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11月13日の日本の昔話

たいこもちと三つ目の大入道

たいこもちと三つ目の大入道
東京都の民話 → 東京都の情報

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

投稿者 「癒しの森っ子

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投稿者 「眠りのねこカフェ

♪音声配信(html5)
音声 ヤマネコギン

 むかしむかし、江戸でたいこもち(→たいこをたたいたり芸をして、えんかいを盛り上げる仕事)をしている富八(とみはち)が、箱根の温泉に行きました。
「毎日毎晩、お客のごきげんとりでクタクタだ。おれだってたまには、息抜きをしねえとな」

 さて、その帰り道の事です。
「ああー、いいお湯だった」
 富八がきげん良く箱根の坂道を歩いていると、
「おい、待て!」
と、呼び止める声がしました。
「だっ、だれだ?」
 振り向くとそこには、何と三つ目の大入道がいたのです。
 なみの男なら、きもをつぶして逃げ出すところですが、富八は客あしらいのうまさで身をたてているたいこもちです。
 ちょっとやそっとでは、おどろきません。
 とりあえず化け物にだまされないおまじないにと、まゆ毛につばをぬってから言いました。
「よよっ、だれかと思えば、三つ目さんじゃありませんか。
 どうも、お顔が見えねえと思ったら、こんな山の中にひっこんでいたんですかい。
 まったく、やぼというか、物好きというか。
 いやはや、あきれたお方だ」
 三つ目の大入道は、富八の勢いに飲み込まれてたじたじです。
「えっ? そういうお前は、だれだったかなあ?」
「いやですな、たいこもちの富八をおわすれだなんて。
 三つ目さんも、お人が悪い。
 ひところは、ずいぶんとひいきにしてくださったじゃありませんか。
 ねえ、そうでしょう」
 こう言われると、知らないとは言えません。
「そうそう、富八だったな」
 ていさいをつくろって、むりに話を合わせました。
 こうなれば、もう富八のペースです。
(へっへへ。こいつを江戸へ連れ出して見世物小屋へ売り飛ばせば、ひともうけ出来るわい)
 そうたくらんだ富八は、言葉たくみに三つ目の大入道を江戸へさそいました。
「ねえ、ねえ、三つ目さんや。
 こんな山の中で人をおどかしてみたところで、一文にもなりゃしないですよ。
 そんなつまらない暮らしは、もうやめにしてはどうですか?
 一度、花のお江戸へ来てごらんなさいな。
 あんたくらいめずらしいお顔をしていれば、ほうぼうからおよびがかかって、あっちからも小判、こっちからも小判、そっちからも小判と、小判小判のお山が出来ますよ。
 それに幽霊のきれいどころだって、ほうってはおかないよ。
 いや、にくいね、色男。
 金に女に、かー、こりゃあたまらないねえ」
「ほっ、ほんとですかい?」
「この富八、うそとぼうずの頭は、ゆったことがねえのがじまんなんです。
 ささっ、けっして、けっして、悪いようにはいたしませんて。
 人生は誰でも一度きり、だんな、ここが人生の勝負時ですぜ」
 富八の調子の良さに、三つ目の大入道はついつい道をいっしょにしましたが、どう考えても話がうますぎます。
 三つ目の大入道は小田原(おだわら→神奈川)あたりまで来ると富八の話をあやしみだして、立ち止まりました。
「おや、三つ目のだんな。いったい、どうしたんですか?」
 富八が振り返ると、三つ目の大入道は人にだまされないおまじないに、まゆ毛につばをぬっていました。

おしまい

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