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福娘童話集 >えとのおはなし >たつ・りゅうのお話し > ホラふき和尚
たつ・りゅうのお話し 第 11 話
ホラふき和尚
山口県の民話→ 山口県情報
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
投稿者 「天乃悠の朗読アート」 天乃悠の朗読アート
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投稿者 「あーる」 【眠れる朗読】
むかしむかし、あるお寺に、村人たちから『ホラふき和尚』と呼ばれているお坊さんがいました。
この和尚さん、あんまりホラばかりふいているので、村人たちは和尚さんの言う事を全く信用していません。
ある日の事、和尚さんは村人たちをおどろかせてやろうと思い、お寺の門前にある大きな池のほとりに、こっそりとこんな立て札をたてました。
《明日のお昼、この池から竜が天に登るであろう。池の主の竜より》
さあ、この立て札を見た村人たちはびっくりです。
むかしからこの池には竜が住んでいると言われているので、みんなはこの立て札を信じました。
ですから次の日の朝には、池のまわりは黒山の人だかりです。
それを見て、和尚さんはうれしそうに笑いました。
「あっはははは。村の者たちめ、わしのいたずらに、まんまとひっかかったわい。さて、お昼になったら出ていって、わしの仕業だと話してやろう。みんなのあきれた顔が、見ものじゃわい」
やがて、お昼が近づいてきました。
「よし、そろそろ行くとするか」
和尚さんが出かけようとすると、空がにわかに曇って暗くなってきました。
そして目の前の池から、なんと本物の竜が姿を現して、銀色のうろこを光らせながら黒い雲の中へ消えていったのです。
村人たちは驚きましたが、もっと驚いたのはいたずらをした和尚さんです。
「なっ、なんと! まさか本当に竜がいるとは・・・」
しばらく呆然としていた和尚さんですが、すぐに村人たちの前に駆け出すと大声で言いました。
「おーい、よく聞け! あの立て札はな、実はわしが立てたんじゃ。わしが立てたおかげで、竜が現れたんじゃ!」
けれども、村人たちは、
「ほれ、またいつもの和尚のホラが始まった。竜が現れたのを、自分の手柄にしよるぞ」
「ほんに、しようのない和尚じゃ」
と、誰も信じなかったという事です。
おしまい
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