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福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 1月の日本昔話 > 酒呑童子 
      1月2日の日本の昔話 
          
          
         
  酒呑童子 
      京都府の民話 → 京都府情報 
      
       
      
      
       むかしむかし、大江山(おおえやま→京都府)に酒呑童子(しゅてんどうじ)と言う、鬼の盗賊がいました。 
   酒呑童子はお酒に酔うと、いつも上機嫌になって、ポンポンと頭を叩いてニヤニヤと笑うのが癖でした。 
   ところが、源頼光(みなもとのよりみつ)たちに退治されてからは、酒呑童子は首だけになってしまいました。 
   
   お酒好きの酒呑童子は、首だけになっても酒を飲むのを止められません。 
   昼も夜も、まっ黒な雲に乗って空を飛んで歩き、酒屋を見つけると下りて来て、 
   グワグワグワーァ〜 
  と、気味の悪い声で脅かして、酒をただ飲みするのです。 
   こんなふうにして酒屋を荒らし回ったものですから、京都や大阪では黒雲を見ただけで、どこの酒屋も大戸を下ろしてしまいます。 
   仕方なく酒呑童子は黒雲に乗って、江戸ヘやって来ました。 
  「ありゃ。あそこに酒屋があるぞ」 
   酒屋の前で、ヒラリと雲から飛び降りると、 
  「グワグワグワーァ〜。上等の酒を五升(→9リットルほど)ばかり、かんをつけて持ってこーい!」 
   酒屋の者たちは、まっ青になりました。 
   持って行かなければ、何をされるか分かりません。 
   急いでかんをつけると、杯代わりにどんぶりをそえて、ブルブル震えながら差し出しました。 
  「ど、どうぞ。手じゃく(→自分でつぎながら酒を飲む事)でお飲みなすって」 
   置いて逃げ様とすると、首が怒鳴りました。 
  「おい、おい。おれは、この通り首だけだ。手じゃくではやれん。飲ませてくれ」 
  と、大きな口をバックリと開けました。 
   酒屋の主人は仕方なく、どんぶりについでは飲ませ、ついでは飲ませして、五升の酒をみんな飲ませてやりました。 
   童子の首はすっかり酔っぱらって、上機嫌です。 
  「ああ、久しぶりで、何ともいえん良い気持ちだ。ついでに、わしの頭をポンポンと叩いてくれ」 
  と、言います。 
   酒屋の主人が怖々ポンポンと叩いてやると、首はいかにもうれしそうにニヤッと笑ったそうです。 
      おしまい 
         
         
         
        
 
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