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1月11日の日本民話
とうふとおみそのけんか
広島県の民話 → 広島県情報
むかしむかし、とうふとおみそは、けんかばかりしていました。
ある時、とうふがおみそに言いました。
「あなたはいつも黒い色をしていて、しかもベタベタで変な匂い。おかげでわたしの白い体まで汚れて、臭くなるではありませんか」
すると、おみそが怒って言い返しました。
「何だと! おれのどこが臭いものか。それに人間はこの匂いが好きで、毎日みそ汁にして飲むじゃないか! だいたい、お前はいくら色が白くても、全然味がないじゃないか!」
「味がないですって! とんでもない。わたしは一緒に煮る物によって、いくらでもおいしい味になれるのですよ。それに比べて、あなたいつだって臭いし、おまけに辛いじゃありませんか」
「何だと。人に臭いや辛いや偉そうな事を言っても、お前は包丁(ほうちょう)で切られたり、おはしで崩されたら、バラバラになってお終いじゃないか」
「ふん! わたしは体が崩れたって、おみそみたいに溶けたりはしませんからね。どんなに小さくなっても、とうふはとうふですよ」
「もう、かんべん出来ない!」
おみそはくやしくなって、とうふに飛びかかろうとしました。
するとその時、
「ちょっと、待った!」
と、二人の間にコンニャクが飛び込んで来ました。
「こらこら、二人とも、つまらん事でけんかをするんじゃない。このわしを見てみろ。色は黒いし、体は切られるし、おまけに味もない。それでもジッと我慢しているんだぞ」
「・・・なるほど」
「・・・確かにに、その通りね」
とうふとおみそは、つくづくとこんにゃくの体を見ました。
「それに良く考えてみろ。お前たちは元々、大豆(だいず)から出来ていて、いわば親戚(しんせき)同士じゃないか。親戚同士でけんかをするなんて、とんでもない。わしなんか、誰も親戚がいなくていつも一人ぼっちだ」
そう言ってコンニャクは、プルプルと体を震わせました。
するとおみそが、とうふに言いました。
「そうだ。こんにゃくの言う通りだ。おれたちは親戚同士、仲良くしなくちゃいかん」
とうふも、言いました。
「本当にね。変な事を言ってごめんなさいね。これからはコンニャクさんも一緒に、みんな仲良くしましょう」
そこで、とうふとおみそとコンニャクは一緒になって、おみそ汁という、おいしい料理になったという事です。
おしまい
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