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福娘童話集 > 百物語 > 十二月

12月11日の百物語
(12月11日的日本鬼故事)
雪の夜どまり

雪の夜泊まり
雪夜怪談

日本語 ・日本語&中国語

♪音声配信(html5)
朗読者 ; ぬけさくのいちねん草紙

むかしむかし、一人の狩人(かりゅうど)が冬山でえものを追いかけているうちに、すっかり日が暮れてしまいました。
到好久以前、一條獵人到冬天的山上追獵物、這一哈天就過黑了。

「さて、どうしたもんだろう」
這就不曉得要怎麼搞了。

狩人が辺りを見回すと、それほど遠くないところにポツンと明かりが見えました。
獵人就四野到處步、這就看到㫘得好遠的地方燈亮到的。

「こら、天の助けだ!」
好傢伙好傢伙!

狩人が明かりの方へ近づくと、それは炭焼き小屋でした。
獵人就靠過去、那是條燒碳的小窯。

ドンドンドン
敲門聲

狩人は、小屋の戸を叩いて言いました。
獵人這就敲門

「おらは狩人だが、この大雪で帰るに帰られなくなった。どうか、泊めてくれねえか」
講明來意了、自己是來山上的獵人、現在這個雪不好回去了、想這這裡借個一晚。

すると小屋から親方で出てきて、狩人を中に入れてくれました。
這屋裡面管事的人就出來跟獵人開了門放進屋了。

「ああ、ええとも、ええとも。こんなあばら家だが、とにかく入ってけれ」
主人講了些套話就開始幫獵人往屋裡邀。

狩人は親方に案内されて、いろりのそばへ座ります。
這就被帶到火塘旁邊的凳子上坐到了。

狩人がいろりで冷えた手を温めていると、親方がこんな事を言いました。
獵人手冰凌的、這就烤火、主人就講了這麼個事。

「実は、一つ頼まれて欲しいんだ。
講自己有個小忙想喊獵人幫。

こんな大雪だども、おら、下の村さ、行かねばなんねえ用事があってな。
自己要下到底下的村子裡面去、雖然現在下到雪的、但還是不去不行。

じきに帰って来るけに、ちょっとの間、留守を頼まれてけれ」
講自己一哈就得回來、想喊獵人幫屋子守到。

「ああ、ええとも、ええとも。こっちは泊めてもらってんだ。そんなのおやすいご用だ」
獵人跟到就講好、也是講報答別個讓自己進屋、講這事輕鬆。

「そうか、それを聞いて大助かりした。
主人就講這哈幫大忙了。

ただ、火を燃やす事だけは、忘れねえ様にしてけれや。
但是交待獵人一定要注意火、記到添柴。

このあたりは、オオカミが出るで。
這附近狼多。

そこのすみっこにたきぎがあるから、どんどん燃やしてけれ」
跟獵人也講了柴火的地方。

親方はそう言うと、大雪の中へ出ていきました。
這就出了門、不見到大雪裡面了。

狩人は火が消えない様にいろりにたきぎをくべていましたが、そのうちに居眠りをして、気が付くと火が消えかかっていました。
獵人為了防止火熄一直到添柴、但是後面來了睡意、這火看到就要熄了。

「こらいかん! 火が消えたら、オオカミがやって来るぞ」
噶卵了!火熄了、這萬一狼來啦。

狩人がたきぎを取りに行こうとすると、部屋のかたすみに立てかけてあるびょうぶの向こうで何かが動く気配がしました。
獵人這就跟到去取柴、但是屋裡面角角擺了個屏風、後面好像是有條甚麼東西到動。

「はて? この小屋には、おらしかおらんはずじゃが」
唉?按講這屋裡除了我就㫘人了啊。

すると今度は、ズリッズリッと、何かを引きずる不気味な音がしました。
這次就是條甚麼東西到地上拖到的聲音。

「今の音は? もしや、オオカミが入って来たのか?」
狼?

