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ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >ひゃくものがたり(百物語) >八月
8月3日の百物語
ハリセンボン(針千本)になった嫁さん
刺鲀的媳妇
翻訳者 広東省恵州学院 徐婷
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
むかしむかし、富山のある港町に、息子のお嫁さんをいじめるお母さんがいました。
很久很久以前在富山有一个港口小镇,那里住着个喜欢欺负自己媳妇的婆婆。
ある日の事、隣の部屋で自分の裁縫箱(さいほうばこ)をのぞいていたお母さんが、お嫁さんを怒鳴りつけました。
有一天,在隔壁房间看着自己的针线盒的婆婆突然怒斥自己的媳妇说:
「あんた! わしの針山から、針を盗んだね! 一本、足りないんだよ!」
“你是不是偷了我的一根针,我这针线盒里少了一根针”
むかしの裁縫道具は、女の人の大切な嫁入り道具の一つでした。
在古时候,针线盒是女人最重要的嫁妆之一,
誰もが嫁入りの時に自分の裁縫箱を持って来て大切にし、家族でも勝手にさわる事はしませんでした。
每个女人都会带着自己的针线盒出嫁并且十分珍惜它,即使是家里人也是不能随意碰的。
「違います。あたしは、何も知りません」
“没有,我什么都不知道”
お嫁さんが何度も言いましたが、お母さんは聞き入れません。
无论媳妇说多少次,婆婆都听不进去。
「まったく、なんて嫁だろうね。
“真是的,到底是什么媳妇啊。
人の物を盗んでおいて、知らないだなんて。
偷了人家东西还说不知道,
人の針を使ったからって、下手な裁縫がうまくなるはずがないのに。
就算是用了别人的针,你那蹩脚的针线活也不会变好。
だいたいあんたは、何をさせてもそうだよ。
大概让你做什么都是这样糟糕吧,
掃除にしろ、料理にしろ、洗濯にしろ、何一つ満足に出来ないんだから。
打扫也好,做饭也好,洗东西也好,一样都做不好。
あー、やだやだ。
啊,真的是受够了。
こんな女が、わしの義娘だなんて。
这样的女人居然是我的媳妇。
息子は、何でこんな能無しを、嫁にしたんだろうね」
我的儿子怎么会娶这么没用的女人啊。”
お母さんはそう言って、ネチネチとお嫁さんをいじめました。
婆婆喋喋不休的数落着媳妇。
お嫁さんはお婿さんに相談しましたが、お婿さんはお母さんの味方で、お嫁さんをかばってはくれません。
虽然媳妇找过丈夫商量,但是丈夫却袒护着自己的妈妈,不帮自己。
「実家に戻っても、両親に恥をかかせるだけだし。・・・あたし、どうしたらいいんだろう?」
“回娘家也只是让父母蒙羞,我该怎么办。”
すっかりまいってしまったお嫁さんは、ふらふらと冬の海へ行くと、そのまま冷たい海に身を投げてしまいました。
完全没了办法的媳妇摇摇晃晃的来到海边,此刻正值冬天,海水非常寒冷。媳妇就这样跳进海里了。
それを知った村人たちはお嫁さんの遺体を探しましたが、それまで静かだった海が大荒れになってしまい、お嫁さんの遺体は見つける事は出来ませんでした。
知道这件事的村民们来到海边搜寻着这位媳妇的遗体,然而原本平静的海面狂风大作怎么也找不到她的遗体。
でもその代わりに、手まりに針を千本も刺したような不思議な魚が、波打ち際に何十匹も打ち上げられていました。
取而代之的却是几十条像是被几千根针扎着的小球模样的奇怪的小鱼被海水冲上岸。
土地の人たちはこの不思議な魚を『ハリセンボン(針千本)』と呼び、海に身を投げたお嫁さんを供養する為に、どこの家でも半日だけ針仕事を休むようになったという事です。
当地人们把这种奇怪的鱼叫“刺鲀”。同时为了祭祀跳海的那位媳妇,家里有针线活工作的都会休息半天。
おしまい
結束
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