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5月25日のイソップ童話
金のオノ、銀のオノ
むかしある男が、川のそばで木を切っていました。
ところが手が滑って、持っていたオノを川に落としてしまいました。
男は困ってしまい、シクシク泣きました。
オノがないと、仕事が出来ないからです。
すると川の中からヘルメスという神さまが出て来て、ぴかぴかに光る金のオノを見せました。
「お前が落としたのは、このオノか?」
「違います。わたしが落としたのは、そんなに立派なオノではありません」
すると神さまは、次に銀のオノを出しました。
「では、このオノか?」
「いいえ。そんなにきれいなオノでもありません」
「では、このオノか?」
神さまが3番目に見せたのは、使い古した汚いオノでした。
「そうです。そうです。拾って下さってありがとうございます」
「そうか、お前は正直な男だな」
神さまは感心して、金のオノも銀のオノも男にくれました。
喜んだ男がこの事を友だちに話すと、友だちはうらやましがって、
「おれも金のオノをもらってこよう」
と、さっそく汚いオノを持って川へ出かけました。
そして、
「えいっ!」
と、わざとオノを川に投げると、シクシクうそ泣きを始めました。
そこへ川から神さまが出て来て、ぴかぴか光る金のオノを見せました。
「お前が落としたのは、このオノか?」
「そうです。そうです。金のオノです。その金のオノを川に落としてしまったんです」
とたんに、神さまは目をつり上げて、
「このうそつきの欲張り者め!!」
怖い顔で怒鳴ると、川の中へ戻ってしまいました。
うそつきで欲張りな友だちは、自分のオノも拾ってもらえず、いつまでも川のそばでワンワン泣いていました。
神さまは正直な人には優しくしてくれますが、それだけに、うそつきには厳しい態度を取ります。
欲張ってうそをつくと、結局は前よりも損をするのです。
※ よく知られている「金のオノ、銀のオノ」です。
一般的なイメージは、「湖の女神」ですが、本来はこの話の様に、「川のヘルメス」なのです。
おしまい
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