昔話の英語《福娘童話集》昔話の英語 Japanese & English昔話の英語《福娘童話集》 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
 


ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >にほんむかしばなし(日本民间故事) >二月

2月25日の日本の昔話
(2月25日的日本故事)
縛られ地蔵

縛られ地蔵
著(被)綁起來的地藏

日本語 ・日本語&中国語 ・日本語&客家語

※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先

投稿者 「ちょこもち」  ちょこもち

♪音声配信(html5)
音声 スタヂオせんむ

むかしむかし、室町の越後屋八郎右衛門の店に出入りしている人間に、弥五郎という荷担ぎがいました。
到好久以前、有一條喊弥五郎的挑夫、到宮町這條地方、一個喊越後屋八郎右衛門手底下做事。

ある暑い日の事、弥五郎は松戸郷から室町の越後屋まで、白木綿を運んでいました。
那天好熱、五郎到幫老闆挑布料的路上、要從松戶鄉到自己店子裡面、就是越後屋。

その途中、本所中の郷(→今の浅草)というところにさしかかると、あるお寺の大きな木の下に石のお地蔵さんあったので、弥五郎は、
本所中現在喊淺草、哪裡有條廟、廟邊上剛好有個地藏到、石頭雕刻的。

「ああ、ちょうどいい木陰があるぞ。お地蔵さま、ちょいと休ませてもらいますよ」
那地方擋光、剛好天氣又熱就涼快、五郎就休息到這裡的。

と、一休みしたのですが、あまりにも疲れていたので、そのまますっかり眠り込んでしまったのです。
さて、弥五郎がふと目を覚ますと、もうすっかり日が傾いていて、通りには人気がありませんでし
た。
挑夫本來就難做、這人一疲、一睡就是好久。
等五郎這一起來、太陽都斜落去了、路上也沒甚麼人過路了。


「いけねえ! 寝過ごした!」
弥五郎はすぐに出発しようと、そばに置いたはずの荷物を探したのですが、どうした事か荷物がないのです。
「しまった! 荷物を盗まれた!」
這人睡過頭了就算了
想急得想往店子裡面趕
發現自己擔子又不見了、自己貨都放到上面了啊。
這一哈就日娘了、人睡過去了、貨也遭搞丟了。


あわてた弥五郎は、近くのお寺に飛び込んで、
「すみません! おれの荷物、白木綿の反物を持ち去った者を見ませんでしたか!?」
と、たずねましたが、お坊さんは気の毒そうな顔をしながら、
「さあ、そういう者は見なかったねえ」
と、言うのです
這五郎就到廟旁邊到處問啦
就一直打聽有人擔到兩擔子布料到路上走吧。
進到廟裡面問主持
別個也是港沒看到


弥五郎は仕方なく手ぶらのまま室町の越後屋へ帰ると、今までの訳を話しましたが、
「何だって?
昼寝をしていて、荷物を持っていかれただって!?
はん!
そんなマヌケな話を、誰が信じるもんか。
おおかた、勝手に売り払って博打(ばくち)にでも使ったんだろ
まあ、どっちにしろ、無くなった荷物の代金はべんしょうしてもらうよ」
這五郎回到店裡面
別個也是不相信他的話
港他是自己賭博幫料子賣丟了
東西不見了、就要他自己幫錢補上去


と、言われて、弥五郎はすっかり困ってしまいました。
べんしょうしようにも反物は五百反もあったので、そんなにたくさんの白木綿を弥五郎一人でべんしょう出来るはずがありません。
荷担ぎの元締めにも相談してみましたが、元締めの生活も楽ではないので、代わりに弁償する事は出来ませんでした。
這五郎就日娘啦
這要賠那就是賠五百匹。
反正五郎自己一個人是絕對拿不出來的
想跟包頭談哈子、讓他幫忙墊哈子、包頭實際上也米得甚麼錢。


「思えば、自分が油断して寝込んでしまったのがいけなかったな。この上は、死んでおわびをするしかないか」
そこで弥五郎は、親しい友人に最後の別れを言いに行ったのです。
するとその友人は、弥五郎にこう言いました。
五郎這就慪自己那個時候不應該睡、至少也要喊別個幫東西守到。
自己這也沒錢賠、就個只能死啦。
五郎這就跟他認得到的熟人交待後話了
這人就勸五郎


