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ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >にほんむかしばなし(日本民间故事) >五月
5月26日の日本の昔話
白いおうぎと黒いおうぎ
白扇子与黑扇子
翻訳者 広東省恵州学院 張暁歓
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
むかしむかし、あるところに、二人の姉妹がいました。
很久很久以前,在一个地方,有两姐妹。
お姉さんの方は色白できれいな顔をしているのに、妹の方は色黒でちっともきれいではありません。
姐姐很白长的很漂亮,但是妹妹比较黑,一点都不漂亮。
だからお母さんは、色白できれいな顔のお姉さんばかりを可愛がっていました。
所以妈妈只宠爱皮肤白皙长得很漂亮的姐姐。
ある日の事、二人が一緒に道を歩いていると、向こうから馬に乗った男の人がやって来て尋ねました。
有一天,两姐妹一起在路上走着,一个骑着马的男人从对面走来问路。
「この村のお宮へ行きたいのですが、どっちへ行けばいいのでしょうか?」
“我想到这个村子的神社去,该往哪儿走呢?”
この男の人はひげだらけの顔をしていて、汚れた着物を着ていました。
这个男人满脸胡渣,身上穿着肮脏的衣服。
(なんて汚いんでしょう。こんな人とは、口をきくのもいやだわ)
(怎么会那么肮脏啊,对这种人,连听他说话都觉得讨厌)
そう思ったお姉さんは、聞こえないふりをしました。
姐姐这样想着,就装作听不到他的话的样子。
でも、親切な妹は、
「それでは、わたしが案内してあげましょう」
但是,亲切的妹妹说:“那么,让我带您过去吧。”
と、村はずれにあるお宮さんまで、男の人を連れて行ってあげたのです。
于是带这个男人去往村头的神社。
二人がお宮の前まで来ると、男の人はふところから白いおうぎを出して言いました。
两人来到了神社前,男人从怀里拿出一把白色的扇子说:
「わたしは人間の姿をしているが、本当は山の神じゃ。お前はまことに親切な娘。お礼にこのおうぎであおいでやろう」
“我虽然长着人类的样子,但其实是山神。你真是个内心善良的女孩子。
作为回报,我用这把白色的扇子扇扇你把你变漂亮吧。”
山の神さまが、白いおうぎで娘をあおぐとどうでしょう。
山神用白色的扇子把女孩变成怎么样了呢?
色黒だった娘の顔が、みるみる色白できれいになったのです。
原本脸很黑的女孩,转眼间变得又白又漂亮了。
「よい顔じゃ。お前のうつくしい心には、その顔が似合っておる。
“真好看的脸呀,这样的脸才与你美丽的心灵相匹配。
・・・それにしても、お前の姉さんはひどい娘じゃ。
但是,你的姐姐真是个恶劣的人啊,
わしの汚いかっこうを見て、口をきこうともしなかった。
看到我肮脏的外表,根本不跟我说话。
いくら色白できれいな顔をしておっても、心はまっ黒だな」
不论她长的多白多漂亮,心也是黑的啊。”
そう言って、山の神さまはお宮の中へ消えて行きました。
这么说着,山神消失在神社中。
さて、妹が戻ってくると、お姉さんは目を丸くして驚きました。
就这样妹妹回来后,姐姐惊讶的瞪圆了眼睛。
色が黒くてみっともない顔の妹が、見ちがえるほどきれいになっていたのです。
妹妹原本又黑又难看的脸看起来变得漂亮了,都快认不出来了。
「どうして、そんなにきれいになったの?」
“为什么你变得那么漂亮了呢?”
美しさで負けたお姉さんは、くやしくてたまりません。
在美貌上输了的姐姐忍受不了这种羞耻。
そこで妹からわけを聞き出すと、すぐにお宮さんへ飛んで行きました。
因此听到妹妹说出了原因,就马上往神社跑去。
「山の神さま、お願いです。どうかわたしも、おうぎであおいでください」
“山神大人,我有一个请求,请您用扇子把我变漂亮吧。”
するとお宮の中から、山の神さまが出てきて言いました。
于是,山神从神社中现身说:
「そんなにあおいでほしけりゃ、のぞみ通りにあおいでやろう」
“那么想变的话,我就随了你的心愿吧。”
山の神さまはふところから黒いおうぎを取り出すと、お姉さんの顔をあおぎました。
山神从怀里拿出扇子往姐姐脸上扇了一下。
すると色白で美しかったお姉さんの顔はみるみる黒くなり、とてもひどい顔になったのです。
原本又白又漂亮的姐姐转眼间脸就变黑了,变得非常难看。
でも、それを知らないお姉さんは、大喜びで妹のところへもどってきました。
但是不知情的姐姐高兴地回到妹妹身边。
「どう、わたし、すごくきれいになったでしょう?」
“怎样,我变得特别漂亮了吧?”
「・・・・・・」
“。。。。。。”
妹は何も言えなくて、首を横にふりました。
妹妹说不出话来,摇了摇头。
「えっ?」
“嗯?。。。”
お姉さんはあわてて近くにある池に行くと、水面に自分の顔をうつしてみました。
姐姐慌忙地跑到附近的水池边,从水面的倒影上看到了自己的面容。
するとそこにうつっているのは、色黒のみにくい顔だったのです。
那个倒影是一张黑黑的难看的脸。
「どうしよう、どうしよう」
“怎么办,怎么办?”
お姉さんはすぐにお宮へ行って、元の顔にもどしてくれるように頼みました。
姐姐马上跑回神社,请求变回原来的模样。
でもどこへ消えたのか、山の神さまは二度と姿を現しませんでした。
但是山神不知消失在了何处,再也没有现身了。
さて、妹はそれからもますますきれいになって、その国のお殿さまの奥方になり、いつまでも幸せに暮らしました。
就这样,妹妹从此越来越漂亮,成为了那个地方的国王的妻子,永远幸福的生活着。
しかしお姉さんの方は、一生、色黒でみにくい顔だったそうです。
而姐姐一生都顶着一张又黑又难看的脸。
おしまい
結束
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