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ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >ひゃくものがたり(百物語) >五月
5月3日の百物語
あめ屋と子泣きじじい
糖果商和哭泣的老小孩
翻訳者 広東省恵州学院 陳羨
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
むかしむかし、旅のあめ屋が山を越える途中で、道に迷ってしまいました。
很久很久以前,远行的糖果商在翻越一座山头的时候给迷路了。
日が暮れて薄暗くなってきたので、あめ屋はとても心細くなりました。
随着日暮降临,天色变得灰暗起来。糖果商变得非常不安。
「恐ろしい物が出ないといいが・・・。でも、こう言う時に限って、何かが出るんだよな」
“千万别出现什么恐怖的东西啊……可是,每当这样想,就好像真的会发生点什么事。”
あめ屋が恐々歩いて行くと、どこからともなく子どもの泣き声が聞こえてきました。
糖果商害怕地走着。这时候,某个地方忽然传来了小孩子的哭声。
「ほら、やっぱりだー!
“是吧,果然如此!
やっぱり、出やがった。
就知道会出现!
・・・おや、子どもか?
……嗯?是个小孩子吗?
こんな山の中で、子どもが泣いとるぞ。
这么灰暗的山头里,竟然有小孩子在哭泣。
こりゃあ、ただごとじゃないな」
这可不是件寻常事呢。”
泣き声をたよりに男がやぶをかきわけて行くと、三、四才の男の子が泣いたまま座り込んでいました。
循声走去的糖果商,走到灌木丛中拨开草丛,看到一个三四岁的小孩子正坐在地上哭。
「おおー、よしよし。
“喂,小屁孩,好了好了,没事了,
もう、泣かんでもよいぞ。
不要再哭了哦。
おじさんが、だっこしてやろう。
让叔叔抱一抱吧?
それにしても、親はどこへ行ったんじゃ?」
不过话说回来,你父母跑哪里去了?”
あめ屋は、男の子をひょいっと抱き上げてびっくり。
糖果商轻轻地把小男孩抱起来。看到小男孩的脸,糖果商吓了一跳。
「うわっ! 子泣きじじいだ!」
“啊啊,哭泣的老小孩!”
なんとその男の子は、体は子どもなのに顔がおじいさんだったのです。
没想到这个男孩子,身体完全是小孩子模样,却有着老爷爷一样的脸孔。
あめ屋はびっくりして投げ捨てようとしましたが、子泣きじじいは泣きながらしがみついて離れません。
糖果商吓到了,想要把小男孩丢出去。可是这个哭着的老小孩却紧紧搂住糖果商不放。
「しまった!
“惨了惨了!
うっかり、抱き上げるんじゃなかった!
就不应该不小心抱了他!
一体、どうすればいいんだろ?
现在究竟该怎么办才好?
こら、泣くんじゃない!
好了好了,不要再哭了啊!
泣きたいのは、こっちだよ」
该哭的应该是我好吗?”
子泣きじじいとは、親に捨てられたまま、おじいさんになった妖怪です。
所谓哭泣的老小孩,是指从小被父母抛弃,然后就这样子慢慢变成了老爷爷脸孔的妖怪。
泣き声で人をおびき寄せては抱き上げられる様にしむけて、そしていったん抱かれたら、そう簡単には離れてくれません。
他们故意利用哭声把别人引过来使其抱住他们,然后一旦成功抱住,就别想着那么简单能让他们放手了。
「エーン、エエーン、町へ行きたいよう」
“诶——,诶诶——,我想去城市哦。”
子泣きじじいはそう言って、ますますしがみついてきました。
老小孩这么说着,抱得更紧了。
「そんな事を言ったって、町までしがみついてこられたら、商売どころではなくなっちまう。・・・そうだ」
“既然你说要去城市,可是去到那里之前你都这样子紧紧抱着我,哪里还做得了什么买卖,是吧。”
あめ屋は泣き続ける子泣きじじいの口に、あめ玉をひとつポイと放り込みました。
糖果商这么说着,将一颗糖放进了还在哭泣的老小孩的口中。
すると子泣きじじいは、こんなに甘くておいしい物はなめた事がないらしく、ピタリと泣きやむとニッコリ笑いました。
好像没有吃过如此甜又如此美味的东西一样,老小孩马上就停止哭泣,开心地笑了起来。
「おじちゃん。もうひとつ、おくれ」
“叔叔,能再给我一颗吗?”
「ああ。やるから、ちょっくら降りな」
“啊,给你的话,你能稍微松下手吗?”
「うん」
“嗯!”
あめ屋は子泣きじじいにあめ玉を三個にぎらせると、そのすきに逃げ出しました。
糖果商趁着给老小孩三颗糖果的时候趁机跑了起来。
無我夢中で逃げて行くと、ようやく村の明かりが見えてきました。
他拼命跑着跑着,终于看到了明亮的村庄。
「やれやれ、助かった」
“太好了太好了。”
あめ屋が一軒の家の戸を叩いて助けを求めたところ、出て来たのは何と、さっきの子泣きじじいです。
正当糖果商敲响一户人家的门寻求帮助时,开门的不是别人,正是刚才那个哭泣的老小孩!
「おじちゃん。もうひとつおくれ」
“叔叔,再给我一颗糖。”
「うひょーっ!」
“啊——咚——”
あめ屋は目を回して、その場にバタンと倒れてしまいました。
糖果商脑袋一晕,咣当一声倒在了地上。
次の朝、目の覚めたあめ屋が辺りを見回すと家などなく、山の中の道ばたに空っぽのあめの箱が転がっているだけでした。
第二天早上,糖果商醒了过来。看了一眼周围发现自己不是在家里,而是在山上。而路旁只剩那个空空的糖果箱子在放着。
おしまい
結束
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