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ふくむすめどうわしゅう(Hukumusume fairy tale collection) >にほんむかしばなし(Classical stories of the Japanese) >9月(September)

人のよめになったネコ
イラスト たつよ   提供 らくがきの日常

人の嫁になったネコ
A cat who got married to a man

ほんやく(Translation) ちいさな翻訳屋さん

にほんご(Japanese)  ・えいご(English) ・Japanese&English

Make Origami ORIGAMI CLUB
ネコの顔の折り紙Cat face   子猫の折り紙kitten

♪音声配信(html5)
音声 スタヂオせんむ

 むかしむかし、あるところに、一人のお百姓(ひゃくしょう)さんがいました。
 Once up on a time, a farmer lived in a certain place.

 毎日、田畑へ出て一生懸命に働きますが、
 He worked a lot every day in the field.

 ちっとも暮らしが楽になりません。
 His life didn’t get any easier.

 そのため、もう四十才を過ぎているのに、
 So, he was already over 40.

 嫁さえもらう事が出来ないのです。
 He couldn’t marry.

 さて、そのお百姓の隣に住んでいるのは村一番の長者(ちょうじゃ)で、倉(くら→食物を貯蔵する倉庫)には米俵(こめだわら)が山のようにつんでありました。
 Well, next to him the richest person in the village lived. In his warehouse, rice bales were piled high.

人のよめになったネコ

 いくら贅沢をしても困らないのに、この長者はひどいケチで、家で飼(か)っていた一匹のメスネコにさえ、
 He had enough to live on, even if he were a spender.
 Though, he was a miser.
 Even for a female cat he had

人のよめになったネコ

「近ごろは、飯を食いすぎる」
 He said, “In these days, it eats too much.”

と、言って、家から放り出してしまったのです。
 And keep the cat away from his house.

 お百姓さんが寝ていると、夜中に家の外でネコの鳴き声がします。
 When the farmer was sleeping, he heard an answering meow.

人のよめになったネコ

 気になって戸を開けてみたら、
 He couldn’t help opening the door.

 長者の家のネコが寒そうにふるえているではありませんか。
 He found the cat of the richest man was shivering.

「どうした?
“What’s wrong?

 こんなところにいると、こごえ死んでしまうぞ」
 Staying such a place, you will die.”

 お百姓さんはネコをかかえて家に入れると
 He took the cat up in his arms and moved inside.

 汚れた体をふいてやり、
 He cleaned her dirty body.

 自分のふとんの中へ入れてやりました。
 And take her inside bed with him.

人のよめになったネコ

 次の日、長者の家へネコを届けに行くと、
 Next day, the farmer took the cat to the richest man’s place.

人のよめになったネコ

「そいつは、もうわたしの家のネコでない」
 Though, “It doesn’t belong to me no longer.”

と、言うので、
 the richest man said.

 お百姓さんは仕方なく、自分で飼う事にしたのです。
 The farmer had no choice but to have the cat.

 お百姓さんは何でもネコと分けあって食べ、
 He shared everything with his cat.

 まるで自分の子どものように可愛がりました。
 He petted the cat as if she were his daughter.

 嫁のいないお百姓さんは、ある晩、ネコをひざにのせながらひとり言を言います。
 The farmer was single. One night, He said to himself with his cat on his knees.

人のよめになったネコ

「もしお前が、人間だったらなあ。おれが畑へ出ている間に、家で麦の粉をひいてくれたら、どんなに暮らしが楽になるか」
“I wish you were a human. While I was out in the field, if you grind wheat at home. How my life will be easy!”

 するとネコは、うれしそうに、 「ニャアー」 と、鳴きました。
 Then the cat happily give a meow.

「おや? お前は、わしの言葉がわかるのか? ・・・いや、そんなはずはない」
“Wow! Do you understand me? Wait. No way.”

 お百姓さんは、いつものようにネコをふところに抱いて寝ました。
 The farmer slept with his cat in his arms as usual.


 さて、次の日の夕方、お百姓さんが畑からもどってくると、
 In the next evening. When he came back from the field.

人のよめになったネコ

 明かりもないのに家の中からゴロゴロと石うすをひく音が聞こえてきます。
 He heard a stone mill rumbling from inside the dark room.

 不思議に思って中をのぞいてみたら、
 He looked into the room questioningly.

 なんとネコが石うすで麦をひいているではありませんか。
 Surprisingly, the cat was grinding wheat!

人のよめになったネコ

「お前、本当にわしの言うことがわかるのか? いや、ありがとう」
“You really understand me! Wow! Thank you!”

