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福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 1月の日本昔話 > カニの相撲 
      1月23日の日本の昔話 
          
          
         
  カニの相撲 
  毛蟹揇腰交 
   
  ・日本語 ・日本語&中国語 ・客家語 ・日本語&客家語 
   
客家語 : 鄧文政(ten33 vun55 zhin11) 
      
       
      
      
       天下人となった秀吉(ひでよし)は、大阪城(おおさかじょう)と言う、大きなお城に住んでいました。 
         成為大將軍後,秀吉戴在大阪城, 
          
        大阪城にはきれいな池があって、そこには金で作ったカニが置いてありました。 
         城內有一個盡淨个水池,池肚放有黄金做个毛蟹。 
          
        それも、一匹や二匹ではありません。 
         毋只一、二隻,  
          
        大きいのやら小さいのやら、何百匹ものカニがキラキラと光り輝いていました。 
         大大小小有幾百隻,金晶𥍉亮, 
          
        ところが秀吉は、今度京都に新しい城を作ったので、そちらに引っ越す事にしたのです。 
         毋過秀吉這下愛徙到新起个京都城。 
          
        そこで秀吉は、この池の金のカニを家来たちに分けてやる事にしました。 
         所以秀吉高不將摎水池肚金毛蟹送分管家。 
         
        「お前たちに金のカニを分けてやるが、誰にでもやるのではない。 
        「金毛蟹分你大家,毋過毋係麼儕都拿得著, 
          
        何故、カニが欲しいのか。 
         麼个原因愛得著毛蟹? 
          
        カニを、どう言う事に使うのか。 
         毛蟹愛做麼个用? 
          
        その訳を言うがよい。 
         講出理由就做得。 
         
        『それなら、カニをやってもよい』と、思う様な訳を言った者にだけ、分けてやる事にしよう」 
         斯愛講出『係恁樣、斯做得分佢毛蟹。』樣箇想法儕、就做得分著。」 
          
        家来たちはみんなは首をひねって、何と言えば、あのカニをもらえるだろうかと考えました。 
         管家大家頭側側想去想轉,講麽个正好,正拿得到毛蟹? 
          
        そのうち、一人が進み出て言いました。 
         其中有一儕企出來講: 
         
        「殿さま。わたくしは、床の間の飾り物にしたいと思います。ぜひ、一匹下さいませ」 
        「大人,𠊎愛做壁龕飾品,一定愛分𠊎一个。」 
         
        「おお、床の間の飾りか。それなら良かろう。お前には大きいのを一匹つかわそう」 
        「哦,愛做壁龕飾品係無?恁樣好,你選一隻較大个。」 
         
        「はい。ありがとうございます」 
        「好,承蒙你。」 
          
        その家来は大きいカニを一匹もらって、得意そうな顔をしました。 
         該個管家得到大毛蟹,開容笑面。 
         
         すると、もう一人の家来が言いました。 
         過後,又一個管家講: 
         
        「わたくしは、書が趣味です。ですから紙を押さえる文鎮(ぶんちん→紙が動かない様にする重り)にしたいと思います」 
        「𠊎對書盡有興趣,想愛拿來做磧紙个文鎮。」 
         
        「そうかそうか。文鎮なら良かろう。ただ、文鎮では大きすぎては邪魔だから、小さいのを一匹つかわそう」 
        「正經係麼,文鎮盡好,毋過文鎮做毋得忒大隻該顛倒麻煩,你拿細隻个好。」 
         
        「はい。ありがとうございます」 
        「好,承蒙你。」 
          
        その家来は小さいカニを一匹もらって、少し残念そうな顔をしました。 
         該個管家得到小毛蟹,感覺有兜打爽。 
          
        それからみんなは、次々と色々な事を言ってカニをもらいました。 
         過後,大家各各講出各種理由拿到毛蟹。 
         
        「わたくしは、子どもや孫の代まで、いいえ、もっと先まで伝えて、家の守り神にしたいと存じます」 
        「𠊎,倈仔還有孫仔,毋只這恁樣還有後代傳下去,做佢兜个守護神。」 
         
        「わたくしは、・・・」 
        「𠊎...」 
         
        「わたくしは、・・・」 
        「𠊎...」 
          
        ところが家来の一人の曽呂利(そろり)さんだけは、みんなの様子を黙って見ているだけで、何も言いません。 
         毋過,有一個人安到曾呂利先生,在該恬恬看大家个樣仔,麼个都無講。 
         
        「これ、曽呂利。お前はさっきから何も言わないが、カニが欲しくないのか?」 
        「曾呂利,你開始到這下無講半句話,你敢係無愛毛蟹?」 
          
        秀吉が尋ねると、曽呂利はつるりと顔をなでて、 
         秀吉問佢个時節,曾呂利用手摸厥面頰,講: 
         
        「いえいえ、もちろん、わたくしも頂きとうございます。しかし」 
        「毋係,當然𠊎乜想愛,毋過」 
         
        「しかし、どうした?」 
        「毋過,仰般?」 
         
        「わたくしの使い方は、一匹では足りませんので」 
        「𠊎个用法,因為一隻毋罅。」 
         
        「何?一匹では足りぬと。ふむ、一体何に使うのじゃ?」 
        「麼个呀?一隻毋罅用,fumu,到底愛做麼个用?」 
         
        「はい。わたくしは勇ましい事が大好きでございますので、あのカニに相撲を取らせてみたいのでございます」 
        「𠊎好愛武个事情,想愛看該兜毛蟹揇腰交。」 
         
        「ほう、相撲か。なるほど考えたな。よし、では二匹をつかわそう」 
        「ho,揇腰交係無?原來係恁樣想,好,你捉二隻去。」 
         
        「いえいえ、相撲はやはり東と西に分けて、横綱(よこづな)、大関(おおぜき)、小結(こむすび)、幕下(まくした)と、それぞれいなければ面白くありません」 
        「毋係,揇腰交一般分東、西兩軍,還分橫綱、大關、小結、幕下,若無恁樣就無生趣了。」 
         
        「おおっ、確かにそれもそうじゃ。それでは曽呂利よ、残りのカニは、みんなそちにやろう。持っていけ」 
        「哦,確實有影,曾呂利啊,伸个毛蟹全部在該,分你拿轉去好咧。」 
         
        「はっ、ありがとうございます」 
        「好,承蒙你。」 
          
        曽呂利さんはニコニコ顔で、残りのカニを全部持って行ってしまいました。 
         曾呂利歡喜到笑咪咪摎伸个毛蟹全部拿轉去。 
          
        その為に、カニをもらいそこなった家来たちは、 
         因為恁樣,少拿毛蟹个管家講: 
         
        「曽呂利め、相撲とは考えたな。それならわしは、武者合戦(むしゃがっせん)とでも言えば良かったわ」と、悔しがったそうです。 
        「曾呂利該個漦仔會想到揇腰交仔,早知𠊎講愛軍隊大戰還較嬴。」 
       後悔到會死。 
      おしまい 
        煞咧 
         
       
        
 
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