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ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >にほんむかしばなし(日本民间故事) >四月
4月24日の日本の昔話
ひげの長者
长胡子富翁
翻訳者:廣東省恵州学院 陳怡彤
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもゆかいな人がいました。
很久很久以前,有个叫吉四六的、非常乐天的人。
吉四六さんの村には長兵衛さんという、仙人の様に長いあごひげを生やしたお金持ちの老人がいました。
吉四六村里有个叫长兵卫的、下巴长着像仙人一样长的长胡子的有钱的老人。
そしてこの老人は、
这个老人总是在自认为了不起的样子说,
「おれのひげは、日本一だ!」
と、いつも威張っているのです。
“我的胡子,是日本第一(长)!”
そして自慢のひげを褒める人がいれば、誰でも家に連れて来てごちそうをするのでした。
然后如果有人夸奖自己骄傲的长胡子的话,无论是谁都会带到他家进行招待。
ある夜の事、吉四六さんが長兵衛さんの家に遊びに行ってみると、長兵衛さんは見知らぬ二人の旅人をもてなして、飲めや歌えの大騒ぎでした。
有一夜,吉四六去长兵卫的家里去玩了一下,发现长兵卫正在招待从未见过的陌生的两个旅人,又是喝酒又是唱歌的很是热闹。
「こんばんは、長兵衛さん。今日はご機嫌ですね」
“晚上好、长兵卫。今天心情很好啊”
吉四六さんが言うと、長兵衛さんはにこにこ顔で、
听吉四六说完,长兵卫脸上笑眯眯的,回道。
「吉四六さん、喜んでくれ。
“吉四六,为我高兴吧。
実はこの客人は、伊勢の国(いせのくに→三重県)のひげの長者のお使いだそうだ。
其实这个客人,是伊势国(三重县)的一个胡子富翁的仆人。
ひげの長者は、その名の通り大変長いひげを持っておられたが、一年前に亡くなられる時、遺言として、
胡子富翁,就如那个名字一样有很长的长胡子,在一年前去世的时候,留下遗言,说
『これから日本一の長ひげの男を探し出して、その男に黄金千両をわたしてくれ』
と、言ったそうじゃ。
‘现在开始,要找出日本胡子第一长的男人,给那个男人黄金千两’
それで、このお客さんたちは国々を探し歩いた末、やっとわしの日本一のひげを見つけて下されたのじゃ。
因此,这些客人们在各国寻找,终于找到了我这日本第一长的胡子。
だからわしは、明日から客人と一緒に伊勢の国へ行って、黄金千両をもらってくるんだ」
と、答えました。
所以我明天开始就要和客人一起去伊势的国度,可以得到黄金千两。”
「へえ、まあ、それはおめでたい事で」
“哦,哎呀,那真是可喜可贺的事啊”
吉四六さんは適当に相づちを打って、自分もごちそうになりましたが、旅人が酔い潰れて寝てしまうと、長兵衛さんを別室に呼んで尋ねました。
吉四六适当地随声附和,自己也受到了招待,但在旅人酔倒睡着了之后,把长兵卫叫到了别的房间。
「長兵衛さん。お前さんは寝る時、ひげはふとんの外に出して眠りますか? それとも入れて眠りますか?」
“长兵卫。你在睡觉的时候,长胡子是放在被子外面睡觉吗?还是装进去(被子里)呢?”
「おや? 吉四六さん、どうしてそんな事を聞くんだね?」
“哎呀?吉四六,为什么会问这样的事情呢?”
「いや、実はさっき、かわや(→トイレの事)に行った時、客人が二人で話しているのを何気なく耳にしたが、これもやはり長者の遺言で、黄金を渡す前にひげの出し入れを聞いて、はっきり答えが出なければ黄金を渡さないらしいんだ。遺言だから長兵衛さんに言って聞かせるわけにもいかず、うまく答えてくれればいいと話し合っていたんだよ」
“不是,其实刚才,我去厕所的时候,无意中听到了两位客人的对话, 这果然还是有关富翁的遗言,在给黄金前问长胡子的放置的位置,要是不能明确回答的话好像就不给黄金。因为是遗言所以要让长兵卫知道,商量着要怎样回答才好呢”
「何だ、そんな事だったら、わけもなく答えられるよ。なにせ、自分のひげじゃないか」
“什么,如果是那样的事,很简单就可以回答了呀。毕竟,这是自己的胡子嘛?”