 お百姓さんは喜んで、その粉で団子を作り、ネコと一緒に食べました。
 He was so glad and made dumplings from the flour and shared with the cat.

 それからというものお百姓さんのいない時はいつもネコが石うすをひいてくれるので、お百姓さんはとても助かりました。
 From that point on, every time when he was out, the cat ground wheat for him. That was so helpful for him.


 ある晩、お百姓さんがいろりにあたっていると、そばにいたネコが突然人間の言葉をしゃべったのです。
 One night, he was sitting by the fireside. the cat staying by him suddenly speak in human language.

人のよめになったネコ

「おかげさまで、とても幸せな毎日が送れます。
“I’m having very happy days by your favor.

 でも、このままでは石うすしかひく事が出来ません。
 Though, if it goes on, I can do nothing but grinding.

 この上は人間になって、あなたのためにもっとつくしたいと思います」
 So, I would like to change into a human shape and  do more favor for you!”

 お百姓さんは、やさしくネコの顔を見て言いました。
 He kindly looked at the cat and said.

「ありがとう。
“Thank you so much.

 でも、粉をひいてくれるだけで十分だ。
 Though, I’m happy enough that you grind for me.

 お前がいるおかげで、ちっともさみしくない。
 I’m not sad at all because you are here.

 どうか、わしのところにずっといておくれ」
 Please, stay with me forever.”

 するとネコは、涙を流しながら言いました。
 Then, the cat said with tears in her eyes.

「わたしは、なんて幸せ者でしょう。
“What a happy cat, I am!

 長者さんはお金持ちでも、わたしをちっとも可愛がってはくれませんでした。
 The richest man have much money, though, he didn’t pet me at all.

 それなのに、あなたは。
 On the other hand, you are…

 ・・・お願いです。
 Please!

 わたしを、お伊勢参り(いせまいり)に行かせてください。
 Let me go to Ise shrine.

 必ず人間になって、もどってきますから」
 I promise to come back here in the shape of a human.”

 それを聞いてお百姓さんは、このネコがますます可愛くなりました。
 Hearing the cat, the farmer felt the cat more and more sweet.

人のよめになったネコ

「よし、わかった。行っておいで」
“All right. You just leave!”

人のよめになったネコ

 お百姓さんがネコのために、なけなしのお金を袋(ふくろ)に入れて首に結びつけてやると、ネコは喜んで家を出ていきました。
 He did something for the cat. He tied a bag inside which what little money he had was around her neck. Then the cat happily left his home.

人のよめになったネコ

 それからしばらくして、ネコは無事にお伊勢さんへ着く事が出来ました。
 After a while, the cat safely arrived at Ise shrine.

 ネコは神さまのいる社(やしろ)の前へ行き、手を合わせて言いました。
 She proceeded to main hall housed the deity, put her hands together and made a prayer.

人のよめになったネコ

「神さま、どうかわたしを人間にしてください。わたしを可愛がってくれる人のために、もっともっとつくしてあげたいのです」
“Dear god, please let me turn into a human. I would like to do more favor for my master who really pet me.”

 すると、どうでしょう。
 How do you think what happened next?

人のよめになったネコ

 ネコはいつのまにか、美しい人間の娘になっていたのです。
 The cat somehow changed into a beautiful girl.

 人間になったネコは大喜びで、お百姓さんの待つ家へもどっていきました。
 The cat, at the time was the human! She was so glad and  went back to the house the farmer lived.

人のよめになったネコ

 お百姓さんは美しい娘を見て、これがあのネコとはどうしても思えません。
 The farmer looked at the beautiful girl. Though, he couldn’t imagen she was the cat.

「お前、本当に人間になれたのか?」
“Did you really change into a human?”

「はい、神さまのおかげで、すっかり人間に変わりました。もう二度と、ネコにもどることはありません」
“Yes, thank to our god! I’m now a really human. I will never change back into a cat.”

 そこでお百姓さんは、人間になったネコと夫婦になりました。
 Of course, the farmer married the girl who was the cat.

人のよめになったネコ

 きれいでやさしいネコの嫁は、家の仕事から畑仕事まで人間以上に働きます。
 His wife was beautiful, who was a kind cat. She worked harder than any other humans from household to farming chores.

人のよめになったネコ

 おかげでお百姓さんは隣の長者をしのぐ長者となり、いつまでも幸せに暮らしたということです。
 Thanks for her, the farmer became richer than the neighboring. They lived happily for long time.

おしまい
End

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