福娘童話集 > きょうの日本昔話 福娘童話集 きょうの日本昔話 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
 


福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 2月の日本昔話 >かめかつぎ

2月18日の日本の昔話

かめかつぎ

かめかつぎ
吉四六(きっちょむ)さん → 吉四六さんについて

日本語 ・日本語&中国語 ・日本語&客家語

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

投稿者 ナレーター熊崎友香のぐっすりおやすみ朗読
【大人も子供もぐっすり眠れる朗読】心が軽くなる日本昔話集 吉四六さん 元NHKフリーアナ

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

投稿者 「ちょこもち」  ちょこもち

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

投稿者 「清水美和子の朗読ハウス」  清水美和子の朗読ハウス

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

制作: フリーアナウンサーまい【元TBS番組キャスター】

♪音声配信(html5)
音声 スタヂオせんむ

 むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもゆかいな人がいました。
 あるお正月の事です。
 町へ行った吉四六さんは瀬戸物屋へ立ち寄って、十枚ひと組の皿を五十文で買って来ました。
 ところが家に戻って数えてみると、十枚あるはずが九枚しかありません。
 瀬戸物屋の主人の重兵衛(じゅうべえ)が、数え間違えたのでしょう。
 重兵衛はへそ曲がりで有名でしたが、吉四六さんとは顔見知りだったので、二、三日たって町へ行ったついでに店に立ち寄り、
「重兵衛さん、この間買った、十枚ひと組の皿の事だが、家に戻って数えてみたら一枚少なかったよ」
と、言いました。
 ところが重兵衛は、
「そうかい、それは気の毒でしたなあ。じゃ、代金は九枚分だけもらっておくよ」
と、いつもと違って、ニコニコしながら言いました。
「おや? 重兵衛さん、今日はやけに話が分かるねえ。まあ、代金は九枚分にしなくてもいいから、足りなかった分の皿を一枚もらって行くよ」
 そう言って、同じ皿を一枚取った吉四六さんが店を出ようとすると、重兵衛さんがあわてて引き止めました。
「おいおい、吉四六さん、ちょっと待って!」
「なんだい?」
「あんた、皿を泥棒するつもりか? ちゃんと皿の代金を置いて行きな」
 さっきとは違って怖い顔の重兵衛さんを見て、吉四六さんは思いました。
(やれやれ、やっぱり本性を現してきたな)
 吉四六さんは、わざと不思議そうな顔をして言いました。
「皿の代金だって? ちゃんとこの間、五十文を払ったじゃないか」
 すると重兵衛は、皿の値段が書いた張り紙を突き出して言いました。
「この張り紙を読んでみな。
 お前が買った皿は十枚ひと組だと五十文だが、バラ売りだと一枚が六文と書いてあるだろう。
 だから九枚では五十四文。
 それに今日の一枚が六文で、合わせて六十文だ。
 この前の五十文を差し引いても、まだ十文が足りないじゃないか」
「なるほど、確かに十文足りないな。こいつは、まいった」
 さすがの吉四六さんも、してやられたとばかりに頭をかいて、いさぎよく十文を払いました。
「では、代金の十文」
 代金を受け取った重兵衛は、
「どうだい、吉四六さん。あんたも商売上手と聞くが、本当の商売上手とは、おれみたいな者を言うんだよ。あはははははっ」
と、大笑いしました。
「・・・!!!」
 この大笑いさえなければ、吉四六さんは素直に帰ったのですが、この事が吉四六さんのとんちに火を付けたのです。
「いや、まったく、あんたにはかなわないなあ。・・・して、ときに重兵衛さん、このかめはいくらするかね?」
 吉四六んはそう言って店先に立ててある、大きなかめを指差しました。
 それは一人ではとてもかつげないほどの、大きなかめです。
「ああ、それなら一両だ」
「安い! 一両とは安いなあ。じゃあ、今日はこのかめも買って帰るとするよ」
「おいおい、吉四六さん、買ってもらうのはありがたいが、こんな大きなかめを、お前一人でかつげるものか」
「なに、平気だよ」
「平気じゃない。三人がかりで、やっと運んで来た代物だぞ」
「大丈夫。これくらいの物がかつげないようでは、百姓は出来ないよ」
「ほう、こりゃ面白い。もしお前さん一人でこのかめがかつげたら、代金はいらん。ただでやろう」
「そりゃ、本当かい?」
「本当だとも」
「よし、ではかついでみせるよ」
 きっちょむさんはそう言うと、近くにあった石を両手で持ち上げました。
「おいおい、吉四六さん。それで一体、何をするつもりだ?」
「なに、このままでは持ちにくいから、この石でかめを粉々にしてやるのさ。そうすりゃあ、何回かに分けて持って帰れるだろう」
「あっ、そうきたか!」
「じゃあ、ここで割らしてもらうよ」
 そう言って再び石を持ち上げる吉四六さんを、重兵衛さんはあわてて止めました。
「まて、待ってくれ!」
「いや、待てぬ。今すぐ持って帰るのだから」
「しかしそれでは、一両を失ったのと同じだ。いくら何でも、そんなもったいない事は」
「よし、ではこのつぼを売ってやるよ。一両のところを、たったの百文でどうだ? それがいやなら、ここで割るぞ」
 重兵衛さんは仕方なく、自分の負けを認めました。
「ま、まいった。そのつぼを百文で買わせてもらうよ。・・・とほほ、やっぱり吉四六さんは、商売上手だ」
 こうして吉四六さんは重兵衛さんから百文を受け取ると、ホクホク顔で帰ったのでした。

おしまい

前のページへ戻る


     2月18日の豆知識

366日への旅
きょうの記念日
エアーメールの日
きょうの誕生花
蒲公英(たんぽぽ)
きょうの誕生日・出来事
1975年 ねづっち (タレント)
恋の誕生日占い
自分の夢にまっすぐ進む
なぞなぞ小学校
小説を書いている人が得意なスポーツは?
あこがれの職業紹介
歯科衛生士
恋の魔法とおまじない 049
相手を許せるようになるおまじない
  2月18日の童話・昔話

福娘童話集
きょうの日本昔話
かめかつぎ
きょうの世界昔話
ほら吹き男爵 月面世界の食事?
きょうの日本民話
炭やき長者
きょうのイソップ童話
旅人とカラス
きょうの江戸小話
滝のぼり
きょうの百物語
嫁になった雪女

福娘のサイト

http://hukumusume.com

366日への旅
毎日の記念日などを紹介
福娘童話集
日本最大の童話・昔話集
さくら SAKURA
女の子向け職業紹介など
なぞなぞ小学校
小学生向けなぞなぞ