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5月26日の百物語

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 むかしむかし、あるお寺に若者たちが集まって、百物語を始めました。
 一人一人順々に怖い話を語っていき、最後の百話目を語り終えた若者が百本目のロウソクをフッと消したその時、
「ガタン!」
と、突然に天井板が外れて、天井裏から何か大きな物が落ちてきたのです。
「うぎゃー!」
「でっ、出たー!」
 若者たちがあわてて明かりをつけると、落ちてきたのは棺おけでした。
「な、なぜ、天井裏から棺おけが!?」
 若者たちはしばらくの間、棺おけを取り囲んで様子を見ていましたが、特に何も起きません。
 やがて気を取り直した一人の若者が、みんなに言いました。
「おい、誰かこの棺おけを開けてみろや」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
 誰も棺おけを開けようとしないので、仕方なく言い出した若者が棺おけを開けてみました。
 すると中には、なんともおいしそうなボタモチがいっぱい入っていたのです。
「本物か?」
 棺おけを開けた若者が恐る恐るボタモチを手に取ると、それは本物で上等のボタモチでした。
「何だかよくわからんが、うまそうなボタモチだな」
 若者たちも大喜びで、そのボタモチをみんな食べてしまいました。

 さて次の晩、お寺に昨日の若者たちが集まって、また百物語を始めました。
 若者たちの目的はボタモチで、中にはお茶を用意している者もいます。
「さあ、今日も腹いっぱい食うぞ」
 みんなが順番に怖い話をしていき、百本目のロウソクの火が消されたその時、
「ガタン!」
と、昨日と同じ様に天井板が外れて、何かが落ちてきました。
「よし!」
「待ってました!」
 若者たちが喜んで明かりをつけると、何と落ちてきたのは棺おけではなく、手にはそろばんと大福帳(だいふくちょう)を持った、真っ白いひげのおじいさんでした。
 おじいさんはニッコリ笑うと、大福帳をパラパラとめくり、そろばんをパチパチとはじいて若者たちに言いました。
「お前たち、一人、百文ずつ払ってもらおう」
「???」
「???」
 若者たちが不思議な顔をしていると、おじいさんが続けて言いました。
「お前たちは昨日、棺おけに入ったボタモチを食べたであろう。今日はその勘定(かんじょう)をもらいに来たんだ」

 百物語で出て来る化け物の中には、こんな変わった化け物もいたという事です。

おしまい

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