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福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 1月の日本昔話 > ふたりゆうれい 
      1月11日の日本の昔話 
          
          
         
  ふたりゆうれい 
      
       むかしむかし、あるところに、ゆうれいが出るとうわさされるお寺がありました。 
   そのゆうれいは二人で、お互いに話し合うというのです。 
  「そんなばかな。ゆうれいが二人で、おしゃべりするなど。・・・よし、おれが、この目でたしかめてやる」 
   うわさをきいて、気の強いひとりの男が、おはかにしのんでいきました。 
   やがて、草木もねむる、うし三つどき(→午前二時ごろ)です。 
   ヒソヒソッ、ヒソヒソヒソッ。 
   どこからか、話し声がきこえてきました。 
   男が声をたよりに、はか石のあいだをぬっていくと、小さなはか石のそばで、男のゆうれいと女のゆうれいが、手をとりあって、言葉をかわしています。 
   男のゆうれいは、まだ三十まえですが、女のゆうれいは、六十すぎのおばあさんでした。 
   話のようすからすると、二人は夫婦(ふうふ)のようです。 
  「やっぱり、うわさどおりだ。しかし、夫婦にしては、こんなに年がちがうのはおかしい」 
   そこで気の強い男は、次の朝、お寺の和尚(おしょう)さんにわけをはなして、おはかにきてもらいました。 
  「ゆうれいは、このあたりにいたのだね。それはきっと、このはかから現れたのだろう」 
   和尚さんは、小さなはか石のまえで足を止めました。 
  「ここには、四十年近く前に、若い奥さんを残して死んだ男がとむらってあった。残された奥さんは長生きをしたが、このあいだ、六十をすぎて死んだので、いっしょにとむらってやったんだ。だが、おまいりに来てくれる人もいないので、あの世へゆけんのじゃろうて」 
   和尚さんの話に、二人のゆうれいの年の違うわけがわかりました。 
  「死んでから、ゆうれいになっても、なかむつまじくするなんて、うらやましい。・・・おれも、いい嫁さんをみつけなくちゃ」 
   気の強い男は、和尚さんにたのんで、ねんごろにお経をあげてもらいました。 
      おしまい 
         
         
         
        
 
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