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2月22日の日本の昔話
爪と牙を取られたネコ
分人挷忒爪摎牙齒个貓仔
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、ある商人がネコを飼っていました。
頭擺頭擺,有一個生理人畜一條貓仔。
お正月が近づいたので、商人の家で働いている小僧さんたちが餅をつき始めました。
餅の大好きなネコは、うれしくてたまりません。
因為兼過年了,生理人屋家做事个承勞仔開始舂粢粑,當好食粢粑个貓仔暢到會死。
(よしよし、お正月には餅をたっぷり食べさせてもらえるぞ)
(還好還好,過年有當多粢粑好食了。)
餅つきの次の日は、天気が良いのですす払い(→掃除)をする事になりました。
舂粢粑个第二日,因為天時當好,所以愛大拚掃。
ネコは邪魔になるといけないと思い、外に出て家の屋根に登りました。
貓仔想毋好杈著人,斯行開、蹶上屋頂去。
すると、長いささぼうきを持った小僧さんが出て来て、
過後,承勞仔擎等長長个袪把行出來,
「今から屋根の掃除をするから、家の中へ入っていろ」と、言うのです。
講:「因為這下愛開始掃屋頂,落屋肚去!」
ネコが慌てて家の中へ入ろうとすると、今度は主人が言いました。
貓仔慌慌張張想愛落屋个時節,這下換主人講:
「お前にウロウロされてはすす払いが出来ないから、外へ出ていろ」
「你在這行上行下杈人拚掃,出去外背!」
さて、ネコは困りました。
害該貓仔無結無煞,
外へ出れば小僧さんに、
「中へ入っていろ」
と、言われるし、
假使出去承勞仔喊佢「去裡肚!」
中へ入ろうとすると主人に、
「外へ出ていろ」
と、叱られます。
落去裡肚主人咄佢「出去外背!」
(一体、どこにいればいいんだ?)
(到底去哪正好?)
ネコは仕方なくはしごを伝って、天井裏(てんじょううら)へ登って行きました。
貓仔無法度爬梯上天蓬頂去。
するとそこにはネズミたちが集まっていて、下の騒ぎは自分たちを追い出す為だと思い込み、おびえた顔をしていたのです。
一大群老鼠在該,聽到天蓬下背鬧熱煎煎,話著係愛逐佢兜出去,所以面壢青。
そしてネコを見ると、ネズミの親分が言いました。
等該老鼠看到貓仔,帶頭个老鼠講:
「こうなっては仕方がない。みんな、覚悟を決めて戦うぞ」
「死無命了,大家愛有決戰个決心。」
ところがネコはネズミに飛びつくところか、親分の前に行って頭を下げました。
但係貓仔走過老鼠該位去,行到帶頭个老鼠面前,頭犂犂講:
「待ってくれ。今日は、お前たちを食う為に来たんじゃない。何もしないから、今日一日ここへ置いてくれ」
「等下,今晡日毋係來食你兜,無事好做,在這尞一日,請收留𠊎。」
「それはまた、どういうわけだ?」
「該係麼个原因哪?」
「実は家のすす払いで、わしのいるところがないのだ。どこへ行っても邪魔者扱いで、くやしいったらありゃしない」
「實在講係屋下大拚掃,𠊎安身个位所又無,行到那就毋受歡迎,還得人惱。」
「それじゃ、下の騒ぎはおれたちを追い出す訳ではないのだな」
「該下背該聲音毋係逐𠊎兜个ho53?!」
「ああ、いくらすす払いと言っても、こんな天井裏まで掃除する人間はおらん。だから安心するがいい」
「啊!仰般拚無人會掃到棚頂來,安心哪!」
「何だ、そうだったのか」
「有影無?」
ネズミたちはホッとして、お互いに顔を見合わせました。
該兜老鼠你看𠊎,𠊎看你,
そしてネズミの親分が、急に威張った態度で言いました。
帶頭个老鼠煞煞神投投仔講:
「今日一日、ここに置いてやってもいいぞ。だが家賃(やちん)の代わりに、お前さんの足の爪と牙を残らず渡してくれ」
「今晡日收留你做得,毋過愛付租金,你个爪摎牙齒全部挷起來分𠊎!」
「何だって! 爪と牙はネコの大切な武器だぞ!」
「麼个呀!爪摎牙歯係貓仔个重要武器呢!」
「嫌なら、すぐにここから出て行ってくれ。家賃も払わずにここにいるつもりなら、わしらにも覚悟がある。ここにいるみんなが死ぬ気でかかれば、お前さんを倒す事も出来るだろう」
「若係毋就遽遽離開這位。你想愛在這位又毋納屋稅,𠊎兜決心,大家拚死命總有辦法打贏你。」
