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トラのお話し 第 6 話
トラより強いキツネ
中国の昔話 → 中国の国情報
むかしむかし、キツネが散歩をしていると、ばったりとトラに出会ってしまいました。
トラはキツネを捕まえると、大きな口を開けてキツネを食べようとしました。
「ちょっと待って下さい。トラさん」
キツネが、トラに言いました。
「あなたは自分だけが強くて、動物たちの王さまだと思っているのでしょう? でも、あなたはまだまだ、わたしにはかないませんよ」
「なに? お前がおれさまより強いもんか!」
「いいえ、わたしの方が強いですよ」
「うそだ!」
「うそだと思うなら、わたしと一緒に町を歩いてごらんなさいな。人間たちがわたしを見て、もし怖がらなかったら、その時はわたしを食べてもいいですよ」
「よし、それでは一緒に行ってやろう」
そこでキツネはトラを連れて、にぎやかな町へ行きました。
すると町を歩いていた人間たちは、みんなキツネの後ろを歩いているトラが怖くて、我先にと逃げてしまいました。
そこでキツネは、いばって言いました。
「ねえ、人間たちはわたしを見て、逃げて行ったでしょう」
するとトラは、
(キツネの言う事は本当だった。あの人間がこんなに恐れるとは、キツネはそうとう強い奴に違いない)
と、思い、キツネが怖くなって、尻尾をまいて逃げてしまいました。
おしまい
ことわざの「虎の威を借る狐」は、この昔話から生れました。
※有力者の権勢をかさに着ていばるつまらぬ者のたとえ。 (広辞苑より)
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