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ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >にほんむかしばなし(日本民间故事) >四月
家が栄える、おまじない
家族繁荣的魔法
翻訳者:中国廣東省恵州学院 陳怡彤
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
むかしむかし、きっちょむさんと言う、とんちの上手な人がいました。
很久很久以前,有个叫吉四六,非常有急智的聪明人。
きっちょむさんの村には、先祖代々田畑や山をたくさん持っている金助(きんすけ)さんという大百姓がいました。
吉四六的村子里,有一个世世代代都拥有很多田和山的叫金助的大农户。
しかしどうしたわけか金助さんの代になってから少しずつ財産が減っていき、もうどうにもならない状態でした。
但是不知为什么到了金助的这一代,财产开始一点点减少,已经到了毫无办法的状态了。
「あれほど栄えていた家が、こうもすたれるとは。これはきっと、福の神が家を出て行ったからに違いない」
“曾经那样繁荣的家族,如今变得这样衰败。这一定是因为福神从家里走出来了”
金助さんが、こう考えたのも無理はありません。
金助这样想也不是没有道理的。
なぜなら金助さんはとても良い人で、これまでに悪い事もお金をむだに使った事もないからです。
之所以这么说是因为金助是一个很好的人,到现在为止也没做过坏事,也没有做过浪费钱的事情。
それなのに金助さんの田畑だけに虫がついてお米が出来なかったり、大事な牛や馬が病気になって死んだりと、次から次へと悪い事が重なって行くのです。
尽管如此,金助的田地里却有虫子,连大米也种不好,重要的牛和马也因为生病死掉了,不好的事情一件跟着一件的发生。
有名な易者(えきしゃ)に占ってもらっても原因がわからず、神主さんにお払いをしてもらっても効き目がありませんでした。
找来有名的算命先生来占卜也找不到原因,拜托神官帮忙也没有效果。
そんなある日、金助さんはふと思いました。
直到有一天,金助先生忽然想道。
「そうだ、あのきっちょむさんだったら、何か良いまじないを知っているかもしれんぞ」
“对了,如果是那个吉四六的话,说不定会知道些什么”
金助さんから相談を受けたきっちょむさんは、しばらく首をひねって考えていましたが、やがて何かを思いついたのか、ひざをぽんとたたいて言いました。
和金助商量了一下的吉四六歪着头想了一下,不一会儿好像想起了什么,拍着膝盖说了。
「よし。ほかならぬ金助さんの頼みだから、とっておきのまじないをお教えしましょう」
“好。因为是金助先生的请求,所以教你秘藏的魔法吧。”
「それは、ありがたい。して、それはどんなまじないだね?」
“那真是太感谢了。那、那是什么样的魔法呢?”
「まあ、待ってください。
“哎呀,请等一下。
ここでは説明出来ない事だから、明日の朝早く八幡(はちまん→八幡神を祭神とする神社の総称)さまの鳥居の下に来て下さい。
这可是在这里解释不了的事情,所以明天早上到八幡神社(祭祀八幡神的神社的总称)的牌坊(指入口处)下来吧。
そこで、とっておきのまじないをお教えしますから。
我会在那里教给你秘藏的魔法。
でもその代わり、ほかの村人が起きる前に起きて、自分の家のまわりとよその家のまわりを回ってくるのですよ。
但是与之相对的,在其他的村民在起床前,你要从自己家的周围和其他的家的周围绕过来。
そうしないと、とっておきのまじないも効き目がありませんからね」
不那样的话,秘藏的魔法就不会有效的哦”
「いいとも、いいとも」
“好的,好的”
さて次の朝、金助さんは約束通り、まだ薄暗いうちに起き出しました。
然后,第二天的早上,金助按照约定,天刚蒙蒙亮的时候起来出门了。
金助さんは生まれた時からのお坊ちゃんなので、こんなに早起きをしたのは生まれて初めてです。
金助从出生开始就是大少爷,所以这么早起来是有生以来第一次。
「ああ、早起きの朝と言うのは気持ちが良い物だな。今日はきっと、村一番の早起きに違いないぞ」
“啊啊,说起来早起的早上,心情就是好啊。我今天一定是村里最早起的人了。”
金助さんは家の者を起こさないように着替えると、きっちょむさんの言葉通りに家のまわりを一回りしました。
金助为了不吵醒家里的人,按照吉四六说的绕着家里走一圈。
すると納屋の前に、昨日の仕事を終えた使用人が、すきやかまなどの道具をてきとうに置いていたのを見つけました。
这时,在仓库前面,发现了结束昨天工作的佣人随便地把锅等道具放着。
(なんだ、これは? うちの使用人は、いつもこんなにだらしないのか?)
(什么!这是怎么回事?我家的佣人一直都是这么懒的吗?)
金助さんは少し嫌な顔をしましたが、きっちょむさんとの約束通り、ほかの家々をまわりながら八幡さまの方へと向かいました。
金助脸上有了稍微讨厌的神情了,但还是按照和吉四六的约定,一边绕着其他各家周围走,一边朝八幡神社的方向出发了。
すると驚いた事に、今日は村一番の早起きだと思っていたのは間違いでした。
然而让人吃惊的是,(金助以为自己)今天一定是村里最早起的人了。
他の家ではもう仕事を始めていて、まだ寝ている家は金助さんの家だけです。
(但是)其他家的人已经开始工作了,只有金助家的人还在睡。
(これは・・・)
(这真是・・・)
金助さんが八幡さまへ着いてみると、野良着を着たきっちょむさんがもう先に来ていました。
金助到八幡神社一看,穿着田间工作服的吉四六已经先来了。
「きっちょむさん」
“吉四六啊”
金助さんが声をかけると、きっちょむさんがふり返りました。
听到金助说话的声音的话,吉四六回过头来。
「やあ、金助さん。今日は、早く起きましたね。では約束通り、家が栄えるまじないをお教えしましょう」
“哎呀,金助先生。今天,这么早就起来了呀。那么,按照我们约定好的,我教你家族繁荣的魔法吧”
すると金助さんは、手をふって答えました。
这时金助就摆摆手回答了。
「きっちょむさん。
これ以上、わしにはじをかかさないでくれ。
早起きしたおかげで、家がおとろえたわけがわかったよ。
さっそく家に帰って、家の者たちと働かないとな」
“吉四六啊。
就到这里吧,不要再让我感到更加羞耻了。
因为早起的缘故,我已经知道了家族衰败的原因了。
我得赶紧回家,要和家里的人一起工作才行啊”
「それは結構。がんばれば、すぐに元の暮らしが取り戻せますよ」
“那就好了。只要努力,马上就能回到原来的生活了哦”
それから金助さんは、毎日誰よりも早く起きて家の者たちと一緒に仕事をしました。
从那以后,每天早上,金助比谁都早起床,一起和家里的人工作了。
そのおかげできっちょむさんの言葉通り、金助さんの家は以前の豊かさを取り戻したのです。
因此就像吉四六说的那样,金助家恢复了从前的繁荣富有。
おしまい
完
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