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1月29日の世界の昔話
ネコの名前
ベトナムの昔話 → ベトナムの情報
むかしむかし、ある人がネコを飼う事にしました。
そのネコは、とても美しくて賢いネコだったので、その人は『天(てん)』という名前をつけました。
けれども、ネコに『天』という名前は何だか変なので、その人の息子が、
「ネコに『天』という名前は、立派すぎて変ですよ。違う名前にしたらどうですか?」
と、言いました。
でも父親は、
「いやいや、このネコは素晴らしいネコなんだ。だから素晴らしい名前でいいんだよ」
と、言って、息子の話しを聞き入れようとしません。
そこで息子は、隣の家のおじいさんに相談しました。
「お父さんがネコに『天』という名前をつけたのですが、おかしいと思いませんか?」
おじいさんもネコの名前に『天』はおかしいと思い、ネコ好きの人の家へやってきて言いました。
「なぜ、ネコに『天』という名前をつけたのですか? もっとネコらしい名前にした方が、良いのではありませんか?」
するとネコ好きの人は、
「いやいや、うちのネコには『天』という名前がピッタリです。なぜなら天は、この世の中で一番高い所にありますからね」
と、答えます。
そこでおじいさんは、負けずに言いました。
「だけど、雲はその天を見えないように隠す事が出来ますよ」
「・・・そうか、なるほど! では、ネコの名前は『雲』にかえましょう」
ネコ好きの人がそう言うと、おじいさんは言葉を続けました。
「でも、雲は風に吹き飛ばされてしまいますよ」
「それもそうだな。では、『風』という名前にかえましょう」
「いや、風はいくら吹いても、壁に止められてしまいますよ」
「よし、それじゃ、『壁』という名前にかえましょう」
「でも、壁はネズミに穴を開けられてしまいますよ」
「じゃあ、『ネズミ』という名前にかえましょう」
「しかし、ネコに『ネズミ』という名前はおかしいでしょう。それに、ネズミよりも強いのはネコですよ」
「ああ、なるほど。ネコが一番強いというわけだ。よし、うちのネコの名前は『ネコ』に決めよう」
「それがいい。やっぱりネコには、『ネコ』という名前がピッタリですよ」
こうして、ネコの名前は『ネコ』に決まりました。
おしまい
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