。 「クロッカスもいいな。アネモネもきれいだな。でも、ぼくのお嫁さんには向いていないな」 それからチョウチョは、スミレやチューリップやスイセンに出会いましたが、どの花も気に入りませんでした。 やがてチョウチョは、白いリンゴの花の上を通りかかりました。 「白いお嫁さんか。なかなかいいな。・・・いや、リンゴの花は風が吹くとすぐに散ってしまうから、やっぱりだめだ」 「うーん。上品で清らかで。それにきっと、働き者にちがいない」 「今はきれいでも、年を取るとこんなにきたなくなるのか。そんなのは、ごめんだよ」 けれどチョウチョのお嫁さんは、まだ決まりません。 そこでさっそく、ハッカ草に結婚を申し込みました。 「今さら結婚なんて嫌よ。だって、あなたもわたしも、もう、こんなにも年寄りなのよ」 寒さに震えたチョウチョは、一軒の家に入っていきました。 家の中ではストーブが燃えていて、とても暖かでした。 チョウチョは体を温めると、もう一度家の外に飛び出そうとしました。 でも、そのとたん、 と、人間の子どもに捕まってしまいました。 おしまい |
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