狩人はたきぎを手に持つと、恐る恐るびょうぶの向こうをのぞいて見ました。
獵人幫柴火捏手裡、慢慢的向屏風靠近。

するとびょうぶの向こうには、ふとんの上に死んだ女の人が寝かされていて、その女の人の死体を黒い何かが外へ引き出そうとしていたのです。
這一看屏風對面原來是擋了個到睡覺的女的、人到鋪蓋上面已經死了、有條甚麼黑色的東西到幫他往鋪蓋外面扯。

それは人間の形をしていますが、目も鼻も分からないほど全身真っ黒です。
樣子是條人樣子、但是五官全是烏漆麻黑的、卵看不清處。

(わわわわわぁっ、オオカミでねえ! 化け物だ!)
我日日日!鬼啊!

死体を引きずる黒い何かは狩人を見ると不気味に口を開いてニヤリと笑いましたが、わずかに残っているいろりの火が怖いのか、こちらへやって来ようとはしません。
這條黑色的不曉得是甚麼卵、看到獵人看到自己、還對到獵人陰笑、但是也不靠近這邊、不曉得是不是怕這還有余溫的火。

(この化け物、火が怖いのか?)
怕火?

そこで狩人は火の消えかかっているいろりに、杉の葉やたきぎやら燃える物を何でも構わず投げ込んで大急ぎで火をつけました。
獵人這就馬上幫火塘裡面甩乾葉子柴火啊、馬上幫火旺起來。

火が大きく燃えて部屋の中が明るくなると、女の人の死体を引きづり出そうとしていた黒い何かは明かりを恐れる様に逃げて行きました。
果然、火一幫屋裡照亮、那條黑色的甚麼鬼跟到就跑了。

やがて夜が明けて外が明るくなってくると、親方が四人の村人を連れて帰って来ました。
這就天一亮、主人也是到村子裡面帶到四個人回屋了。

「ああ、すまねがった。
大雪で帰るのが遅くなったが、ゆんべはよく眠れたべか」
回來先講了些套話、回來遲了、因為雪大。

「いんや、ゆんべは恐ろしい目にあって、眠られるどこじゃねえ」
主人問有睡好吧、獵人也是講了那條黑色的東西。

狩人は昨日の事を、親方に話して聞かせました。
這就講昨天發生的事。

すると親方は、あらたまった顔になって言いました。
主人這一哈就正經起來了。

「それは、何ともすまねがった。
先就講幫別個駭到了

実は女房が、急に体のあんべえ悪くなって死んでしまったんだ。
這就講自己堂客突然出了狀況這人看到就不行了、這就去了。

おめえさまの来る、少し前の事だった。
就到你來之前一哈哈。

それで村さ行って人を呼ぼうと思ったども、留守の間に火が消えてしまえばオオカミがやって来て女房を食ってしまう。
我想去村裡面邏人、但是又怕㫘人到時候火熄了、屍體著狼啃了。

どうしたもんだろうと考えておったところへ、おめえさまがやって来てくれた。
你來的剛剛就是這個時候。

それで、おめえさまには悪いと思ったども、黙って留守番を頼んだっちゅうわけだ。
我甚麼都㫘跟你講、就是想讓你幫這個忙。

その黒いのは、オオカミだ。
那條黑色的其實就是狼。

怖いめば会わして、めんぼくしだいもねえ。
讓你駭這一哈我也是道歉。

これこの通り、謝るで」
感謝你了。

親方は狩人に、頭を下げて謝りました。
主人這就幫腦鬠彀到跟獵人陪不是。

「昨日のは、オオカミだったか?」
昨天的是狼?

「ああ、オオカミだ。ほれ、ここに足跡があるべ」
我看腳印是條狼的。

言われてみれば、確かに小屋の床にオオカミの足跡がいくつかついています。
這麼到一看、屋裡地板上面確實是狼的腳印。

(すると昨日のは、化け物ではなくオオカミだったか? いや、おらは狩人だ。あれはオオカミなんかでねえ)
不可能、獵人就想、自己是獵人、那條傢伙絕對不是狼。

狩人が見たのがオオカミなのか化け物なのかはわかりませんが、狩人はそれ以上は何も言わずに山を下りていきました。
雖然究竟是狼還是甚麼獵人㫘搞清楚、但是獵人也甚麼都㫘講、就那麼直接下山了。

おしまい
结束

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