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6月27日の日本の昔話

大福虫

大福虫
長野県の民話長野県の情報

 むかしむかし、ある田舎のお話です。

 町から来た人が、道に大福もちを一つ落としていきました。
「おや? おかしな物を落としていったぞ」
 子どもたちが集まってきましたが、この田舎では誰も大福もちを見た事がないので、それが食べ物だとわかりません。
 子どもの一人が指でさわってみると、ぐにゃりとしています。
「うへぇー、ブヨブヨして気味が悪いな」
 子どもたちが不思議がっていると、一人のお百姓さんが通りかかりました。
「おや? どうしたのだ? 何かいるのか?」
「うん。これ、何だろうと思って」
「どれどれ」
 お百姓さんは大福もちを手に取ってみましたが、お百姓さんにも何だかわかりません。
「うーん、このブヨブヨとした感触は、イモムシだな。これはイモムシの親玉に違いない」
「なーんだ、イモムシか」
 安心した子どもの一人が指で突っつくと、中から黒いあんこが出てきました。
 びっくりしたお百姓は、あわてて大福もちを投げ捨てて言いました。
「馬鹿! そんな事をして、指を食いつかれたらどうするんだ」
「でも、動かないから、死んでいるんじゃないの?」
 子どもに言われて、お百姓さんが恐る恐る大福もちに近づいてみると、破れた大福もちの皮からつぶつぶのあずきが顔をのぞかせています。
「うーん。どうやらこいつは、あずきを食う虫のようだ。
 こんな大きな虫なら、せっかくの小豆をみんな食べてしまうぞ。
 もう死んでいるようだが、念のために踏みつぶしておこう」
 そう言ってお百姓さんは大福もちを踏みつぶすと、たたられないように大福もちのお墓を作って、
「どうか、成仏して下さい」
と、みんなで手を合わせたそうです。

おしまい

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