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    福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 10月の江戸小話 > あいさつ 
      10月17日の小話 
        
      あいさつ 
        親父さんが、むすこをつれて出かけることになりました。 
   むすこをよんで、 
  「これ。おまえは、いったいいくつになったんだ」 
  「二十歳になった」 
  「そんなに大きくなったのに、いつまでも子どもみたいにしていないで、ちっとは、おとなしくしなさい。これから、よその家へいくが、もしかしたら、おまんまが出るかも知れない。おまんまが出たら、帰りに、ちゃんと、『どうも、ごちそうになりました』と、あいさつするのだぞ。わかったな」 
  「うん」 
   先方(せんぽう)につきますと、親父さんとむすこは、広いざしきに案内され、その家の主人が、あいさつに出てきました。 
   すると、むすこはいきなり、 
  「どうも、ごちそうになりました」 
  と、いいます。 
  「これ、なにをいうのだ!」 
  と、親父さんは、びっくりしていうと、むすこは、 
  「どうせ、ごちそうになるんでしょう。だから、わすれないうちに、いっておくんだ」 
      おしまい 
                 
         
        
        
       
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