福娘童話集 > きょうの百物語 福娘童話集 きょうの百物語 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
 


福娘童話集 > きょうの百物語 > 10月の百物語 > 山へ入らない日

10月17日の百物語

山へ入らない日

山へ入らない日
福島県の民話福島県情報

日本語 ・日本語&中国語

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

投稿者 「つれづれ居士」  つれづれ居士

 むかしむかし、深い山に入って猟(りょう)をしている、一人の猟師(りょうし)がいました。
 この猟師の猟のやり方は他の猟師たちとは違っていて、まず山奥の高い木に見張りのやぐらをつくって、そこで一夜を明かします。
 そして夜明けにエサを探しにやって来るシカをシカ寄せの笛(ふえ)を吹いておびき寄せて、やぐらの上から鉄砲で撃つというものです。

 ある日の夜明け、猟師は昨日から登っているやぐらの上で目を覚ますと、さっそくシカ寄せの笛を吹きながら辺りを注意深くうかがっていました。
 するとすぐ目の前のやぶの中で、大きな物音がしました。
 見ると目の前の草木が、風もないのにガサガサとゆれています。
(来たな)
 猟師は鉄砲を手にして、動く草木をジッと見つめていました。
 するとやぶの中から出て来たのはシカではなく、おカマのふたほどもある大きな顔の女の人で、みだれた髪は地面までたれ下がっています。
「ば、ばっ、化け物じゃ!」
 猟師は思わず、鉄砲を木の下へ落としてしまいました。
 女の化け物は猟師に気づいて、ニタニタと気味悪く笑っています。
 しかし化け物は猟師がいる木に近づこうとはせず、落とした鉄砲には見向きもしません。
 化け物はしばらく猟師を見つめながら笑っていましたが、やがてやぶの中へ姿を消してしまいました。
(たっ、助かったのか?)
 猟師はやぐらの上からおりると、鉄砲の事も忘れて逃げ出しました。
 そして走って走って家にたどり着いたとたん、猟師はそのまま倒れて気を失ってしまいました。

 数日後、意識を取り戻した猟師は、心配して集まっていた近所の人たちに山奥で出会った化け物の話をしました。
 するとそれを聞いていた、一人の老人が言いました。
「なるほど、それはひどい目にあったな。
 だがそれは、お前があまりにも殺生(せっしょう)をするからだ。
 命があったからよかったものの、二度とそんな目に会いたくなければ、殺生を止める事じゃな」
「ああ、そうする」
 猟師はそれっきり、猟師を止めてしまいました。

 この事があってから、猟師の村では十月の十七日を山神さまの祭り日として、決して山に入らない様にしました。
 もしもこの日に山へ入ると、必ず化け物に出会うと言われています。

おしまい

前のページへ戻る


    10月17日の豆知識

366日への旅
きょうの記念日
カラオケ文化の日
きょうの誕生花
水引(みずひき)
きょうの誕生日・出来事
1988年 大島 優子 (タレント)
恋の誕生日占い
難しい事も、きっちりと成功させる実力者
なぞなぞ小学校
小説家の多い県は?
あこがれの職業紹介
電車の運転手
恋の魔法とおまじない 291
ペットが飼えるおまじない
 10月17日の童話・昔話

福娘童話集
きょうの日本昔話
三笠山
きょうの世界昔話
塩の様に好き
きょうの日本民話
鳥追いの森
きょうのイソップ童話
王さまを欲しがるカエル
きょうの江戸小話
あいさつ
きょうの百物語
山へ入らない日

福娘のサイト

http://hukumusume.com

366日への旅
毎日の記念日などを紹介
福娘童話集
日本最大の童話・昔話集
さくら SAKURA
女の子向け職業紹介など
なぞなぞ小学校
小学生向けなぞなぞ