「このマヌケ!
お前が死んでも、残された元締めや家族や親類に迷惑がかかるだけだろう!
それよりも死ぬ覚悟があるのなら、南町奉行所の大岡さまに訴えてみろ。
你這一死、那你包頭不是要噶卵了
你死了也只害別個
解決你自己問題
我看反正你都要死了
就先到奉行訪哈子
看可以解決問題吧


いそがしいお方だから、ただの町人が行っても簡単には会ってくれないだろうが、一歩も動かず何日も死ぬ気で訴えりゃ、その内に大岡さまが直々にお取り調べとなって万事うまく治めてくださるさ」
弥五郎はそれを聞くと大喜びで奉行所へ行き、大きな門の前で声を張り上げて言いました。
別個面子大、我們這種普通人根本就看不到、你就一直跪到一直求、到時候看他自己得出來吧、他只要肯幫、那事就過得去。

「わたしは室町の越後屋さんに出入りしている、荷担ぎの弥五郎と申す者でございます!
本所中の郷の石地蔵の前で居眠りをしていたところ、大事な荷物を何者かに持ち去られてしまいました!
我是越後衣服店裡面的挑夫
睡到石頭前面料子遭搞走了

越後屋さんは反物を弁償しろとおっしゃいましたが、五百反もの白木綿を弁償出来るあてもありません!
この上は入水しておわびをと決心しましたが、わたしが死ねば責任は荷担ぎの元締めにふりかかってしまいます!
店子現在喊我賠貨
五百匹料子我根本拿不出來
我本來是想自殺的、又怕到時候責任變成包頭的
、就等於是白死了。


おいそがしいとは思いますが、どうか大岡さまじきじきのお取り調べをお願い申しあげます!
お聞き届けいただけない時は、身を投げて死ぬ覚悟でございます!」
友だちの言った通り、ただの町人の弥五郎が行っても、なかなか越前には取り次いでもらえませんでした。
我也曉得你不得來、但是還是想請奉行幫我親手調查。
這實在是米得辦法、那我也就只有跳橋了。
和之前想的一樣、別個看他只是村人、根本就不得跟奉行去傳話。


しかし弥五郎が三日の間、物も食べずに座り込んで頑張っていると、役人がやっと弥五郎の事を越前の耳に入れたのです。
就這麼到三天、五郎人就一直定到哪裡、東西也沒吃過、別個(衙役)看他這條樣子、也是幫奉行跟這條事情港了。

すると越前は、やっていた仕事を中断して、
「人の命を救う事より、重い仕事はあるまい」
と、さっそく弥五郎を呼んで、事の次第を詳しく聞いてくれたのです。
越前は弥五郎の話を聞き終わると、少し考えてこう言いました。
奉行的名字是越前、他一曉得這件事、跟到就著手處理了、也不管自己要做的事了。
喊人馬上幫五郎喊進來、幫事情交待清楚。
越前幫事情瞭解清楚、稍微想了一哈。


「ふむ、なるほど、あいわかった。
地蔵菩薩といえば、国土を守る仏である。
その方は地蔵に預ければ安心と思い、荷を下ろして休んだのであろう。
その方の油断にも責任があるが、地蔵ともあろう者が目の前で盗みを働く者を見て見ぬふりをするとはけしからん。
さっそく縄をうち、引っ捕らえて取り調べをせねばならん。
這就幫問題往地藏上面推
奉行的意思是
地藏既然是守護土地的菩薩
五郎又是看哪裡有地藏才幫東西放落去困覺(睡)
五郎自己雖然也有責任
但是身為菩薩、就讓別個幫東西到自己眼皮底下偷走。
這也不像樣子
就喊底下人帶根繩子幫菩薩捆過來
奉行要審菩薩。


