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6月2日の日本の昔話
一人になった鬼の親分
一鬼称王
翻訳者 広東省恵州学院 高璇
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
むかしむかし、鬼神山(おにがみやま)という山に二匹の鬼の親分が住んでいて、それぞれが大勢(おおぜい)の子分(こぶん)をひきつれていました。
在很久很久以前,有一座叫鬼神山的山里面住着两只鬼老大,他们各自率领一大群部下。
親分同士の仲がよく、これまでけんかをした事がありません。
两只鬼老大之间的关系很好,至今都没有吵过架。
ところがある日、二匹の親分が一緒に酒を飲んでいる時に片方の親分が、
但是有一天,两只鬼老大在一起喝酒的时候,其中一只鬼老大说,
「お前の子分よりも、わしの子分の方がずっと元気がええ」
と、言いました。
“我的部下比你的要强得多”。
それを聞いたもう一人の鬼の親分が、顔を真っ赤にして言い返しました。
听了这话,另一只鬼老大涨红了脸反驳道:
「何を言うか! わしの子分の方が、お前の子分よりもずっと元気がええわい!」
“你在说什么胡话!我的部下才比你的强得多呢!”
「なんだと!」
“你说什么!”
「なんだとは、なんだ!」
“什么说什么,怎样!”
「やる気か!」
“想打架吗!”
「ああ、やってやるぞ!」
“好啊打就打啊!”
二匹の鬼の親分が、同時に立ち上がりました。
两只鬼老大同时站了起来。
でも、二匹の鬼の親分の力は同じです。
但是两只鬼老大的力量是不相上下的。
けんかをすれば、両方とも無事ではすみません。
如果真打起来的话双方都无法全身而退。
そこで片方の鬼の親分が、もう片方の鬼の親分に言いました。
于是其中一只鬼老大对另一只鬼老大说。
「おれたちがけんかをすれば、両方とも死んでしまうかもしれん。
“如果打架的话说不定我们两个都会死掉。
そうなれば、子分たちのめんどうを見るやつがいなくなる。
这样一来就没人照顾我们的部下了。
ここはけんかでなく、他の事で勝負をつけないか?」
既然如此,我们不打架,用其他方法来决胜负吧?”
「なるほど、お前さんの言う通りだ。それなら、あのけわしい谷の上に石の橋をかけるというのはどうじゃ?」
“确实如你所说。那么就在那座险峻的山谷上搭石桥,以它来决胜负如何?”
「それは、おもしろい。
よし、日がくれたら仕事の開始じゃ。
朝までに石の橋をかけ、どっちの橋がよく出来ているか、わしとお前で見てまわろう」
“真有趣。好,那么日落时分就开始吧。到明天早上,由我和你来看看谁能把石桥建得更好。”
「わかった。
もし、わしの方が負けたら、お前の弟分(おとうとぶん)になるとしよう。
その反対にわしの方が勝ったら、お前が弟分になるんだ」
“明白了。如果我输了的话,我就做你的小弟。相反,如果你输了,那么你就做我的小弟。”
「いいとも。決まりだ」
“好,就这么决定了。”
二匹の鬼の親分は、さっそく子分たちのところへ行って、この事を話しました。
两只鬼老大都赶紧回去告诉部下们这件事。
さて、日が暮れると同時に、どっちの鬼たちも石の橋をつくりはじめました。
于是,在太阳下山的同时,两边的鬼都开始筑起了石桥。
「しっかりとがんばれ。負ければ、あっちの親分の家来にされてしまうぞ」
“要好好加油啊!输了的话就会变成那边的鬼老大的手下啦!”
二匹の鬼の親分は、必死(ひっし)で子分たちを追いたてます。
两只鬼老大都拼命地给自己的部下们加油打气。
静かだった鬼神山は、まるで戦(いくさ)の様な騒ぎです。
原本安安静静的鬼神山好像要爆发战争一样躁动了起来。
ところが片方の橋はどんどん出来上がっていくのに、もう片方の橋はなかなか仕事がはかどりません。
随着其中一方的桥渐渐成形,另外一方的建桥工作却进展得十分不顺。
東の空が白くなる頃、谷の上に一つの見事な橋が出来上がりました。
当东边的天空逐渐变白的时候,山谷上出现了一座漂亮的桥。
でももう一つの橋は、まだ半分というところです。
但是另一座桥却只建了一半。
負けた鬼の親分が、勝った鬼の親分に言いました。
于是输了的鬼老大对赢了的鬼老大说。
「どうやら、わしらの負けのようだ。約束通り、今日からわしはお前の弟分になろう」
“看来是我输了。遵照约定,从今天起我就是你的小弟了。”
それからというもの鬼神山の鬼の親分は一人になり、その下に大勢の子分をしたがえるようになったのです。
从那以后鬼神山的鬼老大就只有一只了,并且它率领着一大帮部下。
おしまい
结束
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