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5月15日の日本の昔話
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イラスト 「愛ちん(夢宮愛)」 運営サイト 「夢見る小さな部屋」
鉢かづき姫
大阪府の民話 → 大阪府の情報
・日本語 ・日本語&中国語
アニメサイズ
Max 2880×2160
イラスト 「愛ちん(夢宮愛)」 運営サイト 「夢見る小さな部屋」
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
投稿者 「NonBilly」 NonBillyのんびりライフ
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制作: フリーアナウンサーまい【元TBS番組キャスター】
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制作 : 妖精が導くおやすみ朗読チャンネル
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制作: ユメの本棚
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投稿者 眠れる森のくま
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投稿者 ナレーター熊崎友香のぐっすりおやすみ朗読
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投稿者 「眠りのねこカフェ」
むかしむかし、河内の国(かわちのくに→大阪)に、ひとりの大金持ちが住んでいました。
なに不自由ない暮らしをしていましたが、子どもだけはどうしてもさずかりません。
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それで毎晩、長谷寺(はせでら)の観音さま(かんのんさま)に手を合わせてお願いをして、
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ついに念願の子どもが生まれたのです。
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その子どもはお母さんによく似た、美しい姫です。
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ところが姫が十三才になった年、お母さんは重い病気にかかりました。
お母さんは、姫を枕元に呼ぶと、
「わたしはまもなく遠い所へ行きます。
わたしがいなくなるのは運命ですから、悲しむ必要はありません。
さあ母の形見に、これを頭にのせていなさい。
きっと、役に立ちますからね」
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そう言って重い箱を姫の頭の上にのせたばかりか、大きな木の鉢(はち)までかぶせました。
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そして、お母さんはなくなりました。
お父さんは姫の頭の上の鉢を取ろうとしますが、どうしてもはずせません。
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そのために姫は『鉢かづき』といって、バカにされたり、いじめられたりしました。
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やがてお父さんに、二度目の奥さんがやってきました。
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この新しいお母さんが悪い人で、鉢かづき姫にいじわるをしたり、かげ口をたたいたり、
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最後にはお父さんをうまくだまして、鉢かづき姫を追い出してしまったのです。
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家を追い出された鉢かづき姫は、シクシク泣きながら大きな川のほとりにやってきました。
「どこへ行ってもいじめられるのなら、ひと思いに、お母さまのそばへ行こう」
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ドボーン!
思いきって川の流れに飛び込みましたが、木の鉢のおかげで浮きあがってしまいました。
鉢かづき姫は、死ぬ事さえ出来ないのです。
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村の子どもたちが、鉢かづき姫に石を投げました。
「わーい。頭がおわん。からだが人間。お化けだぁー」
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ちょうどその時、この国の殿さまで山陰(さんいん)の中将(ちゅうじょう)という人が、家来を連れてそこを通りかかりました。
中将は親切な人だったので、鉢かづきを家に連れて帰ってふろたき女にすることにしました。
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この中将には、四人の男の子がいます。
上の三人は結婚していましたが、一番下の若君には、まだお嫁さんがいませんでした。
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心のやさしい若君は、鉢かづき姫が傷だらけの手で水を運んだり、おふろをたいたりするのを見てなぐさめました。
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「しんぼうしなさい。きっと、良い事があるからね」
「はい」
鉢かづき姫は、どんなにうれしかった事でしょう。
こんなにやさしい言葉をかけられたのは、お母さんが死んでから初めてです。
それから、何日か過ぎました。
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若君は、お父さんの前へ出ると、
「父上。わたしは、あの娘と結婚しようと思います。しんぼう強く、心のやさしいところが気にいりました」
と、言ったのです。
もちろん、お父さんの中将は反対です。
「ならん! あんな、ふろたき女など!」
「いいえ! あの娘は素晴らしい女性です。あれほどの娘は、他にはいません!」
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「素晴らしい? 他にはいないだと? ・・・よーし、では嫁合わせをしようではないか。兄たちの嫁と、あの鉢かづきを比べようではないか」
三人の兄の嫁は、とても美しい娘です。
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こうすれば鉢かづき姫は恥ずかしくて、自分からどこかへ行ってしまうだろうと考えたのです。
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さて、いよいよ嫁合わせの夜がきました。
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鉢かづき姫は思わず手を合わせて、長谷寺の方をおがみました。
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「お母さま。
観音さま。
今夜、嫁合わせがあります。
お兄さま方のお嫁さんは、とても美しい姫君たちと聞きます。
わたしの様な鉢かづきが出て行って、いとおしい若君に恥をかかせるくらいなら、いっそこのままどこかへ・・・」
その時です。
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今までどうしてもはずれなかった頭の木鉢が、ポロリとはずれたのです。
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鉢の下からは、かがやくばかりの姫が現れました。
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そして鉢の中からは、金・銀・宝石があとからあとからこぼれ出ました。
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そこへ現れた若君が言いました。
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「やはり、あなたは素晴らしい娘だ。さあ、美しい姫よ、嫁合わせに行きましょう」
屋敷の中では、三人の兄たちの美しく着飾った姫たちがならんでいます。
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そこへ鉢かづき姫が、ニコニコと笑いながら現れました。
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「おおーっ」
お父さんの中将が思わず声をあげたほどの、まぶしいばかりの美しさです。
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中将は鉢かづき姫の手をとって自分の横に座らせると、若君に言いました。
「まったく、お前の言う通り素晴らしい娘だ。この娘を妻とし、幸せに暮らすがよい」
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「はい、父上!」
「ありがとうございます。お父さま」
それから若君と姫は仲むつまじく暮らして、二人の間には何人かの子どもも生まれました。
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ある時、鉢かづき姫が長谷寺の観音さまにお参りをしたときのことです。
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本堂の片すみで、みすぼらしい姿のお坊さんに会いました。
そのお坊さんの顔を見て、鉢かづき姫はびっくり。
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「まあ、お父さまではありませんか」
「姫、姫か!」
二人は抱き合って、数年ぶりの再会を喜びました。
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すっかり落ちぶれて新しい奥さんにも見捨てられたお父さんは、鉢かづき姫を追い出した事を後悔して、旅をしながら鉢かづき姫を探していたのです。
「すまなかった。本当にすまなかった」
泣いてあやまるお父さんに、鉢かづき姫はにっこりほほえみました。
「いいえ。いろいろありましたが、今はとても幸せなのですよ」
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それからお父さんは鉢かづき姫のところにひきとられ、幸せに暮らしました。
おしまい
イラストレーターの愛ちん(夢宮愛)さんが、その後のお話しを描いています。
お気軽に、お立ち寄りください。
→ その後の『鉢かづき姫』
→ 鉢かづき姫 生まれ変わった姿 (誕生日占い 9月20日より)
おまけ
ささずんと昔話講座 第03話【鉢かづき姫】
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