あるいはこの地蔵こそ、盗人とつるんで悪事を働いているのかもしれぬぞ」
それを聞いた弥五郎は、
(地蔵さまが悪いとは。・・・このお奉行さま、大丈夫かな?)
と、思いましたが、ここまでくれば、全てを越前に任せるしかありません。
やがて越前の命令により、お地蔵さんは縄でぐるぐる巻きにされ、大八車に乗せられて両国の方へとガラガラと引かれていきました。
奉行現在意思就是
港不好就是菩薩和偷你東西那條人合謀
五郎聽到奉行這麼港
心想這還可以幫問題往石頭上面推
大人物果然和自己想的就是不一樣
又怕這奉行腦殼也是有問題
但也沒得辦法了
解決的方法這也就只這一條
就只能看到奉行搞
奉行下令、那底下人就是動手、這就一哈、幫菩薩一綁、裝到車上一拉、這就開始往兩國(地名)這邊拉了


この、越前がお地蔵さんをお取り調べになるという話はたちまち評判になり、江戸中から町民たちがぞろぞろと集まってきました。
やがてお地蔵さんは奉行所に到着し、ついてきた野次馬たちも大八車のあとについて奉行所に入っていきました。
看熱鬧的聽越前要審菩薩、這一傳十、十傳百、都跟到拖車後面、進到奉行所裡面去了。

さて、お白州に引き出されたお地蔵さんに、越前は恐い顔をして言いました。
「その方、人々から南無地蔵大菩薩と尊敬をうけ、人々を慈悲にて救わねばならぬ身でありながら、目の前で盗みを働く者を見過ごすとは不埒千万である。
白州就是審犯人的地方、越前這就開始對到菩薩開始惡了。
別個尊你是南無地藏大菩薩、聽港你有大慈悲、無不救之人、那怎麼就看到別個到你眼皮底下幫東西搞去呢?


盗みを知っていて止めぬは、盗人と同じであるぞ。
さあ、今すぐ盗賊の事を白状いたせ。
さもなくば、入牢申しつけるぞ!」
「・・・・・・」
別個偷東西你不揭發
那你就和偷東西的一樣
同罪
我要你現在就幫偷東西的那條人港出來
不然你就要坐牢
菩薩甚麼都米港


越前はお地蔵さんの返事を待ちましたが、むろん、石のお地蔵さんは返事をしません。
越前就等到菩薩港甚麼
問題是石頭怎麼可能港話啦


さて、事の次第を見物していた野次馬たちは、このおかしなやり取りにあきれてひそひそと話しはじめました。
「大岡さまは、いったい何のつもりだ?」
「まさか本当に、お地蔵さまを罰するつもりだろうか?」
するとそのひそひそ話を聞いて、越前が言いました。
這麼到、這些後面跟起來看熱鬧的。
都遭看奒(呆)了
就開始到底下小聲交流
討論這越前審菩薩到底是甚麼意思
為(難道)真的要幫菩薩過(給)關了啊
越前就聽到下面這些人小聲港。


「この者たちは何じゃ!
お白州に勝手気ままに入り込み、吟味を見物するとは不届き千万。
前後の門を閉じよ!
一人も逃すな!」
さあ、野次馬たちはびっくりです。
みんなは名前や住所を調べられると、いったんは家に帰してくれましたが、あとできついお仕置きがあるぞと、全員がきびしく言い渡されたのです。
你們都是那個?
是那個喊你們進來的!?
越前喊人幫門一關
港你們順便進白州、還幫這裡到當戲看。
你們今天一個都莫想跑
這一哈看熱鬧的人就癲人啦
幫名字和住甚麼地方都先登記了
先放你們回去
到時候就等到認罪
幫這些人就都交待清楚了


それから半月ほどたって、奉行所からお達しがありました。
《奉行所に勝手に入り込むことは、不届きである。
重罪を申し付けてもよいが、もとは白木綿の吟味から始まった事ゆえ、白木綿一反の罰金で許す事にする。
三日のうちに、持参いたせ》
差不多半條月一過
奉行所就下令了
港那些看熱鬧的、本來進奉行是重罪、
但是現在從輕處理、這件事既然是因為布料起的頭、那就罰每人交一匹料子就算了(白木棉) 限
三日之內