長兵衛さんはそう言いましたが、いよいよふとんに入ってみると、今まで気にもしなかった事なので、いくら考えてもどっちかわかりません。
虽然长兵卫这样说了,但把长胡子放进被子里一看,(因为是)到现在为止也没有注意过的事情,无论怎么考虑,也不知道哪一种方式。
試しにひげをふとんの中に入れて眠ろうとすると、いつも出していた様な気がしますし、かといって出してみると、なんだか寒くて眠れません。
试着把长胡子放在被子里睡觉的时候,总有一种(胡子)会出来的感觉,或者试着放出来的话,总觉得会睡得很冷。
「こりゃ、困ったぞ」
“这可真是,很为难啊”
長兵衛さんがひげを入れたり出したりしているうちに、真夜中になってしまいました。
在长兵卫把长胡子放出去放进来的时候,不知不觉就到了深夜。
するとどこからともなく、ミシリ、ミシリという足音が聞こえてきます。
在这时,不知道是从哪里,听到了嘶嘶的脚步声。
「はて? 今頃、誰だろう?」
“咦?现在这种时候,是谁呢?”
顔をあげてみると、しょうじに二つの怪しい影がうつりました。
抬头一看,在纸拉门上映出了两个可疑的影子。
後を付けてみると、その影は土蔵の前に忍び寄って、扉の錠を壊し始めました。
跟在后面发现,那黑影偷偷地靠近仓库的前面,开始破坏门锁。
驚いた長兵衛さんは、大声で、
「泥棒! 泥棒!」
“小偷!小偷!”
と、叫びました。
长兵卫吓了一跳便大声叫喊起来,
するとその声に家の人たちが目を覚まして騒ぎ出したので、泥棒はそのままどこかへ逃げてしまいました。
在这时家里的人都因为叫喊声醒来了,吵闹地出来了,小偷就那样不知道往哪里逃走了。
さて、夜が明けると、吉四六さんがにこにこしながらやって来ました。
然后,天亮了,吉四六笑嘻嘻的过来了。
そして、尋ねました。
接着,问道。
「長兵衛さん、ひげの事はわかったかね?」
“长兵卫,胡子的摆放的事弄清楚了吧?”
「ああ、吉四六さん。それどころか、あの客人は泥棒だったよ」
“啊,吉四六。岂止如此,那个客人是小偷哟”
「で、何か盗まれたかね?」
“所以呢,有什么被盗的吗?”
「いや、昨夜はひげの出し入れが気になって、昨夜は眠れなかったんだ。
“没有,因为昨晚很在意长胡子的放进放出,所以昨晚睡不着觉。
その為、早くに泥棒に気がついたから、何も盗まれなかったよ。
因此,很快就注意到了小偷,什么也没有被盗。
だが吉四六さん、あの泥棒は馬鹿な奴だな。
但是,吉四六,那个小偷真是个愚蠢的家伙。
ひげの出し入れの事を言わなければ、わしはぐっすりと眠っていただろうに」
如果不说长胡子放进放出的事情的话,我会睡得很熟了吧(也就不会发现客人是小偷了)”
それを聞いた吉四六さんは、大笑いしました。
吉四六听了那个,大笑了起来。
「わっはははっ。
“哇哈哈哈。
長兵衛さん、そのひげの出し入れは、実はおれの作り話なんだ。
长兵卫,那个长胡子放进放出的事情,其实我编造的。
あの二人があやしいと思ったので、お前さんが眠らないように、あんな事を言ったんだよ」
因为觉得那两个人有点奇怪,为了让你不要睡所以才说了那样的事情”
「おや、そうだったのか。でも、どうしてあの客人が泥棒だという事に気がついたんだ?」
“哎呀,是这样的吗?但是,你为什么注意到了那个客人是小偷呢?”
「それはだな。お前さんのひげが、日本一でないからだ。お前さんよりも長いひげを持つ者は、町へ行けばいくらでもいるさ。何でも自分が一番だとうぬぼれると、今度の様に人から騙されるんだ」
“那是因为啊。因为你的长胡子,不是日本第一。要是到镇上去的话,胡子长得比你长的人不知有多少呢。不管什么都觉得自己是第一而骄傲自大的话,也会像这次一样被人骗的”
「・・・なるほど」
“・・・、原来如此”
この事にこりた長兵衛さんは、もうひげの自慢をしなくなったそうです。
在这件事上吃到苦头的长兵卫,已经不再因为长胡子而骄傲自满了。
おしまい
完
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