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2月5日の日本の昔話
星を落とす
星仔摘下來
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福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもゆかいな人がいました。
頭擺頭擺,有一個安到吉四六先生、係當樂線个人。
ある日の事、吉四六さんが、村人たちに向かって言いました。
有一日,吉四六先生對村民講:
「今夜、わたしは空の星をほうきではいて落とすから、みんなで拾いに来て下さいな」
「暗晡夜,𠊎愛用袪把摎天頂个星子掃下來,請大家到時來拈。」
「何だって?空の星をほうきで落とす。はん。馬鹿馬鹿しい事言うな」
「講麽个啊?用袪把摎天頂星仔掃下來,哈,講戇話。」
「じゃあ、来なくてもいいですよ。わたしが一人で落とすから。あの空の星はみんな金で出来ているから、わたし一人で拾ってお金持ちになるから。後でうらやましがったって知らないから」
「好啦,毋來乜無関係。𠊎自家來去就好,該天頂个星仔全部變成金子,𠊎一儕拈變成有錢人。下二擺你兜毋好目珠發赤紗哦。」
そう言う吉四六さんの言葉に、村人たちもついつい欲が出て、
村民聽佢恁仰講,大家想愛去講:
「それじゃあ、試しに行ってみようか?」
「該來去試看啊做得麽?」
「そうだな。万が一と言う事があるし」と、
「係噢。撿採講該事係正經个。」
夜になると吉四六さんの家の周りに集まってきました。
大家到暗晡頭就去吉四六先生屋脣集合。
しかし、肝心の吉四六さんがどこにもいません。
毋過,最重要个人吉四六先生,滿天尋毋著。
「おかしいな、吉四六さんはどこへ行ったのだろう?」
「還奇怪哪,吉四六先生走那位去?」
「おーい。吉四六さーん!」
「噯,吉四六先生!」
誰かが呼んでみると、
麼人恁樣喊樣。
「おーい。ここだ」
「噯,在這位啦!」
と、頭の上で答える声がします。
頭那頂應講。
見てみると吉四六さんが屋根の上に登っていて、手に長い竹ぼうきを持っていました。
看到吉四六先生蹶上屋背頂,手等擎一支長長个袪把。
「吉四六さん、星はまだ落ちないのかい?」
「吉四六先生,星仔吂有掃下來係無?」
「まあ、そんなに急ぐもんじゃあないよ。もう少し、待ちなさい」
「莫鬥緊哪,小可等一下仔!」
そう言って吉四六さんは、空を見上げました。
講煞吉四六先生臥頭看天頂。
暗い空には、キラキラとたくさんの星が光っています。
暗疏疏个天空有當多金金个星仔盡光盡亮。
「ところで吉四六さん。あんな高い空まで、ほうきが届くのかい?」
「毋過,吉四六先生,恁高个天頂袪把敢掃得到?」
みんなが笑いながら言うと、吉四六さんはまじめな顔で、
大家笑佢講,吉四六先生面色嚴肅應講:
「届くとも、今にきっと、金の星をはたき落としてやるからな」
「定著掃得著,這下一定摎金金个星仔掃下來。」
と、言いながら、ほうきを振り回しましたが、もちろん、星は一つも落ちて来ません。
一片講一片袪把捩捩轉緊掃,當然無掃半个星仔下來。
「あれ、おかしいな?」
「還奇怪哪?」
吉四六さんは、少し慌てました。
吉四六先生有息仔慌張講:
「ほれ、ほれ、落ちろ! はやく落ちろ! すぐに落ちろ!」
「噯、噯、跌下來!煞兜跌下來!黏時跌下來!」
怒鳴りながらほうきを振り回す吉四六さんに、村人の一人が言いました。
一個村民對舞到發閼,大聲噦又袪把捩捩轉緊掃个吉四六先生講:
「だから駄目だって。もう止めなよ。屋根から落ちたら怪我をするよ」
「總講一句無效,好停了,屋頂跢下來會著傷哦!」
「何、そう簡単にあきらめるものか。見ていろ!」
「麼个,哪有恁簡單死心?看!」
吉四六さんは、むきになってほうきを振り回しました。
吉四六先生又出力牯掃。
するとその時、空の星が1つ、スーッと流れて、どこかへ落ちていきました。
該量時有一隻星在天頂瀉過,毋知跌到哪位。
それは、流れ星です。
該啊係長尾星。
でも、吉四六さんは、
「よし、やったぞ!」
と、大きな声で大喜びです。
吉四六先生大聲講:「好了!掃著了!非常歡喜。
「そら、そら、星が落ちただろう。わたしがほうきで落としたんだ。みんな早く行って、拾っておいで」
「噯,噯,星仔跌下來了,𠊎用祛把掃下來个,大家遽遽去拈起來。」
おしまい
煞了
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