それを聞いて、ネズミたちが一斉に立ち上がりました。
聽到恁仰講,該兜老鼠全部企起來。
確かにこれだけの数なら、ネコに勝ち目はありません。
確實貓仔無麽个贏面。
「わかった。わかった。お前の言う通りにするよ」
「知了。知了。照你講个條件。」
ネコは泣く泣く、爪と牙を抜いて親分の前に差し出しました。
貓仔噭襤濕褸,將爪摎牙齒挷分帶頭个老鼠。
「よし、確かに家賃は受け取った。今日一日、ここでゆっくり過ごすがいい。・・・ただし、どんな事があっても、わしらの体には指一本触らないこと。と言っても、武器を無くしたお前さんなんて、怖くないがね」
「好!確實收到你个屋稅,今晡日你做得安然自在在這位,...毋過,不管發生麽个事情做毋得摸到𠊎兜个身體。講罔講,你無武器了無麽个好驚了。」
やがて夕方になって、すす払いも終わったらしく、家の中が静かになりました。
無幾久,臨暗仔到了,像形大拚掃好了,屋下恬肅肅。
「では帰るよ。お世話になった」
「來去轉了,攪躁大家。」
ネコは天井裏から降りると、家の中に入っていきました。
貓仔在天蓬頂跳下來,落去屋肚。
すると小僧さんたちがネコを見つけて、つきたての餅を持って来てくれました。
該兜承勞仔看到貓仔,拿該做好个粢粑來分貓仔。
「お前、餅が大好きだろ。さあ食べな」
「你毋係盡好食粢粑,拿去食!」
でもネコは牙が無くなってしまったので、餅どころかご飯も満足に食べれません。
毋過貓仔完全無牙齒,毋單淨粢粑連飯都無辦法好好食。
(ふん、さんざん邪魔者にしておきながら、何を言うか)
(fun!平時恁惱𠊎,這下講麽个?)
ネコは腹を立てて、こたつの中へ潜り込みました。
貓仔當閼鑽落暖爐裡肚去,
するとそこへ、主人がやって来て、
恁堵好,主人來到這位。
「こら、何を寝ている。お前はネズミに餅を取られない様に、しっかり番をしていろ」
「噯!仰在這睡?你去掌粢粑毋好分老鼠偷去食!」
と、言って、ネコを台所へ連れて行ったのです。
講了就渡等去灶下。
ネコは仕方なく台所に座って、むしろに広げられた餅をうらめしそうに見張っていました。
貓仔無奈何坐在灶下,盡毋甘願,目金金緊看滿片个粢粑。
さて、みんなが寝静まった頃、急に天井裏が騒がしくなって、ネズミたちが親分を先頭にゾロゾロと降りてきました。
過一下仔大家恬靜下來个時節,棚頂開始做鬧熱,老鼠頭仔渡等一大群老鼠一條一條跳下來。
「さあ、みんな、餅をどんどん運ぶのだ」
「大家來搬粢粑!」
親分は、ネコを見ても気にしません。
帶頭个老鼠看著貓仔,乜像無看到樣。
ネコはたまりかねて言いました。
貓仔實在當毋著,講:
「おいおい、わしが見えないのか?餅を持って行くと承知(しょうち)しないぞ」
「噯!噯!𠊎在這,你兜看毋著係無?做毋得拿粢粑哦!」
それを聞いて、親分が笑いました。
帶頭个老鼠聽到斯笑講:
「承知しないと言っても、爪も牙もなくてどうするつもりだ?」
「做毋得係你講个,無牙也無爪,無你愛仰般?」
「それは、・・・・・・」
「該......」
ネコは、何も言い返す事が出来ません。
貓仔嗄無話講。
悔しいけれど、ネズミたちが餅を運ぶのを見ているより仕方ありませんでした。
雖然非常後悔,目金金看老鼠摎粢耙搬等走,無半點辦法。
「さあ、餅をどんどん運ぶんだ」
「總算、摎粢粑搬淨淨了。」
やがてすっかり餅を運び終えた親分は、ネコを振り返って言いました。
無幾久摎粢粑搬淨淨个帶頭个老鼠,斡頭摎貓仔講:
「それじゃ、よいお正月を」
「祝你新年快樂!」
さて次の朝、台所にやって来た主人は餅がすっかり無くなっているのを見て、ネコを叱りつけました。
第二日朝晨,主人來灶下看到粢粑毋見忒,大聲駡貓仔。
「この役立たず。ネコのくせに、ネズミの番もできないのか!」
「無用个貓仔,連掌老鼠又毋會嘎!」
気の毒なネコは、泣きながら正月をおくる事をなりました。
衰過个貓仔過年時節歸日在該噭。
一方ネズミの方は餅をたらふく食べて、楽しい正月をおくったそうです。
老鼠該片食粢粑食到飽𩜰𩜰,快快樂樂過新年。
おしまい
煞了
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