野次馬たちは牢屋に入れられるのではないかと思っていたので、そんな事で済むのならばと、みんなほっと胸をなでおろしながら奉行所へ白木綿を持って行きました。
こうして三日のうちに、白木綿の反物が山と積みあげられたのです。
這些看熱鬧的都要駭死的、都以為自己要進監獄、現在只要交一匹布、這就都跑到奉行所交罰去了。
那三天的時間
料子是堆的和山一樣高。


そこで越前は、弥五郎を呼んできて尋ねました。
「弥五郎よ。この中から、盗まれた反物を見分ける事が出来るか?」
「はい。盗まれた反物は、しかと覚えています」
そこで弥五郎が反物を調べていくと、中に二反だけ、盗まれた反物が混じっていたのです。
越前就幫五郎一喊、問他裡面有你認得到的料子吧?被偷走的那些你分的出來把?
五郎港他自己記的好清楚
然後就開始從料子裡面邏
發現裡面有兩匹和被偷走的一摸一樣


すると越前は、その反物を持ってきた町人に、
「これを、どこで買い求めたのだ?」
と、尋ねて、さらに売り主を問い正したところ、本所表町に住む者が盗賊と判明したのです。
こうして盗まれた反物は、そっくりそのまま戻ってきました。
然後越前這又開始問、幫這塊布匹帶過來鄉民、你這塊布是到哪裡搞來的?
繼續又問賣布的人是那個
這就曉得偷布的人是住到本所表町(地名)了
這麼到一哈就幫那些被偷的料子全部搞回來了。


越前は弥五郎に反物を渡して、こう言いました。
「これはその方に返すゆえ、今後は油断して地蔵に苦労をかけてはならんぞ」
また野次馬たちから集めた反物も、持ってきた者たちに返しました。
越前幫邏回來的料子幫五郎一退、就跟到港
這料子你就好甚交回去、下次就小心點、莫在麻煩菩薩了。
在幫看熱鬧帶來的那一堆料子、也是賞起幫白木棉帶過來被問話的那兩條了。


「その方らの協力により、無事に盗賊を見つける事が出来た。
これらの反物は、その方らに返そう。
また地蔵も赦免申しつけるゆえ、中の郷に持ち帰り安置するように。
・・・うむ。これにて、一件落着!」
這次也是靠他們兩條、才幫偷東西的邏到。
這些看熱鬧交的料子、現在就過起他們。
地藏我也再幫他放回去、
這就又把菩薩安置到中鄉(地名)
好、那就可以了、這事也全部辦完了。


さて、この話はたちまち知れ渡り、このお地蔵さんに頼めばどんな事でも願いが叶うと評判になりました。
這個事發生之後又是開始到處傳、別個也都來拜這個菩薩、全都港他靈驗。

そして越前のお裁きにちなんで荒縄で地蔵をしばり、
『願いが叶ったら、縄を解きます』
と、願を掛けるようになったということです。
也是因為越前這件事的緣由、來許願求菩薩的人都幫菩薩一綁。
就對到菩薩港
願望實現就解綁
幫菩薩是邊捆到邊拜

おしまい
结束

→ 物語の舞台の「天台宗 南蔵院」

前のページへ戻る
(回到上一页)

     2月25日の豆知識

366日への旅
きょうの記念日
夕刊紙の日
きょうの誕生花
カランコエ(Kalanchoe)
きょうの誕生日・出来事
1972年 有野晋哉 (芸人)
恋の誕生日占い
誠実で、慈愛に満ちた
なぞなぞ小学校
見る人によって、違う人が見える物は?
あこがれの職業紹介
バレーボール選手
恋の魔法とおまじない 056
ライバルに勝つおまじない
  2月25日の童話・昔話

福娘童話集
きょうの日本昔話
縛られ地蔵
きょうの世界昔話
フランドロの石
きょうの日本民話
酔っ払ったスズメ
きょうのイソップ童話
家柄比べをするキツネとサル
きょうの江戸小話
饅頭怖い(まんじゅうこわい)
きょうの百物語
紙すき毛すき

福娘のサイト

http://hukumusume.com

366日への旅
毎日の記念日などを紹介
福娘童話集
日本最大の童話・昔話集
さくら SAKURA
女の子向け職業紹介など
なぞなぞ小学校
小学生向けなぞなぞ